シンデレラの物語は、いろいろな作曲家が取り上げているようです。私もロッシーニの歌劇「シンデレラ」のDVDを購入し、早口言葉のような(いささか躁状態の)音楽を、少々辟易しながら楽しみました。
ただし、圧倒的に手にする頻度の多いのはプロコフィエフの晩年の音楽。この旋律の見事さ、不思議な雰囲気を表現するオーケストラのかっこよさ。これはなんともいえません。
1.「序曲」、童謡的な可愛らしい始まりではありませんで、堂々とした映画音楽のような、やや物悲しい雰囲気を持つ序曲です。
2.「パ・ド・シャ」、これはどういう意味でしょう。「パ・ド・ドゥ」なんてのもあるから、たぶんバレエ用語でしょう。Googleで"パ・ド・シャ"で検索してみると、こんなページ(*)が。中国語で猫歩ですか。さすが漢字の国。このほうがずっとわかりやすい。
3.「喧嘩」、こちらはいじわるな姉さんたちとの喧嘩か。オーケストラの中で、ピアノが効果的に使われます。
4.「仙女のお婆さんと冬の精」。この曲、好きなんですよ。人を食ったようなユーモラスな木管の出だしからのどかな音楽が展開され、比較的長めの音楽になっています。童話ではカボチャが馬車になり、ネズミが馬になる。実際のバレエでは、きっと見せ場なんでしょうね。
5.「舞踏会に行くシンデレラ」。疾走感のある軽快な音楽が、一転して優雅な足取りに変わります。たぶん、階段を登っていくところか、ホールを進むところなのでしょう。シルクのような美しい音楽です。
6.「シンデレラのワルツ」にふさわしい、ミステリアスな雰囲気をたたえたワルツです。プロコフィエフの音楽の持つ幻想性と叙情性がよく表された音楽のように思います。
7.「真夜中」、時を刻む時計を模した音楽が12時を打ち、盛り上がって終わります。
演奏はテオドル・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団、1994年1月に、キエフのウクライナ国立放送スタジオでデジタル録音されたナクソス盤(8.553273)。プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」に併録されたものです。
プロコフィエフの音楽が、スターリン時代の政治的な文脈を離れることができないというわけでもないでしょうし、暑い夏の休日に、こうして幻想的な音の響きを楽しめるのはありがたいことです。
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中国語バレエ用語辞典