ここしばらく、通勤の音楽にずっとシューマンの交響曲第3番「ライン」を聞いておりました。演奏は、オトマール・スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ、1986年に東ベルリン(当時)のイエス・キリスト教会でデジタル録音された、DENONのCD(COCO-70496)です。
この曲は、通常4楽章からなる古典派交響曲とは異り、5楽章からなる構成を取っています。病気が次第に進行し、脳梅毒による運動機能障碍の徴候が隠せなくなってきた頃、ドレスデンからデュッセルドルフに転居したシューマン40歳(1850年)の作品。社会的にも働き盛り、家庭的にも子育ての大切な時期です。半生の経験と知識を傾注した、堂々たる作品だと思います。
第1楽章、ベートーヴェンの「エロイカ」と同じ変ホ長調、いきいきと。大きな曲の始まりを感じさせます。この楽章は、速いテンポで演奏しても曲想にマッチするように思いますが、ここでは堂々としたテンポで響きは柔らかく、をモットーにしているようで、金管楽器の響きがとてもきれいです。
第2楽章、ハ長調、きわめて穏やかに。のどかないい音楽です。
第3楽章、変イ長調、速くなく。こちらもゆるやかで夢見るような音楽。解説を見て気づきましたが、そういえば金管楽器やティンパニが活躍しません。
第4楽章、変ロ短調、壮麗に。ケルン大聖堂の大司教が枢機卿に推挙された折の祝典が発想の元になっているのだとか。ホ短調の、いかにも交響曲!という雰囲気を持った壮麗な音楽です。シューマンがこういう音楽を書いたときに念頭にあったのは、メンデルスゾーンが復興に尽力したバッハのオルガン音楽だったのでしょうか。
第5楽章、いきいきと。再び変ホ長調に戻ります。ファンファーレのようなトランペットが随所に活躍し、ティンパニが決然とリズムを刻み、祝典的な気分で終わります。スカッとする終わり方です。
スゥイトナー盤は、比較的ゆっくりめのテンポで、たたみかけるような緊迫感や居丈高な壮麗さよりは、ゆったりとしたおおらかなイメージを描かせる演奏で、曲の感じとよくあっているように思います。通勤の音楽にはとてもあいますし、今日のようなお天気の良い休日に、コーヒーを飲みながらシンフォニーを聞いてほっと一息、という時にもいいものです。
シューマンの「ライン」交響曲は、このほかに DENON My Classic Gallery シリーズの一つ、GES-9215 に収録された、ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団の演奏も聞いています。スゥイトナー盤もかなりゆっくりめのテンポですが、こちらは第1楽章のさらにゆっくりしたテンポが印象的。とても堂々とした感じを受けます。
できれば、快速テンポの演奏も聴いてみたい気がしますが、ここはやはりジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団のスタジオ録音のCDを探したいところです。
ちなみに、表記されたローベルト・ヘーゲルとは誰のことかと思ったら、ロベルト・ヘーガー教授のことらしい。Wikipediaの「ベルリン国立歌劇場」という記事(*)に出てきました。
参考までに、演奏データを示します。
■スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ
I=10'40" II=6'46" III=6'39" IV=5'22" V=6'30" total=35'57"
■ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団
I=11'02" II=6'10" III=5'50" IV=5'48" V=6'18" total=35'08"
写真は、旧山形県議会を修復した議場ホール。マイクロホンのなかった時代に、肉声がよく通るように作られたせいでしょうか、収容人数は小規模ですが室内楽や声楽のリサイタルなどには絶好の、とても音響と雰囲気のよいホールです。撮影した日は、たまたま吹奏楽アンサンブルの演奏会の仕込みをしていました。
(*):Wikipediaより「ベルリン国立歌劇場」の記事
【追記】
年号に誤りがありましたので、訂正しました。(2021/09/05)
この曲は、通常4楽章からなる古典派交響曲とは異り、5楽章からなる構成を取っています。病気が次第に進行し、脳梅毒による運動機能障碍の徴候が隠せなくなってきた頃、ドレスデンからデュッセルドルフに転居したシューマン40歳(1850年)の作品。社会的にも働き盛り、家庭的にも子育ての大切な時期です。半生の経験と知識を傾注した、堂々たる作品だと思います。
第1楽章、ベートーヴェンの「エロイカ」と同じ変ホ長調、いきいきと。大きな曲の始まりを感じさせます。この楽章は、速いテンポで演奏しても曲想にマッチするように思いますが、ここでは堂々としたテンポで響きは柔らかく、をモットーにしているようで、金管楽器の響きがとてもきれいです。
第2楽章、ハ長調、きわめて穏やかに。のどかないい音楽です。
第3楽章、変イ長調、速くなく。こちらもゆるやかで夢見るような音楽。解説を見て気づきましたが、そういえば金管楽器やティンパニが活躍しません。
第4楽章、変ロ短調、壮麗に。ケルン大聖堂の大司教が枢機卿に推挙された折の祝典が発想の元になっているのだとか。ホ短調の、いかにも交響曲!という雰囲気を持った壮麗な音楽です。シューマンがこういう音楽を書いたときに念頭にあったのは、メンデルスゾーンが復興に尽力したバッハのオルガン音楽だったのでしょうか。
第5楽章、いきいきと。再び変ホ長調に戻ります。ファンファーレのようなトランペットが随所に活躍し、ティンパニが決然とリズムを刻み、祝典的な気分で終わります。スカッとする終わり方です。
スゥイトナー盤は、比較的ゆっくりめのテンポで、たたみかけるような緊迫感や居丈高な壮麗さよりは、ゆったりとしたおおらかなイメージを描かせる演奏で、曲の感じとよくあっているように思います。通勤の音楽にはとてもあいますし、今日のようなお天気の良い休日に、コーヒーを飲みながらシンフォニーを聞いてほっと一息、という時にもいいものです。
シューマンの「ライン」交響曲は、このほかに DENON My Classic Gallery シリーズの一つ、GES-9215 に収録された、ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団の演奏も聞いています。スゥイトナー盤もかなりゆっくりめのテンポですが、こちらは第1楽章のさらにゆっくりしたテンポが印象的。とても堂々とした感じを受けます。
できれば、快速テンポの演奏も聴いてみたい気がしますが、ここはやはりジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団のスタジオ録音のCDを探したいところです。
ちなみに、表記されたローベルト・ヘーゲルとは誰のことかと思ったら、ロベルト・ヘーガー教授のことらしい。Wikipediaの「ベルリン国立歌劇場」という記事(*)に出てきました。
参考までに、演奏データを示します。
■スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ
I=10'40" II=6'46" III=6'39" IV=5'22" V=6'30" total=35'57"
■ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団
I=11'02" II=6'10" III=5'50" IV=5'48" V=6'18" total=35'08"
写真は、旧山形県議会を修復した議場ホール。マイクロホンのなかった時代に、肉声がよく通るように作られたせいでしょうか、収容人数は小規模ですが室内楽や声楽のリサイタルなどには絶好の、とても音響と雰囲気のよいホールです。撮影した日は、たまたま吹奏楽アンサンブルの演奏会の仕込みをしていました。
(*):Wikipediaより「ベルリン国立歌劇場」の記事
【追記】
年号に誤りがありましたので、訂正しました。(2021/09/05)