普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

今度は民主党の番だ

2008-08-05 11:56:17 | 民主党

 第二次福田内閣が発足したが、予想された通り支持率は低迷している。
 政府、与党との対決姿勢を強めている民主党も9月の代表選に対して、いずれ小沢さんが当選するのは間違いないので、党内の亀裂を避けるために無投票にすべきとか、それに対抗馬を立てて政策を論争すべきだとかの意見が別れているようだ。

 私は党の亀裂などはどうでもよい外野席から見て、民主党はもう少し基本的な観点から民主党の代表が本当に誰が良いか、民主党のマニフェストの内容についてもう一度見直すべきではないかと思う。

 民主党の立場は今までと完全に違っている。
 つまり参院選で勝利した民主党は次の衆院選で勝って、政権に就く可能性が高くなっていることだ。
 それで民主党の代表は首相になり、民主党はそのマニフェストを政府の政策として実行しなければならないからだ。

[小沢さんが首相として相応しいか]
 世論調査では首相としては小沢さんより不人気の福田さんの方が上の評価を得ているようだ。
 それも10%近く差をつけられて。
 初めから国民から信頼されていない小沢さんが首相になって、国民がついて行くだろうか。

小沢さんの不人気の理由(*注1)
・彼の基本的な考えと選挙目当ての言動が食い違っていることが多いので信頼できない。
・最近のことで言えば、竹島問題で韓国で騒いでいるときに韓国まで行って、外国人参政権付与を大統領に約束した。
・日本銀行幹部の承認問題で与党側からの根回しで民主党の内諾を得ていた人が、郵政改革賛成の人と言う事で、同制度反対の国民新党の協力を得るために、小沢さんが不同意に決定した。
 国民の多くは彼の選挙目当ての言動に何となく違和感を持っているのが、先に書いた世論調査の結果に現れた彼への不信感に繋がっていると思う。

直ぐにキレル小沢さん
 私は(恐らく民主党員の多くもそうだろうと思うが)過去の多くの例が示す様に、野党に廻った自民党の執拗な攻撃に対して小沢さんがぶち切れずに、国民の納得のゆく答弁をするかどうか大きな疑問を持っている。
 彼の失言がマスコミから取り上げられ、小沢政権を揺るがすような政局に結びつく可能性は高いと思う。
 当面の選挙に勝つために取り敢えず小沢さんを担いでおこうなどの考えで、彼を選ぶなど、後にも書く様に、民主党に取ってとんでも無い禍根を残すと思う。
 選挙までは小沢さん、首相は別の人にするなど、もっとフレキシブルな考え方といるのではないだろうか。

どう考えてもパッとしない小沢内閣
 今度の第二次福田内閣は色々批判があるが、少なくとも重厚な顔ぶれであることは誰も異論はないようだ。
 然し福田内閣全体を見てぱっとしないのは何を考えているか判らない福田さん自身への信頼感が持てないからだ。
 首を捻ることの多い小沢さんを頂く民主党内閣が如何に立派な閣僚を揃えても、福田内閣と同じ印象を与えかねない事は容易に想像できることだ。

[マニフェストとその財源]
 民主党のマニフェストを覗くと、年金を国が責任を持って全額支給、1人月額2万6000円の「子ども手当」を支給、農業の「戸別所得補償制度」の創設、雇用を守り格差を正す、医師不足を解消して、行政のムダをなくす、「分権国家」を実現、中小企業を元気にして日本経済を生き返らせる、地球環境で世界をリード、主体的な外交を確立など何時もの主張が並んでいる。
 問題は与党、マスコミ、批評家の多くから指摘される、その財源だ。
 党内の前原さんからも、マニフェストに財政面の裏付けがないと批判される始末だ。(*注2)

公約実施とその財源捻出の時間のずれ
 それと、もう一つはこれも前原さんが指摘していたと思うが、マニフェストに基づく政策の実施時期と、無駄を無くして財源を捻出する時期のずれの問題だ。
 いくら政府が無駄遣いしていると言っても、運動具やなんとかチェアーなどは直ぐに止めさせても、官僚から言わせれば、無駄といわれていることでも、それ相当の理由があり、それに対する抵抗で1年や二年で無駄排除の目的を達成することが出来ない。
 特殊法人の廃止も、最初に公務員制度改革法案を通して、国民や公務員の納得のゆく彼らの将来を保証した上で、上記のような抵抗を排除のなかで実施するのは更に時間がかかる。

