電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

お年玉付き年賀状をきっかけにベートーヴェンのピアノソナタ第30番を聴く

2015年01月25日 06時04分11秒 | -独奏曲
今年の年賀状のお年玉当選番号を調べたら、3等の切手シートが3枚当たっていました。しかも、ぜんぶ30番ばかり(^o^)/
30番と言えば、ベートーヴェンのピアノソナタ第30番を連想します。そういえば、第30番、しばらく聴いていないぞ。これは、30番を聴け!というミューズのお告げかも(^o^)/

というわけで、本日はベートーヴェンのピアノソナタ第30番を。若い頃に初めて聴いたのは、アルフレート・ブレンデルの最初の録音でした。例の、日本コロムビアの廉価盤「ダイヤモンド1000シリーズ」中の1枚で、後期の3曲を収録したこのLPを、それこそすりきれるほど聴いたのが懐かしい。

休日のお楽しみは、ちょいと毛色の違う演奏をと考え、YouTube で「Beethoven Piano sonata 30」で探してみたら、こんなのを発見。ダニエル・バレンボイムの演奏です。今は指揮者として活動しているだけなのかと思ったら、ちゃんとピアニストとしても活動しているのかな? 頭はすっかり白くなり、ベートーヴェンの晩年の作品を演奏するのにふさわしい風貌になっているようです。

Beethoven Sonata N° 30 Daniel Barenboim


ずいぶんロマンティックな演奏ですが、しかし、ほんとにいい曲ですね~。思わずため息が出ます(^o^;)>poripori

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ミシェル・ダルベルトの演奏でシューベルト「ピアノソナタ ハ長調 D.613」を聴く

2014年12月05日 06時01分38秒 | -独奏曲
このところ、通勤の音楽として聴いているのは、ミシェル・ダルベルトが演奏したシューベルトのピアノ曲から「ピアノソナタ ハ長調D.613」です。「さすらい人幻想曲」のCDに収録されたもので、未完に終わったD.613のソナタを両端楽章とし、間にD.612の美しいアダージョを配置した形で演奏されており、なんとも不思議な優しさを持った音楽として聴くことができます。

第1楽章:モデラート。冒頭は、どこかで耳にしたような、ベートーヴェンのソナタを連想させるものですが、しだいにシューベルトらしい世界に入っていきます。まるでベートーヴェンのようではありません。だから、諦めて未完のままに放置したのでしょうか(^o^;)>poripori
第2楽章:アダージョ、ホ長調。これは、美しい音楽ですね~。
第3楽章:アレグレット。本当は速度の指示はないようなのですが、ここではアレグレットで、という解釈のようです。このCDでは、演奏の最後が楽譜通り唐突な終わり方ですので、ああ、遺作断片なんだなと感じられます。

この実にチャーミングな音楽を聴くと、ミシェル・ダルベルトがこの曲を録音しようとした意図が、なんとなくわかるような気がします。他のピアニストでこの曲を録音している人はあまり多くないようで、その中では、NAXOS のマルタ・デヤノヴァ盤(*1)は、曲を補筆完成して録音しているそうです。

私が聴いているのは、1993年1月と翌1994年1月及び6月に、DENONによってスイスのコルゾー、サル・ド・シャトネールでPCM収録されたデジタル録音で、COCO-70700 という型番のCDです。

(*1):NAXOS Music Library より、F. Schubert Piano Sonatas No.7-21, Marta Deyanova

YouTube にも、いくつかの録音や動画がありました。
まずは、第1楽章:
Franz Schubert - Piano Sonata in C major, D 613 - I. Moderato


続いてこのCDでは第2楽章として扱われた、D.612 の美しいアダージョ。残念ながら演奏者は違いますが(^o^;)>poripori
Schubert - Adagio in E Major, D. 612 (for piano)


最後に、未完の第3楽章(純粋には第2楽章):
Franz Schubert - Piano Sonata in C major, D 613 - II. Without tempo indication

