電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

今年の果樹の凍霜害について〜サクランボとリンゴの現状

2023年04月30日 06時00分11秒 | 週末農業・定年農業
この春は寒暖の差が激しく、例年の三寒四温の域を超えたものと感じます。特に三月の暖かさは異常なほどで、その反面、4月になってからの冷え込みは厳しいものがありました。雪も降りましたし、霜の害もかなり影響している(*1)ようです。先日のJAおよび農業技術普及課等からの情報によれば、当地のいくつかの果樹園で調べた結果、グラフの横軸は雌しべの枯死率、縦軸は枯死率別にみてどのくらいの園地が影響を受けているかを表すとき、サクランボでは紅秀峰の開花期にあたり被害が大きかったようです。

一方で、4月25日の早朝の低温と降霜でリンゴやラフランスの雌しべがかなりやられているようです。果樹の大産地である東根市の3園地の調査では、リンゴの「ふじ」では被害の大きい園地で中心果被害が80%にのぼるとのこと、特に大規模専業農家にとっては一大事です。あまり大きくない規模の兼業農家の場合、ある年の不作は兼業の給与収入でカバーして翌年を目指すことができますが、大規模専業農家にとっては痛烈な痛手となるでしょう。

リンゴの場合、最も良好な実を付ける中心花が枯死しても、摘花の段階で別の花を残すことで対処するなど、技術的に対応することは可能ですが、品質はどうしても低下するのはやむを得ません。今年の果樹は、全体的に不作による品薄の傾向が強まるのではないかと予想しています。

我が家の場合、サクランボは二箇所ある園地のうち、自宅裏のほうは住宅地のためやや気温が高いせいか被害は少なく、もう一つの、少し離れたところにある園地ではかなり影響があるようです。当地では八十八夜を過ぎると霜の害もなくなると言われており、病虫害を少なくしてなんとかある程度の収量を確保したいものです。

(*1): サクランボの花芽の生育に雪や霜の影響は〜「電網郊外散歩道」2023年4月

コメント (2)

「聴きたくて聴く」のと「ながら聴く」のとではぜんぜん違う

2023年04月29日 06時00分15秒 | -室内楽
よく晴れた春らしい、いや、むしろ初夏の陽気となった昨日の午前中、布団を干し掃除をして、一服してリビングでCDを流しました。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」というベタな選曲です。この時期、これがいいのだなあ。たまたまそこにあったのが、昔懐かしい「The Royal Philharmonic Collection」中の1枚、FRP-1023 というCDで、ジョナサン・カーネイ(Vn)、ロナン・オーラ(Pf)の演奏(*1)でした。私の場合、ベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」は特に誰の演奏でなくては、というような決めつけはありません。瀬戸内の春も都会の春も、また北国の春も、それぞれに春の魅力にあふれているでしょうから、どれが一番と決められるようなものではないのと同じです(^o^)/

Beethoven: Violin Sonata No. 5, Grumiaux & Haskil (1957) ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番 グリュミオー


Sayaka Shoji and Gianluca Cascioli play Beethoven : Violin Sonata No.5 in F major, Op.24 "Spring"


こうして、「この曲を聴きたくて」CDを手にして、あるいは演奏の動画等を探して聴くのは、ラジオやネットで流しっぱなしの「ながら聴き」とはぜんぜん違います。何を今更の、あたりまえの話ではありますが。

(*1): ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」を聴く〜その2〜「電網郊外散歩道」2011年2月


コメント

備忘メモノートF.O.B.coopF64の罫線がかなり強いので

2023年04月28日 06時00分40秒 | 手帳文具書斎
今年の3月に Ca.Crea から F.O.B.coop64F に更新(*1)したばかりの備忘メモノートですが、罫線の色がやけに濃くて目立ちます。今までの Ca.Crea の方眼線がごく薄く目立たないものだったので、余計に気になってしまいます。顔料ブルーブラック・ボールペンの 0.5mm では罫線の存在に負けてしまいますが、油性の黒1.0mm などの主張の強いインクのほうが適合するのかもしれません。裏抜けテストでは、プラチナの古典ブルーブラックはもちろんですが、黒インク・カートリッジでも Preppy F (0.3mm) ならば大丈夫のようです。きれいに書くノートではないので、三菱の PowerTank Smart の黒 1.0mm なら万全でしょうか。




