ラジオ体操と朝の散歩は毎日欠かさぬものの、年をとり外出する機会がますます減ってきた。同様に人との会話の機会もめっきり減った。話す相手が“うちの奥さんだけ”の日がだんだん多くなっている。会話がすくなくなるにつけ、ますます世間の出来事に疎くなる。最後はオタクに変身するのではと心配になる。
しばらくのズルで髪の毛がずいぶんと伸びている。今日こそ散髪しようとバスで街に出た。行きつけの理髪店とは50年近くのお付き合い。散髪中のマスターとの雑談がとても気持ちよい。わずかな時間だが日ごろの会話不足を補う至福の時だ。
店を出る時、マスターが遠慮しながら「理髪代、消費税分を上乗せさせていただきました」と小さな声で言った。そうだ4月から消費税が上がっている。
バスに乗った時にはきずかなかったが、今まで260円だった区間が300円となっていた。初乗り料金も130円が150円。よく見ると、庶民の足である公共交通機関の料金が消費税増税分を上回る便乗値上げとなっている。
ガソリンの値上がりはもっと激しい。アベノミクスで円安が進み石油価格が急上昇。ガソリン価格を何度引き上げても追いつくものではない。消費税の増税がそれに追い打ちをかける。さらに、ガソリン税も上がった。まさにガソリン価格の3重苦。ハイオク1ℓ169円、レギュラー1ℓ158円の看板が目に痛い。先月同時期よりも10円以上の値上げとなっている。
消費増税は人ごとではない。久しぶりに街に出てそれを実感した。すべての料金がアップしている。さらに、便乗値上げも横行している感がある。電気代、ガス代などの公共利料金の値上げもすさまじい。健康保険や年金など保険料の値上げも容赦なし。
大企業に勤める現役の方々にはわずかではあるがベアもあった。だが高齢者にとっての命綱、年金は消費増税と併せて4月から0.7%が減額される。物価は上がる。年金は下がる。ガソリンではないが年金生活者には2重の苦痛。
世はまさに高齢化社会。特別養護老人ホーム(特養)に入所を希望しながら待機している人が熊本県内で7440人に上るという。
相次ぐ物価の値上げと介護や医療など、老後の生活が心配でならない。集団的自衛権や武器3原則の見直しに走る安倍総理。それよりも、民意が望む国民生活の向上に、弱者の視線にそった政治を優先していただくわけにはいかないものだろうか。