ただし、この演奏では誰かが補筆してあるようで、唐突な終わり方にはなっていないようです。

マルタ・デヤノヴァ(Pf)の演奏動画もありました。
Marta Deyanova Schubert Unfished Sonata D 613.wmv


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ウェーバー「序曲集~四手のためのピアノ編曲」を聴く

2014年11月10日 06時04分32秒 | -独奏曲
以前、たまたま購入したナクソス盤(*1)で、ウェーバーの「序曲集~四手のためのピアノ編曲」を聴いています。歌劇「魔弾の射手」序曲や「オベロン」序曲等の、夢幻的で香り高いオーケストラの響きを聴き馴染んでいるものですから、こうした四手のためのピアノによる序曲集には、はじめだいぶ違和感がありました。ところが、聴き慣れると、音楽の骨格があらわになるようで、これはこれでたいへんおもしろい。また、ふだんはあまり馴染みの薄い曲目も集めた選曲もあって、なかなか興味深いCDになっています。例えば「トゥーランドット」序曲などは、もちろんプッチーニの音楽ではありません。

  1. 歌劇「アブ・ハッサン」 J. 106 - 序曲
  2. 歌劇「ペーター・シュモルとその隣人たち」 J. 8 - 序曲
  3. 歌劇「リューベツァール」 J. 44-6 - 序曲
  4. 歌劇「シルヴァーナ」 J. 87 - 序曲
  5. 劇音楽「トゥーランドット」 Op. 37, J. 75 - 序曲
  6. 劇音楽「プレチオーザ」 Op. 78, J. 279 - 序曲
  7. ジャベル序曲 Op. 59, J. 245
  8. 歌劇「魔弾の射手」 J. 277 - 序曲
  9. 歌劇「オイリアンテ」 J. 291 - 序曲
  10. 歌劇「オベロン」 J. 306 - 序曲

歌劇「トゥーランドット」といえば、フィギュア・スケートのバックに流れるように、今ではプッチーニのそれをすぐに思い出しますが、実はウェーバーもこのお話に付随音楽をつけていた(*2)のだそうです。それも、プッチーニのいささか大げさなほどのロマンティックな音楽ではなくて、滑稽味あるいは剽軽な味を持つ音楽です。もともとは、ルソーの音楽辞典からとった中国の音楽を題材にしたものだそうですが、これは西欧が中国を見る目を表したものなのでしょうか。聴き慣れると、ピン・ポン・パンのようなユーモアも感じられるようです。



演奏は、アレクサンダー・パレイ(Alexander Paley)とブライアン・ゼガー(Brian Zeger)の2人で、NAXOS 8.553308 (*3)という型番で1999年に発売されたものだそうです。



いや、本当は独奏曲じゃないのだけれど、他にカテゴリーがないので、とりあえずここに入れておきましょう(^o^)/

(*1):春の陽気に誘われて音楽CDを二枚購入~「電網郊外散歩道」2014年3月
(*2):これはすごい~Wikipediaの「トゥーランドット」解説~「電網郊外散歩道」2006年3月
(*3):NAXOSの本CDの紹介ページ~一部を試聴可

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加古隆ソロ・ピアノ・リサイタルのこと

2014年10月19日 06時03分14秒 | -独奏曲
映画「蜩ノ記」を観て、思い出しました。そういえば、加古隆さんのソロ・ピアノ・リサイタルの記事を書いていないなあ、と。
備忘録ノートには記しておりましたので、振り返ってみたいと思います。

去る9月21日、山形テルサ・ホールで、妻と子どもと一緒に、加古隆ソロ・ピアノ・リサイタルを聴きました。曲目は次のとおり。

第1部
 (1)空と、波と~雨の石畳
 (2)白い巨塔
 (3)アクア・ブルー
 (4)組曲「蜩ノ記」
  1:山里の四季、2:残された時間、3:秋谷のテーマ
 (5)少年時代
 (6)湖沼の伝説
~休憩~
第2部
 (7)パウル・クレー~色とかたちのポエム
 (8)葛飾北斎~江戸の風景
 (9)ポエジー
 (10)パリは燃えているか
 (11)黄昏のワルツ
アンコール:アラビアの夏

加古隆さんは、たしか子どもがよく聴いていたCDで耳にしたのだったと思いますが、リサイタルのパンフレットであらためてプロフィールを眼にしました。すべて自作の音楽でのリサイタルというのも初めてです。

フランス印象派ふうの響きもあれば、ジャズ風のテイストもあったり、また現代音楽の要素もあったりで、多彩なピアノの響き、音色、リズムを楽しみました。できれば、CDを見つけてじっくり聴いてみたいものです。

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イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」を聴く

2014年07月05日 06時02分25秒 | -独奏曲
昨年の今頃、山響モーツァルト定期で購入したCDで、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」を聴いています。演奏は、松田理奈さん。作品27の6曲から、第2番イ短調を取り上げます。ちょうど、演奏会当日のアンコールで披露したのが、この曲の第1楽章でした。

