昨晩は、山形市の文翔館議場ホールにて、山形弦楽四重奏団の第26回定期演奏会を聴きました。昨年同時期は、残業で涙を飲んだのでしたが、今回はなんとか開演に間に合いました。(^_^)/yattane!
例によって、山形交響楽団に所属するヴァイオリン2名とヴィオラによる3人のレディが組んだ「アンサンブル・ピノ」によるプレ・コンサート。ヘルマン・シュレーダーの三重奏曲Op.114-2だそうです。前半は、20世紀の音楽だとすぐわかる、活発な曲ですが、響きはそれほど不協和音がきついものではありません。後半は、ゆっくりした静かな音楽。むしろ、響きの不思議な美しさを感じます。珍しい曲目だと思います。ヘルマン・シュレーダー(1904-1984)は、20世紀カトリック教会音楽の改革を行った作曲家だそうで、室内楽作品も多いのだとか。貴重な経験をしました。
さて、山形弦楽四重奏団の定期演奏会の始まりは、駒込綾さんのトークから。はじめは挨拶で、これまでの活動を簡潔に紹介し、来月は新庄で演奏するとか、その翌月は福島で演奏会などと、今後の予定をさりげなく紹介します。それから曲目の解説をします。本日の曲目は次のとおり。
1. ハイドン 弦楽四重奏曲 ハ短調、Op.17-4
2. シューベルト 弦楽四重奏曲第10番、変ホ長調、D.87
3. ウェーバー クラリネット五重奏曲、
まずハイドンですが、こちらはエステルハージ侯の館で、弦楽四重奏曲の作曲は求められなかったらしく、カルテットを書きたくてしょうがない若いハイドンの、もんもんとした欲求がストレートにあらわれた曲だそうです。若いハイドンの、とても素敵な旋律が次々に出てくるところなど、彼の思いを受け止めたい、と話します。シューベルトの方は、これも彼が若い(16歳)頃の作品で、ヴァイオリンを兄が、ヴィオラをシューベルトが、そしてチェロを父親が演奏して、1813年の暮に自宅で初演されたものだとか。そしてウェーバー。オペラ作曲家らしく、クラリネットが歌劇の主人公のように用いられ、クラリネットの良さがふんだんに味わえる作品、とのことです。
ハイドンの方は、駒込さんが第1ヴァイオリンで、第2ヴァイオリンは中島光之さん。駒込さんの衣装は、ピンク色の美しいドレスです。さて、演奏が始まります。全体に、まだ4人が対等に演奏するところまではまだいかず、第1ヴァイオリンの見せ場が多い曲のようです。それでも、第2楽章の優雅なメヌエットで第2ヴァイオリンが見せ場を作ったり、第3楽章のアダージョ・カンタービレでチェロの見せ場を作ったり、ちょっとずつ「頑張る」ところを用意しているみたい。フィナーレは再び短調で、第1ヴァイオリンが重音奏法などを聴かせ、激しさのある高揚のうちに終わります。初めて聴きましたが、いい曲です。
続いてシューベルト。今度は第1ヴァイオリンが中島さんに交替。家庭での演奏を想定しているため、特にチェロが易しめに書かれているとのこと。それでも、第2楽章スケルツォは、シャックリのような面白い響きで、ちょっとユーモアを感じる音楽です。第3楽章、アダージョも、素朴な響きで落ち着きます。穏やかな音楽です。第4楽章、チェロの茂木明人さん、ピツィカートで実に楽しそうな表情。シューベルトは、第1ヴァイオリンだけでなく、しっかりと自分(ヴィオラ)にも出番を作っています。倉田譲さんのヴィオラが内声部を支えます。アットホームな佳曲ですね。
15分の休憩の後、山形交響楽団のクラリネット奏者の郷津隆幸さんを迎えて、ウェーバーのクラリネット五重奏曲です。左から第1ヴァイオリンが中島さん、第2ヴァイオリンが駒込さん、中央にクラリネットの郷津さん、チェロの茂木さん、ヴィオラの倉田さんが、譜面台を中央に、半円形に並びます。
第1楽章、アレグロ。クラリネットの音色がきれいです。高音域と中低音域の音色の対比が魅力的で、変な言い方ですが、クラリネットが主役を張る器楽のオペラか室内協奏曲みたいです。茂木さんがようやく本領を発揮し、チェロが活躍、さらにヴィオラが入ると響きがぐっと充実するのがわかります。
第2楽章、アダージョ・マ・ノン・トロッポ。チェロに続いてヴィオラ、そして2つのヴァイオリンの低い音域の暗い音色の上に、クラリネットの音が響きます。オペラで言えば、低い音から高い音まで広い音域を駆使する若い男女の嘆きの歌のようです。
第3楽章、プレスト。クラリネットが、密林の鳥の鳴声のような面白い音。
第4楽章、ロンド:アレグロ・ジョイジョーソ、と読むのでしょうか。クラリネットが楽しげに縦横に活躍します。それにしても、郷津さんのクラリネット、どの音域でも優しくいい音ですね!カルテットはもっぱら引立役にまわりますが、これはもともとがそういう曲なのでしょう。ウェーバーは、クラリネットが好きなのですね。