(*1): 備忘メモノートを更新、Ca.crea から F.O.B.coop F64 へ〜「電網郊外散歩道」2023年3月

コメント

本当に恵みの雨だった〜疲労回復の雨の日に合唱を聴く

2023年04月27日 06時00分08秒 | -オペラ・声楽
昨日は夜半から雨の音がしました。どうやら雨が降っているらしいと思いながら、安心して二度寝。かなりしばらくぶりの雨でしたので、カラカラだった畑には本当に恵みの雨になったようです。野菜苗の植え付けにはありがたいお天気ですが、逆に言えば準備をせかされる面もあります(^o^)/

終日、断続的に雨が降り、畑にも出られずに、日中コタツに横になったら寝てしまいました。寒いのでヒーターをつけてちょうどよいくらいです。たまたま流れたドヴォルザークの交響曲第8番が心に響き、実に良いので、起き出して音楽を聴き始めました。雨の日には懐かしの合唱曲でしょう。

まずは、「シェナンドー」から。UNT とは University of North Texas の略称みたいです。
UNT A Cappella Choir: Shenandoah


つづいて「峠のわが家」を広島県立美術館での東京オペラシンガーズの歌で。にほんのうた2019 より。


「ジェリコの戦い」をユタ大学室内合唱団で。
The Battle of Jericho - University of Utah Chamber Choir


うーむ、いいなあ。若い時代には声も出るし歌うのも楽しい。今は、声域は狭くなったし息は切れるけれど、歌心は変わらないと感じます。それは、リビングの梁に取り付けた自作スピーカから流れる歌声のせいばかりではないでしょう。(写真は今年の2月のもの。我が家の猫「李白」はだいぶ大きくなりました。)

コメント (2)

桃の摘花がなかなか進まない〜今年はやけに風が冷たい4月だ

2023年04月26日 06時00分41秒 | 週末農業・定年農業
今は、桃の摘花を進める時期です。妻の足の具合が悪いので、なかなか畑に応援に出られません。いきおい、一人の力では作業能率も半分に落ちてしまいます。加えて、日差しは暖かいのですが、今年はなんだか冷たい風が連日かなり強く吹き、とくに午後は高い脚立に上るのが怖いほどです。今のところ、実を付けさせない2年目の若木の花をぜんぶ取り去り、植えて6年めの「あかつき」の摘花をしているところです。



写真は、右側のピンク色のところが摘花前、左側のスカスカの枝が摘花後の様子です。こんなふうに、樹ぜんぶを摘花していきます。



亡父が元気だった頃、せっかくの花をどうして摘んでしまうのか、と問うたところ、あれがぜんぶ実がなったらどうなると思う?と逆に聞かれて、なるほどと思ったものでした。農作業のお供は、USB メモリに入れた mp3 形式の音楽ファイルを再生できる某国製のラジオです。電源スイッチが不安定で、ちょっとぶつかると電源が落ちてしまいますが、無意味なおしゃべりやCMが入らないクラシック音楽専門の番組みたいでありがたい。



冷たい風の中、防風衣を着ているとは言うものの、数時間外に出ているとぶるぶる寒くなります。屋内に引っ込んで、暖かいコーヒー等で一休みする時、思わずホットコーヒー、ほっとします。



ちなみに、サクランボ「佐藤錦」はただいま満開期を過ぎて花吹雪になりつつあるところです。満開10日後の防除が灰星病、褐色穿孔病の対策には重要になりますが、まだ満開後10日まではいかない時期ですので、今は桃の摘花が最重要課題。



白いサクランボとピンクの桃の花のコラボレーション。今だから楽しめる風景です。

(*1): 桃の摘花のしかたは〜最近の私の流儀〜「電網郊外散歩道」2022年4月
(*2): 桃の摘花が半分ほど終わる〜「電網郊外散歩道」2017年5月

コメント

今年こそプルーンのシンクイムシ対策をなんとかしたい

2023年04月25日 06時00分53秒 | 週末農業・定年農業
昨年は、サクランボと桃の管理に労力を注いだせいか、スモモやプルーン、特にプルーンのシンクイムシ対策をタイムリーに実施することができず、被害が顕著というよりも「ほぼ全滅」に近い状態でした。出荷したとしても価格が安く、あまり経営面での貢献は少ないのですが、それでも孫や親戚に送ったりご近所に配ったり自宅で食べることができないのはくやしいです。今春から非常勤の勤務もなくなり、日中の時間がかなり自由になるのですから、今年こそはなんとかしたいものです。対策としては、