あれ、どこかで聴いたことがあるなあと思いましたが、それもそのはず、J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番」の第1曲(前奏曲)の旋律が使われ、それが見事に尖鋭なイザイの音楽になっています。添付のリーフレットによれば、曲はジャック・ティボーに献呈され、それぞれの楽章には次のような表題が付けられているそうです。

第1楽章:「幻影または執念」、前奏曲。ポコ・ヴィヴァーチェ。
第2楽章:「憂鬱」、ポコ・レント。
第3楽章:「亡霊たちの踊り」、サラバンド、レント。
第4楽章:「復讐の女神たち」、アレグロ・フリオーソ。

次の第2楽章からは、ベルリオーズやサン=サーンスが用いた「怒りの日」の旋律が登場、ゆっくりとした緩徐楽章です。そして、舞曲ふうと言うにはずいぶん風変わりですが、リズムはたしかに舞曲風ではあります。エネルギーは次第に蓄積され、フィナーレは尖ったイザイの音楽が変奏されていきます。

松田理奈さんの演奏は、内向的な集中力だけではない、外に向かうエネルギーや、客観的な形をきちんと整える理性的な面も、兼ね備えていると感じます。
2010年にフィリア・ホールで収録されたデジタル録音で、たいへん明瞭に美しく、ヴァイオリンの音色を聞くことができます。型番はビクターのVICC-60758です。

(*1):山響モーツァルト定期第19回でヴァイオリン協奏曲第1番と交響曲第23・28番等を聴く~「電網郊外散歩道」2013年6月

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田部京子のピアノでシューマン「交響的練習曲」を聴く

2012年09月23日 06時04分54秒 | -独奏曲
ようやく涼しさを感じる秋の郊外路を走る通勤の音楽に、このところ取り上げていたのが、田部京子のピアノによるシューマン「交響的練習曲・子供の情景」のCD(DENON COCO-70931)でした。今から13年前の1999年の8月に、群馬県の笠懸野文化ホールで収録されたPCM/デジタル録音で、キーシンのライブ録音(*1)にはトラック分けがなされていないこともあり、よく聴くものです。

もともとクララ・シューマンを代弁者として作品を発表していたR.シューマンですから、女性ピアニストの演奏は、本来あるべき姿でしょう。実際、初版にあった練習曲二つを加えた田部京子さんの演奏は実に魅力的で、詩的で、美しい。当方、遺作変奏がお気に入りなのですが、遺作変奏の配置は、練習曲9の後に5曲を順にまとめて配置し、その後に練習曲10~12を置く形をとっており、キーシンともリヒテルとも違う独自のものになっています。田部さんの考え方なのでしょう。その理由や合理性といった専門的なことは、当方の手に余るものですが、通して聴くと、遺作変奏の中で展開される叙情性からフィナーレに至る高揚まで一貫した説得性が感じられ、音楽解釈の多様性を示すものなのでしょう。

週末に自宅のステレオ装置で聴くときは、録音も自然で優秀で、ピアノの豊かな響きがよくとらえられており、たいへん楽しめるものです。

■田部京子(Pf)
total=39'52"
(主題、第1~第3変奏、練習曲、第4~第7変奏、練習曲、遺作変奏1~5、第8~第9変奏曲、フィナーレ)
■エフゲニー・キーシン(Pf)
total=27'10"
(遺作変奏1~5は、別々に挿入されている模様。)
■スヴィャトスラフ・リヒテル(Pf, LP:Victor MKX-2002)
I=10'05" II=24'00" total=34'05"
(Iは第1練習曲から第5練習曲、IIは遺作変奏1~5に続き、第6~第12練習曲)

(*1):シューマン「交響的練習曲」を聴く~「電網郊外散歩道」2007年2月
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ラヴェル「夜のガスパール」を聴く

2012年05月02日 20時04分06秒 | -独奏曲
ラヴェルの「夜のガスパール」は、通勤の朝にはまったくふさわしくない音楽です。とくに「絞首台」は、だんだん気分が沈んでいってしまいます。ところが、夜になると、とたんに雰囲気にぴったりになります。とくに、体調が悪くウーロン茶で済ませた宴席の帰りに、近道をしようと真っ暗な林道の中を車で走るとき、ラヴェルの音楽は黒いと感じます。真っ黒です。しかも、真っ黒の中に、ピカッと光るものがあります。夜の音楽。アルゲリッチの演奏は、まさにぴったりです。

