土曜の夕方、仕事を終えて山形市の文翔館に向かいました。山形中央で高速を降り、なんとか開演に間に合いました。今回は、ヴィオラの倉田さんが挨拶と曲目の紹介を行い、セカンド・ヴァイオリンの駒込綾さんが今回の演奏会を最後に退団することとなり、今日は最後の演奏会となること、後に同じ山形交響楽団のヴァイオリニストで、プレ・コンサートに出演した今井東子さんが入り、団としての活動は続きますと説明がありました。良かった~。
本日のプログラムは、
(1) ハイドン 弦楽四重奏曲 ハ長調 Op.50-2
(2) クルッセル クラリネット四重奏曲第2番 ハ短調 Op.4
(3) グラズノフ 弦楽四重奏のための五つのノヴェレッテ
となっていますが、まず中島光之さんが立ち、今回の大震災で亡くなられた方々のために、モーツァルトの「レクイエム」から「ラクリモザ」を演奏しますので、お聴きの皆様も黙祷をお願いします、との依頼がありました。
モーツァルトの「白鳥の歌」となった「レクイエム」の、絶筆箇所である「ラクリモザ」の旋律が弦楽四重奏で流れると、美しくも悲しみに満ちた音楽に感動します。
そしてハイドンの弦楽四重奏曲ハ長調、「プロシャ王」の愛称を持つセットから、作品50-2です。
第1楽章:ヴィヴァーチェの指示のとおり、気分は晴れやかで、穏やかな親密さを持ちます。ハイドンの弦楽四重奏曲の常なのか、1st-Vnの比重が大きいとはいうものの、2nd-Vnの出番もけっこうあるようで。駒込さんは、モスグリーンとでも言うのでしょうか、落ち着いた大人の色合いのドレスです。大きく肩の開いたドレスで寒くないのかな、などと余計な心配をいたしました(^o^)/
第2楽章:アダージョ。2nd-Vnが低めの音域でしっとりと旋律を奏でると、1st-Vnが高い音で引き継ぎます。おやおや、中島さん、本日は眼鏡です。花粉症でコンタクト不可?学者みたいで、よく似合います。白いワイシャツにピンクのネクタイという、茂木明人さんのチェロの、低い音域から高い方へ縦横にかけめぐる音が、とても充実して響きます。
第3楽章:メヌエット、アレグロ。べつに難曲や力作・大作でなくたって、こういう雰囲気の曲は好ましいものです。いかにも親密で楽しそう。話しかけ、答えを待つように、ふと休止する「間」が実にいい感じ。ハートウォームです。
第4楽章:フィナーレ、ヴィヴァーチェ・アッサイ。2nd-Vnとヴィオラが一緒にリズムを刻む中で、1st-Vnが活躍しつつ、音楽が始まります。ヴィオラとチェロが同じフレーズを繰り返しヴァイオリンの音と対比するなど、いろいろな面白さがあります。
二曲目、クルッセル(1776-1838)のクラリネット四重奏曲第2番です。弦楽三重奏にクラリネットが入った形で、駒込さんはお休みです。クラリネットは、山形交響楽団クラリネット奏者の郷津さん。
第1楽章:アレグロ・モルト・アジタート。弦楽器とは傾向の異なる木管楽器の響きとの対比がおもしろい。作曲された時代は、まさにシューベルトやシューマンの初期のころでしょうか。北欧にこんな作曲家もいたんだ、という驚きも。郷津さんのクラリネットの音が、いつもながらいい音でステキです!
第2楽章:メヌエット~トリオ。クラリネットに続いて弦が入ります。そうそう、曲中のハ短調の響きは、ベートーヴェンのハ短調とは違い、柔らかいですね~。
第3楽章:パストラーレ・ウン・ポコ・アレグレット。パストラーレという言葉にふさわしく、のんびりと寛いだ雰囲気です。でも、このあたりからだいぶ冷えてきて、暖房節約の会場の寒さが感じられてきました。ちゃんとコートを着てくればよかった(^o^;)>
第4楽章:ロンド・アレグロ。はやいテンポで、なかなか魅力的な音楽です。軽快なリズム、ピツィカートの茂木さんのリズムと表情がいいですねえ。
休憩のあと、山形弦楽四重奏団員としては最後となる、駒込綾さんが第一ヴァイオリンを務めるグラズノフ(1865-1936)の「弦楽四重奏のための5つのノヴェレッテ」。初めて聴きましたが、いい曲だ~。ショスタコーヴィチの先生だそうです。
第1曲:アラ・スパニョーラ。スペイン風に、というような意味でしょうか。この曲は、山Q初期の演奏会で取り上げたそうですが、その頃は、当方まだ演奏会に通える状況ではありませんでした。チェロがいい音~。駒込さんも、思い切り奏いている感じです。
第2曲:オリエンターレ。チェロから、ハンガリー風に。ヴィオラがいい音で、ハンガリー風です。ペルシャやシルクロード(?!)の香りがします。
第3曲:間奏曲。ヴィオラと2nd-Vnが寄り添うように奏するところがステキです。朗々と響くチェロもいい音です。曲は静かに終わりますが、終わるのが惜しい。
第4曲:ワルツ。チェロのピツィカートにのって、ヴァイオリンとヴィオラがワルツのリズムを奏でます。ただし、響きはショスタコーヴィチの先生らしく、ですね。やがて調性が戻り、第1ヴァイオリンの駒込王女(^o^)が軽やかに踊るように。
第5曲:チェロのピツィカートにのって、ヴァイオリンとヴィオラがリズミカルに旋律を歌います。1st-Vnの活躍の場がたっぷりある曲。途中、思わずフライング拍手が出そうになりますが、すぐにVnが情熱的な旋律を奏でるので踏みとどまることに(^o^)/
まあ、初めて聴く曲ですからね~。ジプシー風なところもあって、再びチェロのピツィカートが戻り、ヴァイオリンとヴィオラが再現。白馬の騎士たちが駒込王女をエスコートしたかのような(^o^)演奏会でした。
アンコールは、郷津さんが加わり、モーツァルトのクラリネット五重奏曲から、第3楽章。思わず聞き惚れました。
そうですね、駒込さんの退団は寂しいけれど、秋田のオーケストラ等での活躍も増えそうで、それはむしろ期待すべきことかもしれない。また、山響の今井さんが加入して、山Qとしての活動が継続されることは喜ばしい限りです。新しいメンバーでの最初の定期は、記念すべき第40回となります。7月17日(日)、夕方6時半から、文翔館議場ホールにて。チケットはすでに購入済。今から楽しみです。