  • 4月中旬〜下旬にコンフューザー「ナシヒメコン」を設置することで交尾妨害と産卵抑制を行う。


     (4月18日のシュガープルーン、まだ開花していない。)

      (4月24日のシュガープルーン。4月21日ころに開花した。)

  • サクランボの殺虫剤が解禁となる5月〜6月の発生期に、ダイアジノン等の散布を行う
  • プルーン、スモモ、なし等の幹周りを耕して、土中に生息する幼虫を減少させる

などでしょうか。ネット上にある文献等を参照しながら、有効な対策を試みていきたいところです。



ちなみに、しばらくぶりにコンパクトなデジタルカメラを持ち出しました。横長のものがスマートフォンで、4対3のものがデジカメによる撮影です。お天気が違うので明るさなど一概には言えませんが、花の自然な感じはやっぱりカメラのほうがいいかな。

コメント (2)

愛用するボールペンのリフィル交換

2023年04月24日 06時00分56秒 | 手帳文具書斎
先日、農作業メモに防除予定などを書いていたら、愛用するボールペン、パワータンクPowerTankスマートのインクがストンと切れて書けなくなりました。見ると、加圧式だけにインク残量が完全に空っぽです。買い置きの替え芯を探して同じ1.0mmの黒を交換しました。使い切ったリフィルを見ると、2021年APRと書いてありますので、ちょうど2年で使い切ったことになります。同じパワータンクでも、1.0mmのスムーズな書きやすさは別格と感じますし、加圧式で上向きでもビニル袋にでも書けますので、今後とも農作業メモにはメインの筆記具として使っていく予定です。



もう一つ、ジェットストリームJetstream赤の1.0mmもちょうどインクが切れました。PowerTankの赤の1.0mmならば何度か交換した記憶もあり、記事にもしています(*1)が、こちらはリフィルに交換時期の記載なしです。軸のデザインから見て、もしかすると使い始めた2007年ころのもの? いや、たぶん一度か二度、リフィルを交換しているのだろうけれど、たまたま記事にはしていなかった、ということでしょう。

ボールペンのリフィルを交換する時、ちょっと年・月をマジックで記入するだけで、興味深い記録となります。面白いものです。

(*1): パワータンクのインクが切れたので替芯に交換する〜「電網郊外散歩道」2018年4月

コメント

畑仕事が終わった後にはお気に入りの音楽を聴こう

2023年04月23日 06時00分02秒 | -オーケストラ
昨日は、早朝から(*1)サクランボの満開期とリンゴの開花前の防除を行い、シャワーを浴びて一休みしていたら、お昼まで寝入ってしまいました。遅い昼食の後、のんびりとお気に入りの音楽を聴きました。寝起きで少しぼーっとしているときは、何を聴こうか、曲目がパッと決まりません。そういえば、先日の山響の定期演奏会で聴いたチャイコフスキーが良かったなあ。チャイコフスキーの4番の交響曲を聴いてみよう。いつもはジョージ・セルがロンドン響を指揮したデッカ盤の録音等を選ぶことが多い(*2)のですが、今回はすでにパブリック・ドメインになっているオーマンディ指揮フィラデルフィア管による1963年の録音を聴きました。

Tchaikovsky: Symphony No. 4, Ormandy & PhiladelphiaO (1963) チャイコフスキー 交響曲第4番 オーマンディ


うん、いいなあ。激遅情念系の演奏はどちらかといえば苦手ですが、こういう演奏は好物です(^o^)/
もう一つ、ブラームスのハンガリー舞曲集をハンス・イッセルシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団による1962年の録音で。

Brahms: Hungarian Dances (Orchestral ver. Complete), Schmidt-Isserstedt (1962) ブラームス ハンガリー舞曲集


できればこういう録音をお供に脚立に上り、桃の摘花作業を楽しみたいところですが、枝に引っかかりやすいイヤホンを使わないポータブルなMP3等のUSB再生機器というと、なぜか某国製品くらいしか見当たらず、手持ちの SCHUSONS 製品は電源SWが不安定になってしまってます。それなら、SONY の CD/SD/USB ラジカセを畑で乾電池で運用するというのはどうなのだろう?