かつて、若い頃に、ヴラド・ペルルミュテールのピアノで聴き親しんだ音楽。あれは、NHK-FMのエアチェックだったのでしょうか、1970年ごろ、オープンリールのテープだったような記憶があります。今はすでにありませんが、再度いまの立場で聴き直せば、どのような印象を持つのだろうと思います。

■マルタ・アルゲリッチ(Pf)
I=6'12" II=6'35" III=9'15" total=22'02"
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ベートーヴェン「ピアノソナタ第21番《ワルトシュタイン》」を聴く

2011年12月02日 06時05分11秒 | -独奏曲
通勤の音楽は、このところ、ベートーヴェンのピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」を聴いています。この曲は、メランコリーなど吹っ飛ばすほどの勢いと力のある音楽で、いかにも「ベートーヴェン!」という感じの作品で、わりに好んで聴いています。若い頃には、アルフレート・ブレンデルの最初のヴォックス録音から、というよりは例のコロムビアの廉価盤、ダイヤモンド1000シリーズ中の一枚(MS-1053-VX)で聴き、近年は DENON のクレスト1000シリーズから、ブルーノ・レオナルド・ゲルバーのCD(COCO-70751)で聴いています。

この曲は、1804年に作曲され、同年の交響曲第3番「英雄」とともに、豊かな創造の時期の代表的作品の一つだそうです。ダイム伯爵未亡人(ヨゼフィーネ・ブルンズウィック)との恋の時期でもあり、創作の自覚によって昂揚し、意気軒昂であった時期の作品ということにななるのだそうな。ベートーヴェンの曲では、ハ長調という調性は祝典的な傾向があるということですが、本作品もたしかにエネルギッシュで意気高い作品と言ってよいのかも。それまで使っていたワルター製のピアノに不満を持っていたベートーヴェンは、パリのエラール社から新しいピアノを贈られ、これがたいそう気に入って作曲をしたのだそうです。完成した曲はワルトシュタイン伯爵に献呈されたためにこの副題が付いたのだそうですが、ところで「ワルトシュタイン」って、誰?

ベートーヴェンを取り巻く人々に関するこの種の疑問に対しては、青木やよひ著『ベートーヴェンの生涯』が役立ちます。これによれば、ボヘミア出身の由緒ある貴族ワルトシュタイン伯爵家のフェルディナントは、1788年にボンを訪れ、おそらくブロイニング家でベートーヴェンと知り合ったとされています。

もともとモーツァルトの崇拝者で自分もピアノ演奏や作曲を手がける音楽通だったこの若い伯爵は、たちまちルードヴィヒの才能に惚れ込み、親しい友となると共に熱心な支援者となった。お互いの住居を行き来して合奏を楽しむこともあれば、ルートヴィヒに新しいピアノを贈って喜ばせたのも彼であった。一方、ヴァルトシュタインが選帝侯の劇場で古代ゲルマン風のバレエを上演した折には、ルートヴィヒがそれに音楽をつけている。(p.53)

またワルトシュタイン伯は読書クラブなどボンの文化活動に積極的に参加し、後に会長となるほどの中心的メンバーであったそうで、オーストリア皇帝ヨーゼフII世が没したときに、追悼集会を企画し、その音楽をベートーヴェンに委嘱したとのことです。青木やよひさんは、続けてこう書きます。

二十歳を目前にしたルートヴィヒにとって、これは大役だった。読書クラブには、人類愛と革新の気風を備えた錚々たる芸術家や知識人がいて、彼を見守っていた。その期待に応えるはじめてのチャンスだったからだ。しかも彼としてもその作品には、単に皇帝の死を悼むというだけでなく、身をもって変革を実践した一人の「英雄」を悼むという意味をこめたいと、心に期していた。(p.54)

こうして生まれたのが、ベートーヴェン初の管弦楽付き声楽作品『皇帝ヨーゼフII世葬送カンタータ』であり、後にハイドンがこれを高く評価し、世に出るきっかけとなった、ということです。いわば、若い頃のヒーローで大恩人だった人、ということでしょう。