 その一方上記のような一部から言われる「ばら蒔き政策」は直ぐにも実施しなければ、国民の批判を招くことになる。
 そうかと言って今の様な膨大な国債を抱えている現在、一時的でも大幅な赤字財政を組む訳には行かない。
 今までの党の主張からから考えると、小沢さんや鳩山さんは民主党政権が大幅な赤字財政を組ねばならぬのは、過去の自民党政権の責任だと済ますかも知れぬがそれをまともに受け入れるほど国民は馬鹿ではない。

 だから民主党は国民の信頼を得るためには、一連の公約の実施とそれに伴う財源の捻出時期のタイムスケディジュールを国民に示すべきだ。

将来の展望がない経済政策
 それと持続的な税収確保のための経済の振興についてマニフェストの詳細を見ると、中小企業いじめ防止、商店街の活性化、高速道の無料化、観光振興、金融商品取引の規制などの言葉が並んでいるが、こんな事で沈滞しかけている日本経済が回復できるだろうか。
 唯一金融商品取引の規制が素人目からみても有効と思うが、これは日本だけでできることではないし、今の日本は世界をリードする力もない。

 政権与党の自民党では財政再建派と、上げ潮派に別れて今後の経済、財政を如何にあるべきかと議論が別れてるいる。
 民主党ではこのようなマクロの問題が討議されていると言う報道は皆無だ。
 それどころか公約の財政上の裏付けと言う当面の問題の議論に止まっている。

[政権奪回のチャンス/民主党衰退の危機]
 現在民主党は政権奪取の可能性が大きくなったのを目前にして、国会解散、総選挙に政府を追い込むこと以外に眼が向いていないようだ。

 私は民主党の政権奪取のチャンスと、同党の衰退のチャンスは裏表だと思っている。
 問題は政権を取った後、如何に上手く日本を運営して行くかだ。
 民主党政権がベテラン揃いの自民党の猛攻撃に如何に耐え得るかだ。
 過去の例から考えて、攻撃に強い民主党も攻撃される側に廻ると呆気ないと言うほど脆いようだ。
 首相になった小沢さんが大丈夫か、民主党の政策は鉄壁か。
 そして民主党政権はそれで倒れたら、耳障りは良いが問題の多い公約しか書けない民主党の次の政権奪取の機会は永久に消えるか、そして党が分裂して社会党/社民党と同じ道を歩くことになるかも知れないのだ。

 世論調査に示すように国民は良く見ていると思う。
 詰まり今までの長年の自民党政権のボロが出ているので、この際余り頼りにならないが、一応民主党にやらせてみようかと言っているのだ。
 民主党の小沢さん、鳩山さん、山岡さんなどの「直近の民意を受けて」と言わんばかりの思い上がったような発言を聞いていると、彼らの考えは国民の真意と大分ずれているようだ。
 民主党はこの国民の評価を真摯に受け止め、そして実際に政権を取ったときの国会運営、それに対する野党やマスコミの反応まで考えて、代表を誰にするか、マニフェストやそれに要する財政の裏付けに問題はないかもう一度見直す必要があると思う。

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*注1:
 最近では完全の民主党の支持に廻っている政治評論家の森田実さん
でさえ、
  
小沢代表は2007年11月号の『世界』で「今日のアフガンについては、私が政権を取って外交・防衛政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したいと思っています」と明言している。
として小沢さんの言う事がコロコロ変わるのを批判している。

*注2:
 前原氏は月刊誌「中央公論」7月号で自民党の与謝野馨前官房長官らと対談し、民主党の参院選マニフェストを財源面で批判。看板政策の農家への戸別所得補償を含む公約の経費を18兆円(マニフェストでは約15兆円)とし「行革だけで捻出(ねんしゅつ)するのは絶対無理」と指摘。さらに「(民主党が)『君子豹変』しないかぎり、まともな政権運営はできない」と唱えた。(産経新聞
より)