(*1): 果樹園の防除を早朝に行う理由と訪花昆虫のこと〜「電網郊外散歩道」2021年4月
(*2): パブリック・ドメインになった音楽の中でも〜チャイコフスキー「交響曲第4番」を聴く〜「電網郊外散歩道」2016年9月

コメント (3)

もう一つの園地の農作業〜草刈りと剪定枝の焼却など

2023年04月22日 06時00分37秒 | 週末農業・定年農業
通勤がなくなり、時間が自由になるようになったとはいうものの、お天気しだいでやっぱり機会は限定されます。自宅裏の農作業を一段落して、もう一つの園地のほうに取り掛かりました。まずは乗用草刈機で草刈りをします。この機械はエンジンのスロットルを手動でコントロールするタイプですが、レバーが入る固さを調節してもらい、ようやくカチカチとスムーズに入るようになりました。お天気が良いと気分はゴーカートで、2時間ほどで作業をあらかた終わり、翌日は朝から残っていた剪定枝を焼却することとしました。



風の条件が安定する3月中に焼却できれば良かったのだけれど、1日付きっきりになる機会がなかなかとれず、4月にずれこんでしまいました。4月はお天気が周期的に変わり、前線や気圧の谷が通過する前後はかなり強い風が吹きますので、剪定枝の焼却には必ずしも適していません。それでも、無風に近い条件の日を選び、少しずつ焼却することに。周囲の草は、枯れ草への延焼を防ぐためにわざと残しています。




いったん火が着くと、熱がすごいです。一度に燃やす量を制限して、燃え落ちる頃に再投入する形で少しずつ燃やします。途中で風が出てきましたので、土をかぶせて対応しました。土の中で少しずつ燃えて灰になっていき、翌日には一部の燃え残りを除きすっかり灰になってしまいます。灰と砕けた細かな炭は、土と混ぜて畑に入れ、肥料兼土壌改良材とします。



この作業が終わると、桃の摘花作業が待っています。早生種のサクランボの収穫が始まる6月初旬まで、少しずつ、辛抱強く、桃の摘花を進めましょう。

コメント

ジェネリック医薬品の流通状況はまだ混乱しているのだろうか

2023年04月21日 06時00分13秒 | 健康
いつもの耳鼻咽喉科に通院していつものお薬を処方してもらっていますが、先日、「おや?」と思うことがありました。アレルギー性鼻炎の対処として、運転時に眠くなりにくい薬をお願いして、ずっとフェキソフェナジン塩酸塩を使っています。実際は「アレグラ」のジェネリック医薬品なのですが、これが錠剤の形が小判型から丸形へ変わっている、すなわち「三和」から「明治」へ、メーカーが変わっていることに気づいたのです。



尋ねてみたら、ジェネリック医薬品の流通状況がまだ混乱しているのか、薬局にいつものメーカーの製品が届かないということで、違うメーカーのものにしたらしい。もともとは某製薬メーカーの不祥事で行政処分がくだされ、そのためにジェネリック医薬品の流通状況に異変が起こったということだったようなのですが、あれからだいぶ日数が経つのにまだ混乱しているのでしょうか。それとも何か別の問題が起こっていてその影響でもあるのでしょうか。そのへんの事情はよくわかりませんが、ことが薬だけに、もしまだ混乱が続いているのであれば早い回復を願いたいものです。幸いに、代替品があったので良かった〜(^o^)/

コメント (2)

映画「生きる〜LIVING」を観る

2023年04月20日 06時00分45秒 | 映画TVドラマ
少し前になりますが、息子からの情報により、妻と息子と一緒にフォーラム山形で映画「生きる〜LIVING」を観てきました。題名のとおり、黒澤明監督作品「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロが1950年代の英国を舞台に脚本を書き、原作にかなり忠実にリメイクした作品です。