第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ、ハ長調、4/4拍子。独特のハ長調の主和音の低い連打と高音の対比で始まり、次第に明るさを増していきます。ブレンデル盤の解説(栗山和さん)によれば、フランスではこの曲を「あけぼの L'aurore」と呼んでいるのだとか。なるほど、雰囲気は理解できます。第2主題は、連打の第1主題とはずいぶん違い、穏やかなものです。展開部は、転調によって雰囲気を変えながら高まりを見せ、華やかです。
第2楽章:導入、アダージョ・モルト、ヘ長調、6/8拍子。瞑想的な始まりです。静かで、しかも深い。アタッカで次の楽章に移ります。次の楽章の予告編と言うにはあまりにも見事な、実に魅力的な音楽です。
第3楽章:ロンド、アレグレット・モデラート、ヘ長調、2/4拍子。第2楽章から切れ目なく続く、華麗で長大なロンドです。最後の、疾駆する prestissimo は、pp から ff まで、新しいピアノを使って、力いっぱいに表現しているようです。

ゲルバー盤は、1989年12月4~5日、オランダ、ライデンのスタッツヘホールザールでのデジタル録音、制作は馬場敬、録音はピーター・ヴィルモースとなっています。録音は鮮明で、DENON らしい、ホールの響きを生かしたものです。
ブレンデル盤は、収録の日付や場所など、データの記載がありませんが、たしか1960年代初頭ではなかったかと思います。録音はステレオですが、時代の制約でしょうか、鮮明とはいえないけれど聴くのに支障はない、といったところでしょうか。

■ゲルバー(Pf)盤
I=10'51" II=3'59" III=10'06" total=24'56"
■ブレンデル(Pf)盤 - VOX原盤
I=11'03" II+III=13'24" total=24'27"

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テレマン「無伴奏フルートのための12の幻想曲」を聴く

2011年08月03日 06時02分57秒 | -独奏曲
このところ、通勤の音楽として、テレマンの「無伴奏フルートのための12の幻想曲」を聴いております。しかも、同曲のオーボエ演奏バージョンもあり、とっかえひっかえ、フルートとオーボエのソロを堪能しております。

フルート版のほうは、ジャン=ピエール・ランパルの演奏(DENON COCO-70461)で、1972年の10月30日に、埼玉会館大ホールで収録された、DENON 最初期の PCM デジタル録音。そしてオーボエ版の方は、ハインツ・ホリガーの演奏(同 COCO-70558)で、1979年11月30日に、日本コロムビア第1スタジオで収録された PCM デジタル録音です。

テレマン(1681-1767)は、J.S.バッハと同時代に活躍した作曲家で、存命時には大バッハよりもはるかに高名な作曲家だったとのことですが、現在はその立場は逆転し、「食卓の音楽」の作曲家として、愛好家に親しまれているくらいで、一般の人々の興味関心の対象にはなりにくいのかもしれません。しかしながら、彼の「リコーダー組曲」や「ヴィオラ協奏曲」を集めたCDなど、魅力的な音楽があります。私にとって、今後もっと多くの作品を聴いてみたい作曲家の一人です。

で、演奏のほうは?これはもう、フルートの吹き口を持って生まれてきたようなJ.P.ランパルと、リードをくわえて生まれてきたようなハインツ・ホリガーの名手二人ですから、文句の付けようがありません。車内のロードノイズに pp が埋もれることもなく、二種類の無伴奏の幻想曲を楽しんでおります。CD万歳です。

なお、同曲のテンポの違いは、全体にフルートよりもオーボエの方がゆっくりめなのは、楽器の特性でしょうか。なんとなく、葦笛よりも横笛のほうが、息が足りなくなりそうです(^o^)/

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ジョン・ウィリアムスのギターでバッハの音楽を聴く

2011年02月01日 06時07分15秒 | -独奏曲
今日から2月。最近の通勤の音楽は、ジョン・ウィリアムスのギターで、J.S.バッハの音楽を聴いております。主眼は、バッハのリュートのための音楽にあるのでしょうが、後半に収録された、ピーター・ハートフォードによるオルガンとの共演が、たいへんおもしろく、気に入りました。

(1) 組曲 ホ長調(リュート組曲第4番) BWV1006a
(2) シャコンヌ BWV1004-5
(3) プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV998
(4) ブーレ I,II BWV1009-5
▼ここから、ピーター・ハートフォード Peter Hurtford の編曲とオルガン演奏で、
(5) 目覚めよ!と呼ばわる物見の声~カンタータ第140番より BWV140-4
(6) フーガ ト長調 BWV877
(7) ヴァイオリンソナタ 第4番 BWV1017より、アダージョ
(8) トリオソナタ第6番 ト長調 BWV550
(9) イタリア協奏曲 BWV971 より、アレグロ