とりあえず、本日はここまで。帰路は小雪がちらつきましたが、いい演奏会でした。満足です。
例によって、山形交響楽団に所属するヴァイオリン2名とヴィオラによる3人のレディが組んだ「アンサンブル・ピノ」によるプレ・コンサート。ヘルマン・シュレーダーの三重奏曲Op.114-2だそうです。前半は、20世紀の音楽だとすぐわかる、活発な曲ですが、響きはそれほど不協和音がきついものではありません。後半は、ゆっくりした静かな音楽。むしろ、響きの不思議な美しさを感じます。珍しい曲目だと思います。ヘルマン・シュレーダー(1904-1984)は、20世紀カトリック教会音楽の改革を行った作曲家だそうで、室内楽作品も多いのだとか。貴重な経験をしました。
さて、山形弦楽四重奏団の定期演奏会の始まりは、駒込綾さんのトークから。はじめは挨拶で、これまでの活動を簡潔に紹介し、来月は新庄で演奏するとか、その翌月は福島で演奏会などと、今後の予定をさりげなく紹介します。それから曲目の解説をします。本日の曲目は次のとおり。
1. ハイドン 弦楽四重奏曲 ハ短調、Op.17-4
2. シューベルト 弦楽四重奏曲第10番、変ホ長調、D.87
3. ウェーバー クラリネット五重奏曲、
まずハイドンですが、こちらはエステルハージ侯の館で、弦楽四重奏曲の作曲は求められなかったらしく、カルテットを書きたくてしょうがない若いハイドンの、もんもんとした欲求がストレートにあらわれた曲だそうです。若いハイドンの、とても素敵な旋律が次々に出てくるところなど、彼の思いを受け止めたい、と話します。シューベルトの方は、これも彼が若い(16歳)頃の作品で、ヴァイオリンを兄が、ヴィオラをシューベルトが、そしてチェロを父親が演奏して、1813年の暮に自宅で初演されたものだとか。そしてウェーバー。オペラ作曲家らしく、クラリネットが歌劇の主人公のように用いられ、クラリネットの良さがふんだんに味わえる作品、とのことです。
ハイドンの方は、駒込さんが第1ヴァイオリンで、第2ヴァイオリンは中島光之さん。駒込さんの衣装は、ピンク色の美しいドレスです。さて、演奏が始まります。全体に、まだ4人が対等に演奏するところまではまだいかず、第1ヴァイオリンの見せ場が多い曲のようです。それでも、第2楽章の優雅なメヌエットで第2ヴァイオリンが見せ場を作ったり、第3楽章のアダージョ・カンタービレでチェロの見せ場を作ったり、ちょっとずつ「頑張る」ところを用意しているみたい。フィナーレは再び短調で、第1ヴァイオリンが重音奏法などを聴かせ、激しさのある高揚のうちに終わります。初めて聴きましたが、いい曲です。
続いてシューベルト。今度は第1ヴァイオリンが中島さんに交替。家庭での演奏を想定しているため、特にチェロが易しめに書かれているとのこと。それでも、第2楽章スケルツォは、シャックリのような面白い響きで、ちょっとユーモアを感じる音楽です。第3楽章、アダージョも、素朴な響きで落ち着きます。穏やかな音楽です。第4楽章、チェロの茂木明人さん、ピツィカートで実に楽しそうな表情。シューベルトは、第1ヴァイオリンだけでなく、しっかりと自分(ヴィオラ)にも出番を作っています。倉田譲さんのヴィオラが内声部を支えます。アットホームな佳曲ですね。
15分の休憩の後、山形交響楽団のクラリネット奏者の郷津隆幸さんを迎えて、ウェーバーのクラリネット五重奏曲です。左から第1ヴァイオリンが中島さん、第2ヴァイオリンが駒込さん、中央にクラリネットの郷津さん、チェロの茂木さん、ヴィオラの倉田さんが、譜面台を中央に、半円形に並びます。
第1楽章、アレグロ。クラリネットの音色がきれいです。高音域と中低音域の音色の対比が魅力的で、変な言い方ですが、クラリネットが主役を張る器楽のオペラか室内協奏曲みたいです。茂木さんがようやく本領を発揮し、チェロが活躍、さらにヴィオラが入ると響きがぐっと充実するのがわかります。
第2楽章、アダージョ・マ・ノン・トロッポ。チェロに続いてヴィオラ、そして2つのヴァイオリンの低い音域の暗い音色の上に、クラリネットの音が響きます。オペラで言えば、低い音から高い音まで広い音域を駆使する若い男女の嘆きの歌のようです。
第3楽章、プレスト。クラリネットが、密林の鳥の鳴声のような面白い音。
第4楽章、ロンド:アレグロ・ジョイジョーソ、と読むのでしょうか。クラリネットが楽しげに縦横に活躍します。それにしても、郷津さんのクラリネット、どの音域でも優しくいい音ですね!カルテットはもっぱら引立役にまわりますが、これはもともとがそういう曲なのでしょう。ウェーバーは、クラリネットが好きなのですね。
とりあえず、本日はここまで。帰路は小雪がちらつきましたが、いい演奏会でした。満足です。