映画の冒頭、今は見慣れた横長の画面ではなく、4×3の昔ながらのスクリーンに走る列車のシーン、流れる音楽のノスタルジックな雰囲気にグッとやられました。加えて主人公ウィリアムズ(ビル・ナイ)が勤務する市役所の市民課の雰囲気、調度品や雑然と積み上がる書類の山、課に一台だけの黒電話、手回しの鉛筆削りやインクとつけペン等の文具類、陳情するご婦人たちが提出する書類の綴り方など、ああ、そうだった、情報化以前、いや、オフィスの事務革命以前の姿はこんなふうだったと、ストーリー外でも思わず感動してしまいました。特に、たらい回しをされながら別の課にねじ込む際に、新人のピーターをお供に10箱もの書類を持ち込む迫力、あれはアナログな手書き文書だから通用する手法でしょう。

ストーリーは原作同様で、妻の死後ずっとことなかれ主義に浸ってしまっている市民課長ウィリアムズが主治医からガンで余命半年、長くて9ヶ月との宣告を受け、自らの人生の意味を考えてしまいます。残り人生を楽しもうにも、楽しみ方がわからない。悩み逡巡し無断欠勤を続けますが、どうもロンドン市役所の勤怠管理はザルなようで、その間、同僚だった若い娘マーガレットと噂になるほどの「交際」をしますが、彼女の天真爛漫な明るさに救われる形で、陳情のあった公園を作る仕事に意味を見出し、没頭していきます。そして順次その過程を描くのではなく、ウィリアムズ課長の葬儀の後に故人の残したものが周囲の人たちに、特に若い職員ピーターにどんなふうに受け止められたかが描かれる、というお話です。

イギリス映画らしい重厚な雰囲気と俳優陣、中でも主人公ウィリアムズを演じるビル・ナイ氏の抑制された演技が素晴らしい。作中のさまざまな場面に挿入される音楽も見事でした。妻と共に、久々に良い映画を観たという充実感が残り、後味の良い経験となりました。

<予告>『生きるLIVING』【3/31公開】


ピンストライプの背広にネクタイをしめ、帽子と革靴、書類かばんとこうもり傘という当時の英国紳士のスタイルは、ある程度の財産を所有する中産階級のステイタスを表しますが、息子夫婦が皮算用する場面は、郊外に家と預貯金を持ち相続を前提とするから成り立つ場面です。ドライな嫁と寡黙な父親の間に挟まれ、遠慮しがちだった息子は、余命宣告を受けていたことを自分には知らせてくれなかった、自分は父親の話を聞いてこなかったと悔いています。噂になっていたマーガレットには話していたかどうかをたずねますが、マーガレットは自分も知らなかったと嘘をつきます。相手(息子)の心情を思いやる、マーガレットの優しさを感じさせる場面です。そのほか、魅力的なシーンが多数ありました。私はめったに他人様におすすめしたりすることは少ないのですが、これは「機会があればぜひに」とおすすめできる映画でした。できればカズオ・イシグロの脚本を書籍の形で読んでみたいものです。

(*1): 映画「生きる〜LIVING」公式サイト

コメント

果樹園だけでなく亡母が植えた花たちも今を盛りと

2023年04月19日 06時00分02秒 | 季節と行事
爛漫の春です。果樹園の花々だけでなく、元気だった頃に亡母が植えた花たちも今を盛りと咲いています。ヒマラヤユキノシタはすでに記事にしましたが、白い水仙が清楚なたたずまい。横画面で斜め上からだとまあ普通の写真になりますが、真上から縦構図だとちょいと一風変わった風情になります。



クリスマスローズが加わると、奥行きが加わり立体的に見え……いや、むしろ手入れ不足が目に付きます(^o^;)>poripori



色で言えばあざやかなシバザクラが咲き始め。



冬の寒い時期にはあちこちが痛いと言っていた妻も、陽気に誘われていくつか花苗を買ってきて植えたようです。玄関先に少し彩りが出てきたかな。パスタ好きなワタクシ的には、去年たしか購入して畑に植えそびれたパセリが、フラワーポットで冬越ししてまた緑に増えているのがうれしいんだけど(^o^)/



コメント

果樹園の春〜自宅裏の果樹園近況

2023年04月18日 16時52分07秒 | 週末農業・定年農業
4月も半ばを過ぎ、例年にないほどの早さで春が本格的になってきています。梅も桜もすっかり散り、スモモはほぼ満開、ただいまサクランボと桃が開花期を迎えております。自宅から裏の畑に出ると、果樹園の開花の具合がよくわかります。こちらはサクランボ、4月14日現在の佐藤錦の状況です。