鍵盤楽器の中でも、オルガンはピアノのような強弱は出せません。でも、ストップを駆使した多彩な音色と連続する気鳴音の迫力は、独特の魅力を持っています。これに対しギターの方は、撥弦楽器ですから、弦をはじいた音がすぐに減衰していき、オルガンのような連続した発音は望めません。

この、いわば両極端というべき二つの楽器、オルガンとギターを組み合わせるとどうなるのか?今までそんなことはまるで考えてもみませんでした。ところが、少し前に入手した、ジョン・ウィリアムスがJ.S.バッハの音楽をギターで演奏したこのCD(SONY SBK-62973)で、認識を新たにしたところです。慎ましくリュートの響きを模して奏されるギターに、抑制された甘い響きを聴かせるオルガンが調和し、実にチャーミング!

J.S.Bach Lute Music, Vol.II と題されたこのCDは、英国ケンブリッジの St. Catherine's College のチャペルで、今からほぼ30年前の1981年の2月17-19日に収録されたデジタル録音で、たいへん雰囲気のよいものです。
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マリンバの音は、大きなスピーカの方が、より楽しむことができる

2011年01月29日 06時01分23秒 | -独奏曲
1月22日、山形交響楽団第210回定期演奏会で購入し、サインをもらってきた三村奈々恵さんのCDを、何度も聴いております。マリンバ・スピリチュアルと題して、幅広い分野の多彩な曲を集めたアルバムです。そういえば、初めて購入したマリンバのソロCDかもしれません。

(1) カリビアン・ブルー (作曲:エンヤ、編曲:三村奈々恵)
(2) ヴェロシティーズ (作曲:シュワントナー)
(3) デボラのテーマ (作曲:モリコーネ、編曲:三村奈々恵)
(4) 美しきロスマリン (作曲:クライスラー)
(5) ウィ・トゥー 第1,第2楽章 (作曲:レヴィタン、編曲:三村奈々恵)
(6) 変化する共鳴の長さ (作曲:鷲見音右衛門文広)
(7) シャコンヌ (作曲:バッハ、編曲:三村奈々恵)
(8) パッヘルベルのカノンによるトランスフォーメイション (作曲:パッヘルベル、編曲:三村奈々恵)
(9) マリンバ・スピリチュアル (作曲:三木稔)

エンヤの音楽は、アルバム「ウォーターマーク」の頃によく聴きました。「美しいロスマリン」や「シャコンヌ」は、ヴァイオリンとは楽器の特性も違いますし、表現もまた違います。「パッヘルベルのカノン」も、弦楽合奏ではおなじみでも、マリンバでとなると新鮮さが違います。三木稔さんの表題作は、和風のテイストで、鉦や太鼓や掛け声など、お祭り気分を盛り込んだもので、これもまたたいへん面白い趣向です。

ところで、マリンバの音は、ミニコンポではかならずしも十分に表現できないと感じました。いくら音量を上げても、あの低音の深~い響きは、やっぱり大きなスピーカ向きです。休日に、ステレオ装置の音量を上げて再生すると、多彩なリズムと深い響きに魅了されます。もし、パイプオルガンにヴィヴラートをかけることができたら、きっとこんな音になるにちがいないと妄想させる、素晴らしい録音であり、演奏です。いいCDを購入できて、とっても嬉しい。ミーハー的な意味でも、三村奈々恵さん直筆のサイン入り。当方の宝物に仲間入りです(^o^)/

SONY SRCR-2565 という型番のCDで、2000年1月と6月のデジタル録音。昔懐かしいオーディオ的な意味でも、再生が楽しい。
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プロコフィエフ「ピアノソナタ第6番」を聴く

2011年01月14日 06時03分04秒 | -独奏曲
最近の通勤の音楽は、厳冬期のスリリングな路面にあわせて、プロコフィエフのピアノソナタを選んでおります。今回は、イェフィム・ブロンフマンの演奏で、プロコフィエフのピアノソナタ全集から、第6番を取り上げます。第6番、第7番、第8番の3曲は「戦争ソナタ」と呼ばれ、プロコフィエフのピアノソナタの代表的な作品なのだとか。4つの楽章からなるこの第6番は、動的な気分が特徴的な曲です。

