こやの(日本料理/鎌倉)
閉店しました
*浄明寺の風情溢れる一軒家で「1日2組だけ」の贅沢を
仕入れから調理、サービスまで、若干29歳の米倉敏喜氏がたった1人で務める日本料理店。
7月に入ってすぐ電話して「今からお昼に予約可能な日は?」と確認したところ、空きがあったのは30日の土曜日!ランチタイムに伺うためには約1ヶ月前から予約が必要みたいです。
完全予約制で昼夜各1組限定(2~12名まで)とはいえ、立地や価格帯(現在ランチのお値段は5,000円、7,500円、10,000円)を思えばこの盛況ぶりにはビックリ。
予約の時点でとりあえず7,500円のコースを選択し、使って欲しい食材や苦手なものなどをじっくりと相談。
客の好みに合わせた献立を予算内で(実際はかなりオーバーしているような…)構成していただける点は、昼夜各1組の客ならではの贅沢でしょう。他のお店ではなかなかこんな我儘は聞いてもらえません。
店舗として使われている木造の古い一軒家は昭和初期の建築。
お庭の見える座敷に食卓がセットされています。柱に取り付けられた一輪挿しには可憐な野の花が。
時おり小鳥のさえずりが聞こえたりして、古都鎌倉を思いきり堪能出来る雰囲気は◎。
お昼のコースは先付から甘味まで7品。
いわゆる会席料理メニューに基づく構成ですが、お料理はどれも非常に独創的で、随所に作り手の遊び心が覗く魅力的なもの。
この道ウン十年の料理人がいる老舗和食店では決してお目にかかれないお料理だと思います。とはいえ、創作和食みたいな怪しげなものではなく、きちんとそれなりの修行を重ねた人がオリジナリティを追求してこんなのが出来ました、という感じ。
味付けも、食材の持ち味を生かし1品ごとにメリハリが利いているし、ものによってはあっさりめのフレンチを思わせたり。
舌の肥えた和食通には新鮮な体験だろうし、このテの料理に馴染みの薄い若い人は素直に「超ウマい!」と納得するはず。
とうもろこしをペースト状にしたものをくずで寄せて豆腐に仕立て、オクラをすりおろしたソースをかけたり、半熟の卵黄を西京漬けにしたり、一口大のパイに鱸のすり身を仕込んだり。
一品ごとに「おぉっ!」という驚きがあった点も高く評価したいところ。
しかも盛り付けがとても美しい。料理が盛られた和食器がまたどれも見事なものばかり。
お造りに醤油とともにいり酒が添えられていたり、お酒が片口で供されるところも「オツ」な感じで気に入りました。
日本酒はメニューに5種類ほど。
此方のお料理は「酒の肴」としても絶品です。信じられないくらいグイグイ進んじゃいますよ(あまり強くない方は要注意)!
メニューに頼む酒が無くなると、米倉氏がすかさず「メニューには載せていないんですが…」ととっておきの大吟醸を持ってきて下さり、これには大感激(サービスとは知らずに3人で空にしてしまった…汗)。って、真っ昼間だよ。
〆のお蕎麦は、コシがあり固めの麺をとろろの入ったつけ汁で。
最後に白濁したそば湯を足して一滴残らず頂きました(とろみがなんとも言えません)。甘味はフルーツのゼリー寄せ。さっぱりとした旬の味覚です。
手打ち蕎麦はお土産用としてテイクアウト可。予約の際に頼んでおくといいかも。
椎名桔平似(と聞いていた)の米倉氏は、真面目でしっかりした好青年という印象。
1日2組のみという営業スタイルに拘るのは「心を込めておもてなしするにはこれしかない」という理由から。
こういうお店なので「ドタキャン」は厳禁です。前日・当日のキャンセルにはキャンセル料が発生するのでご注意下さい。
でも、「お客様のために色々考えてメニューを組むので…キャンセルされるとホントに寂しいです」なんて予約の際に言われちゃったら、そんな無慈悲なこと絶対出来ないわ、ってなっちゃいますけど(この商売上手)。
あ、予約電話は営業時間(12:00~14:30 18:30~21:30)外に入れないと誰も出ません。
夜は比較的予約が取り易いとのことなので、近いうちに是非再訪したいと思います。
■店舗情報
□12:00~14:30 18:30~21:30
□不定休
□駐車場なし
□鎌倉市浄明寺1-3-1
□0467-25-2395
※鎌倉駅より「大塔宮行き」京急バスに乗り「岐れ道」で下車、徒歩5分