早生種の紅さやかや、晩生種なのに開花が早い紅秀峰などはすっかり満開に近い状態ですが、佐藤錦はちょうど開花を迎えた頃合いです。霜の害も紅秀峰がとくに顕著のようで、おそらくは半減となる見通し。幸いに、主力の佐藤錦はそこまではいかず、今のところ二〜三割の減といったところでしょうか。

もう一つ、桃の開花の様子です。まずは、8月上旬の「あかつき」です。こちらはちょど開花期を過ぎた頃合いで、4月14日現在では三分咲といったところでしょうか。




収穫期が少し遅く8月下旬〜9月上旬となる「川中島白桃」は、「あかつき」よりも数日遅れて開花しますので、ちょうど咲き始めたところです。



こちらは亡父が植えた老木ですので、半分が枯れて半分が残っている状況ですが、自宅からは少し離れたもう一つの園地のほうに「川中島白桃」の主力は移行しておりますので、同品種の生育の状況を知るためのモニターのような役割です。




スモモの白い花が終わる頃、プルーンも咲き始めます。今年はシンクイムシの被害をなんとか防止したいと、「ナシヒメコン」というコンフューザーを下げました。これは、「性フェロモンの特異的作用によって対象害虫の交尾を連続的に阻害し、害虫の発生を抑制することを目的と」する薬剤だそうで、直接的な殺虫効果はないものの、スモモやプルーンなどに卵を産み付けられ、のきなみ落果する被害を少なくすることを期待しています。



桃の花が咲けば、摘花作業が待っています。春の陽気に誘われて、ポータブルラジオをお供に、根気よく花摘みの日々となります。今朝から朝仕事にでましたので、いつもの定時更新はできませんでしたが、なんとか毎日更新は続けたいところです。

コメント

山響第308回定期演奏会で尾高惇忠、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキーを聴く

2023年04月17日 06時00分34秒 | -オーケストラ
創立50周年の記念年を過ぎて新たに百周年を目指す、山響こと山形交響楽団の新シーズンの幕開けとなる第308回定期演奏会を聴きました。今回のプログラムは、

  1. 尾高惇忠 「音の旅」(オーケストラ版、抜粋)
  2. ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 Op.107 矢口里菜子(Vc)
  3. チャイコフスキー 交響曲第4番 ヘ短調 Op.36
      広上 淳一 指揮、山形交響楽団

というものです。発表されたときから楽しみにしていましたので余裕を持って出かけたはずでしたが、なんと! 駐車場がどこも満車です! 山形テルサの駐車場も、やまぎん県民ホールの駐車場も、ワシントンホテルの駐車場も、駅ビルの駐車場も、どこもみな満車! 仕方がないので、最後の手段でちょいと料金が高いけれども確実に空いている可能性の高い霞城セントラルの屋内駐車場にしたら、なんとかセーフでした。事情を聞いてみると、どうやらやまぎん県民ホールで開かれているミュージカル「ジキルとハイド」の影響らしい。そっちか〜!



さて、山形テルサホールに入り、プレコンサートトークを待ちます。今回は西濱事務局長と広上淳一さんの掛け合い漫才になるかと思ったら、むしろ「広上淳一、大いに吠える! オーケストラは街の顔、コミュニティの中核だ!」の巻でした。広上さんによれば、オーケストラはその街の人が育てていくもので、その街やその国の品格を表す。むしろ、都市の顔、コミュニティの中核と言ってよい。中には政治や経済界の影響力のある人でも、オーケストラはベルリン・フィルやウィーンフィルがあればよいとさえ言う人がいるが大きな間違いで、むしろ成金的傲慢さに通じるものと言うべき。日本国内にプロのオーケストラは38団体あるが、山響は今や世界的レベルになっている。リップ・サービスでも何でもなく、山形の人たちはそのことを誇ってよい。オーケストラは1つでも潰してはいけないのだ、とのことでした。全く同感です。