第1楽章、アレグロ・モデラート。出だしは荒々しく独特の響きで、つるつるに凍った路面をタイヤを滑らせながらカーブに突っ込んでいく、腕力タイプの運転みたいな主題を持った音楽(^o^)/ でも、主題の変奏はかなり幻想的・神秘的で繊細なところもあり、いかにもプロコフィエフらしい多彩さです。
第2楽章、アレグレット。快活な、はずむようなリズムで。ハンドルを持つ手が、ひとりでに動くような楽しさがあります。後半の、リズムを強調しないところから再び快活なリズムが戻ってきて終わるところが、とってもチャーミングです。
第3楽章、Tempo di valzer lentissimo。かなり遅く、ワルツのテンポで、というような意味か。いかにもプロコフィエフらしい、ゆったりとした、非常に美しい音楽です。あえて言えば、ロシア的陶酔の音楽の面もあるような。
第4楽章、ヴィヴァーチェ。よくまあ指が回るものだと、素人ながら思わず妙な感心をしてしまう、すごい音楽。ときおり第1楽章を思い出しながら吹雪の夜をクールに疾走するような、度胸というか、肚の座り具合を試される種類の音楽かもしれません。

1939年から40年にかけて作曲され、1940年の春に、モスクワで作曲者自身の演奏により初演されたそうです。作曲者は49歳、ちょうどバレエ「ロミオとジュリエット」が初演される前後にあたりますが、まさに内憂外患です。トロツキーが暗殺され、フランスがナチスドイツに降伏し、最初の妻であるリーナと離婚することになる時期ですから、おそらくスターリン主義の圧力と恐怖をひしひしと感じていたことでしょう。

演奏は、イェフィム・ブロンフマンで、SONY SB3K87747 という型番の3枚組CD、プロコフィエフのピアノソナタ全集となっています。私はあいにく他の録音を知りませんけれど、この人の見事なプロコフィエフ演奏は、もう驚くばかりです。

■イェフィム・ブロンフマン(Pf)
I=8'57" II=4'49" III=7'33" IV=6'49" total=28'05"
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篠崎史子「クリスマス・ハープ・ファンタジー」を聴く

2010年11月03日 06時03分36秒 | -独奏曲
このところ、就寝前に篠崎史子さんのCD「クリスマス・ハープ・ファンタジー」を聴いております。クリスマスまでにはまだだいぶ間があるのですが、ごく小音量ですので、戸外に音がもれて世間様のヒンシュクをかうわけではなし、などとうそぶいて、いささか気が早い選曲ではあります(^o^)/

1. もろびとこぞりて
2. もみの木
3. サンタが町にやってくる~ヒア・カムズ・サンタクロース
4. 牧人ひつじを~神のみこはこよいしも
5. クリスマス・メドレー
6. アベ・マリア (シューベルト)
7. 子守歌 (フォーレ「ドリー」より)
8. ひびけ鈴よ~モーツァルト「魔笛」より
9. きれいな音だ~モーツァルト「魔笛」より
10.荒れ野のはてに
11.赤鼻のトナカイ
12.主よ、人の望みの喜びよ (J.S.バッハ)
13.オー・ホーリー・ナイト (アダン)
14.きよしこの夜
15.ホワイトクリスマス

いずれも超有名曲ばかりと思われます。青島広志さんの編曲もチャーミングです。ダイナミックレンジがあまり広くないですので、寝床のわきのラジカセで音量を絞って再生すると、まるでオルゴールを聴きながら眠るみたいで、静か~に寝入ってしまいます。
でも、日中にステレオ装置で聴くと、けっこう低音の迫力もあり、ハープの魅力がいっぱいです。とくに、「神のみこはこよいしも」などは、ごく小音量の繊細な編曲になっていますので、寝入るには効果的ですが、ラジカセでは本来の魅力が伝わりにくいかもしれません。とてもステキな讃美歌ですので、この曲だけ別に取り出して、ステレオ装置で大きな音量で聴いたりします(^o^;)>poripori

演奏は、篠崎史子さんに、一部お嬢さんの篠崎和子さんや、マリー・クレール・ジャメ女史との二重奏も含まれています。The CD-Club の一枚、FDCC-30664 というコンピレーション・アルバムですので、1991年~1994年の録音が集められているようです。録音も明快。
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メンデルスゾーン「無言歌集」のPCオーディオ的楽しみ方