ステージ上はいつもの編成よりもかなり拡大されたもので、指揮台を中心にして左から第1ヴァイオリン(10)、第2ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(6)、コントラバス(3)、要するに 10-8-6-5-4 の弦楽五部となっています。コンサートマスターは、高橋和貴さん。正面奥にはフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)、この木管セクションの左側にハープとチェレスタが配置され、木管群の奥にはホルン(4)とトランペット(2)、さらにその後方、ステージ最奥部にはティンパニを中央に、右手にトロンボーン(3)とチューバ、左手にパーカッションがずらりと並びます。内訳は、シンバル、バスドラム、スネアドラム、サスペンド・シンバル、シロフォン、グロッケンシュピール、です。この編成で演奏されるのが尾高惇忠「音の旅」抜粋です。もともとは14曲からなるピアノ連弾用の作品なのだそうですが、オーケストラ版では新たに1曲を加えて15曲としたもので、その中から5曲を選んで抜粋したもの、だそうです。第1曲「小さなコラール」、第2曲「森の動物たち」、第4曲「優雅なワルツ」、第6曲「エレジー」、第16曲「フィナーレ〜青い鳥の住む国へ〜」というもので、もちろん初めて耳にしましたが、昨年秋に広上淳一さん指揮で初演された、なんだか可愛らしい面もある佳曲と感じました。

ステージ上は一部の配置が変更され、第1ヴァイオリンがやや左に移動してソリストのスペースを空けて、ここに独奏チェロが来ます。楽器編成は、10-8-6-5-4 の弦楽5部に、Fl(2:うち1はPicc持ち替え)、Ob(2)、Cl(2)、Fg(2:うち1はCont.Fg持ち替え)、Hrn(1)、Timp.、Cel. というもので、かなり異色のものです。深い緑色のドレス姿で登場したチェロ独奏の矢口里菜子さんは、小川和久さんと共に山響のチェロ首席奏者で、今回は矢口さんが抜けたためにチェロ(5)という形になっているようです。ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番は、実演では2006年9月の第175回定期演奏会で、工藤すみれさんの独奏で一度だけ聴いています(*1)。このときもたいへん興味深く聴きましたが、さて今回の演奏は;
第1楽章、アレグレット。特徴的な忙しないようなリズムで始まり、オーケストラもこれに応じます。矢口さんの集中がスゴイ。聴き手にもピリピリと伝わります。ホルンも独奏的に働き、緊迫感を高めます。
第2楽章、モデラート。弦楽合奏が重々しく奏される中に、弔いの歌のようなホルンの音が響きます。チェロが瞑想的な旋律を奏で、クラリネットが深い音を聴かせます。オーケストラも悲歌を歌い、チェロとチェレスタの静かなかけあいの緊張感! ティンパニの遠い轟きの中で静かに終わりますが、休みを入れずにそのまま次の楽章へと移っていきます。この第3楽章が独奏チェロの長大なカデンツァで、多彩な技巧を駆使しつつ表現されるのは、多くの視線の中にあって一人奮闘する高揚感なのか、苦闘する孤独感なのか、それとももう少し別のものなのか。ここもアタッカで次の楽章へ。第4楽章、アレグロ・コン・モト。冒頭の主題をしつこく繰り返しながら聞かせるショスタコーヴィチ節は、ある意味、何かに追われながら逃げているようなスリリングな展開でした。いや〜、オーケストラも独奏チェロも、良かった〜!
聴衆の拍手に応えて、矢口さんのアンコールは「鳥の歌」でした。カザルスが国連で演奏したときと同じく、鳥たちがピース、ピースと歌っていると伝えたかったのでしょうか。

休憩の後、3曲めはチャイコフスキーの交響曲第4番です。この曲は、チャイコフスキーにとっては夫人との離婚問題で自殺未遂まで引き起こすほどの失意の時期を経て、フォン・メック夫人の経済的・精神的な応援によりようやく回復期に入る頃の作品です。基本的には暗いトーンが流れているのですが、その中でも印象的な工夫が織り込まれ、個人的にはチャイコフスキー作品の中でお気に入りの音楽となっています。
楽器編成は、10-8-6-6-4 の弦楽5部、チェロが6になったのはショスタコーヴィチでソロを聴かせた矢口さんが定位置に戻ったから。演奏家もなかなか大変です。木管が Picc(1)-Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2) となっており、ピッコロはFl(2)の持ち替えではなくて小松崎さんが担当。金管は Hrn(5)-Tp(2)-Tb(3)-Tuba とこちらも増強。最奥部正面にティンパニ、その左側にバスドラム、シンバル、トライアングルのパーカッションが位置しています。第1楽章、今回の演奏で気づいたことは、ティンパニがほとんど常にバックでリズムを刻んでいること。そういえば、プログラムでも常磐紘生さんが★(首席奏者)になっています。そういえば、今回のプログラムでは3曲ともティンパニが大活躍していることに今更ながら気づいた次第。第2楽章、弦のピツィカートの中でオーボエが主題を奏し、これがチェロに移ってやがて弦楽合奏になっていきますが、このときの木管の、あるいはホルンやトランペット等のバックがほんとにすてきです。
第3楽章、終始、弦楽セクションが弓を置いてピツィカートで奏されますが、広上さん、踊るように指揮をします。こういうところ、チャイコフスキーはかなりアバンギャルドだったのかもしれません(^o^)/
もう一つ、コントラバスの piz. はやっぱり迫力が違います。そして Ob の一声でガラリと変わり、弦楽セクションがお休みで管楽セクションの出番となるあたりの切り替えも、チャイコフスキーはかなり割り切ってる気がする(^o^)/
第4楽章、ここは何と言ってもシンバルの大爆発! 決して明るい曲ではないけれど、カッコいい音楽です。いつもの山響よりも拡大されたパワフルな響きで、こうした伸びやかな演奏もいいものです。広上淳一さんの面目躍如といったところでしょうか。良かった〜!



しかし、昨年と比べて今年の定期会員数が100人も増え、某ミュージカルの山形公演とぶつかっても定期演奏会がほぼ満席になるというのは、山響の評価と人気がいよいよ高まってきているということだな。これはたいへん喜ばしいことです。次回の定期演奏会も楽しみです。

(*1): 山形交響楽団第175回定期演奏会を聴く〜「電網郊外散歩道」2006年9月

コメント (2)

眠れないほどの鼻づまりの治療を始めて3ヶ月

2023年04月16日 06時00分47秒 | 健康
昨年の暮れからお正月にかけて、夜も眠れないほどの鼻づまりが何日も続き、耳鼻咽喉科でポリープをともなう副鼻腔炎との診断を得て、鼻洗浄と投薬治療を始めました。治療を開始して40日くらいの経過はすでに記事にした(*1)ところですが、およそ3ヶ月が経過した現在の状況は;

治療をしてちょっと良くなると勝手に中断してしまうのを防ぐために、コクヨのバインダーノートに記録を取り始めましたが、それによれば約3ヶ月、正確に言えば95日を過ぎております。この間、徐々にではありますが、改善が見られた点は、次のとおりです。



  • 鼻づまりで夜半に目覚めてしまい、点鼻薬をスプレーしてまた寝るという頻度はかなり減少しました。まだ、例えば寒くて鼻かぜ症状になったときに再現しますが、2日ほどで明け方まで眠れるように改善されました。
  • 鼻洗浄で片側は通るけれども他方は口から出てしまうという片方づまり状況はほぼなくなりました。鼻洗浄がしっかりできると、点鼻薬も有効になるようです。
  • カルボシステイン錠がしっかり効いているようで、鼻をかむとちゃんと出ます。朝に喉の奥にからまるような変な味はだいぶ少なくなりました。



総じて、劇的な改善というほどではないけれども、ゆるやかに改善の方向に来ているようです。鼻洗浄と投薬治療の状況を客観的に把握するために、バインダーノートに記録するというやり方はたいへん有効なようです。もう一つ、昔のことはよく覚えているのにさっき薬を飲んだかどうか定かではないような短期記憶の弱体化に対応するにも、薬を飲んだら記録するという習慣(*2)がやっぱり有効なようです。



ところで、正しい鼻のかみ方が普及されない理由の一つに、歯磨きは小学校などの健康指導の時間に何度か習ったことがあるけれど、正しい鼻のかみ方は一度も習ったことがないことや、家庭でも人前で鼻をかむのは礼儀に反し、見えないところで鼻をかむというエチケットが主流で、他人の鼻のかみ方を意識することが少ない、ということもあるように思います。歯磨き指導が若い世代の歯周病疾患を激減させたように、耳鼻咽喉科の関係者が小学校の低〜中学年あたりで継続的に「正しい鼻のかみ方」を指導したらどうかと思いますが、はたして現実性はあるものだろうか?

(*1): 鼻詰まりの治療の経過は〜「電網郊外散歩道」2023年2月
(*2): 薬を飲み忘れないために〜「電網郊外散歩道」2013年3月

コメント