2010年10月19日 06時02分19秒 | -独奏曲
メンデルスゾーン「無言歌集」は、当方お気に入りの音楽です。すでに抜粋版のCDについて記事にしておりますが(*)、もう一つ、全曲CDのほうは、NAXOS の 8.550316, 8.550453 という型番のもので、全48曲を二枚のCDに収録したものです。ただし、全曲CDとはいっても、曲の順番は必ずしも出版時のものと一致してはおりません。メンデルスゾーンは、第1集から第8集まで、それぞれ6曲ずつ発表しています。たとえば第1集Op.19は、Wikipedia によれば、

1. ホ長調、アンダンテ・コン・モート《甘い思い出》(1831年作曲)
2. イ短調、アンダンテ・エスプレッシーヴォ《後悔》(1832年)
3. イ長調、モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ《狩の歌》(1832年)
4. イ長調、モデラート《ないしょの話》(1829年)
5. 嬰ヘ短調、ピアノ・アジタート《不安》(1831年)
6. ト短調、アンダンテ・ソステヌート『ヴェネツィアの舟歌 第1番』(1830年)

の6曲からなりますが、Op.19-1~6 のうち第5番だけがCD-1に収録され、他の5曲はCD-2に収録されている、といった具合です。これは、おそらくペーテル・ナジというピアニストが、演奏効果の観点から考えて配列した順番なのでしょう。

これに対し、CDからパソコンに取り込み、プレイリストを作成することにより、この順番を任意に入れ替えることが可能になります。たとえば、出版時に付けられた作品番号の順とか、「ヴェネツィアの舟唄」など作曲者が副題を付けたものだけを抜粋するとか、ちょうどLPレコードからカセットテープに抜粋編集して「マイベスト編」を作るようなものでしょうか。メディアが変わっても、楽しみ方はそう代わり映えしないような気もしますが、メンデルスゾーンの「無言歌集」がステキな音楽であることにかわりはありません。

ここしばらく、通勤の音楽は「無言歌集II」のCDでありましたし、自宅PCからは、USBオーディオを通じ、全曲通して流れております。



(*):メンデルスゾーン「無言歌集」を聴く~「電網郊外散歩道」2005年9月
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ベートーヴェン「ピアノソナタ第5番Op.10-1ハ短調」を聴く

2010年09月12日 06時05分08秒 | -独奏曲
朝晩は、ようやく涼しくなりました。これまでは、暑さでげんなりしていましたが、ようやくベートーヴェンのピアノソナタを聴いてみようという元気も出てきます。ピアノソナタ第5番 Op.10-1 ハ短調、ブルーノ・レオナルド・ゲルバーの演奏で、DENON 33CO-2203 という正規盤。ゲルバーのベートーヴェン・ピアノソナタ全集の初回発売で、3,300円のCDを1枚ずつ購入し、全部が揃うのを楽しみにしていたものでした。

第1楽章:アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオ。出だしからしてすでに「ベートーヴェンのハ短調」の特徴が全開です。強弱、高低などの強い対比があり、訴える力のある、いかにもベートーヴェンらしい楽章と言ってよいでしょう。
第2楽章:アダージョ・モルト。変イ長調。変化や対比に富みますが、若いベートーヴェンらしく、後期のような深刻な深さには至らず。でも全体として精緻で気品ある緩徐楽章です。
第3楽章:フィナーレ、プレスティッシモ。一種の切迫感を感じさせる音楽が、自然に解決していくような過程がおもしろい。フィナーレとしては意外なほど短い楽章です。

添付の解説(平野昭氏)では、1795年から1797年の間に作曲されたとされていますが、青木やよひさんの『ベートーヴェンの生涯』の年譜では1798年、ベートーヴェン28歳の時の作品とされています。この年、ピアノソナタでは、第5番、第6番、第7番、第8番「悲愴」、第9番が書かれているそうです。いずれにしろ、彼の難聴が次第に明瞭になり自覚されるようになる、まさにその直前の時期の作品と言ってよいでしょう。

使用した楽譜は児島新校訂の春秋社版で、ピアノはスタインウェイ。1987年の7月29~30日の2日間、パリのノートルダム・デュ・リパン教会でデジタル録音されています。制作は馬場敬、録音はピーター・ヴィルモース、技術は高橋幸夫とクレジットされており、鮮明で自然な雰囲気の収録です。

■ブルーノ・レオナルド・ゲルバー盤
I=5'34" II=7'43" III=3'49" total=15'06"
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