「昭和の日」となった29日、山形市の文翔館議場ホールで、ヤンネ舘野ヴァイオリン・リサイタルを聴きました。午前中に、いよいよ近づいた法事の準備のためにあちこち片付けをしてから、文翔館の駐車場に行ってみたら、すでに満車でした! 甘かった。ゴールデン・ウィークを甘く見ていました。文翔館の見学者も多かったのでしょう。しかたがないので、少し離れた駐車場に車を停め、徒歩でホールに向かいました。幸いに晴天で風も弱い日でしたので、気持ちの良い散歩となりました。
本日のステージ配置は、中央のステージ上にピアノと独奏者用の譜面台を置き、ホールを横長に使って半円形にステージを取り囲むような形です。びっくりしたのは、やけにお客さんが多いことです。百人は優に超えていたようです。もしかしたら、天童混声合唱団等でピアノを担当している白田佳子(よしこ)さんとヤンネさんのご縁から、合唱団関係者や聴衆の方々にヤンネさんのファンが多いのかもしれない、などと想像しました。ほぼ満席に近い聴衆の層は、山響や山形Qとはだいぶ異なります。年配者、とくに女性が多いのが特徴です。
男性の実行委員の方が、演奏の開始を告げると、ヤンネ舘野さん(Vn)と白田佳子さん(Pf)が登場します。ヤンネさんは黒のソフトなシャツで、白田さんは深青色のドレスです。プログラムには、本日の曲目として、
の四曲が予定されています。今回のお目当ての曲は、もちろんフランクのヴァイオリン・ソナタです。
第1曲目:ヴィターリ?の「シャコンヌ」。バッハの厳しい世界とは違って、もっとロマンティックな音楽です。ヤンネさんは、要所にヴィヴラートもきかせながら、感情過多ではなく、情熱をもって演奏します。白田さんのピアノが、大きくバックを支えます。
第2曲目:モーツァルト「ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305」。第1楽章:アレグロ・モルト。第2楽章:アンダンテ・グラツィオーソ。お母さんを亡くしたパリ時代の作品でありながら、実に明るい音楽です。
第3曲目:ガーシュイン「パリのアメリカ人」(ハイフェッツ編)。これは楽しい! 警笛やパリの雑踏の様子と、慣れないアメリカ人の様子がユーモラスに描かれます。
ここで15分の休憩があり、後半は大好きなフランクの「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」(*1)です。白田佳子さんのピアノとヤンネさんのヴァイオリンが、実によい味! 上品で、あったかい音楽になっています。思わず聞き惚れてしまいました。
ブラボー!の声がかかり、拍手に応えて、アンコールを4曲。
(1) ハチャトゥリアン「ノクターン」
(2) ブリッジ「メロディ」
(3) モンティ「チャールダッシュ」
(4) マスネ「タイースの瞑想曲」
このうち、ブリッジの「メロディ」という曲は、初めて聴きました。なかなかいい曲ですね! どうやら、お父さんの舘野泉さんが左手のピアニストとして再起を決意するきっかけになった曲らしいです。うーむ、先日のプレシャス・カルテット(*2)のプログラム中にも、ブリッジの「ロンドンデリー・エアー」というステキな曲が取り上げられていましたし、ブリッジという作曲家に興味津々です。こんなふうに、演奏会は、新しい作曲家や作品を知る貴重な機会となっています。
○
実は、15分の休憩の際に、たまたま臨席になった老婦人にのど飴をすすめたのがきっかけで、少しだけ言葉を交わしました。夫の介護で外出もできず、先ごろ夫君が逝去されたために、はじめて外出をしたのだとか。誘ってくれたお友達?の方に感謝しつつ、久々の演奏会を楽しまれたようでした。
本当にそうですね。何気なく集まったように見える聴衆の一人一人に、実はそれぞれの生活やドラマがあるのですね。この日のみごとな演奏会は、きっと記憶の中に鮮明に刻まれたことでしょう。
(*1):フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」を聴く~「電網郊外散歩道」2006年6月
(*2):プレシャス・カルテット山形公演vol.2でハイドン、ブリッジ、ブラームスを聴く~「電網郊外散歩道」2014年3月
本日のステージ配置は、中央のステージ上にピアノと独奏者用の譜面台を置き、ホールを横長に使って半円形にステージを取り囲むような形です。びっくりしたのは、やけにお客さんが多いことです。百人は優に超えていたようです。もしかしたら、天童混声合唱団等でピアノを担当している白田佳子(よしこ)さんとヤンネさんのご縁から、合唱団関係者や聴衆の方々にヤンネさんのファンが多いのかもしれない、などと想像しました。ほぼ満席に近い聴衆の層は、山響や山形Qとはだいぶ異なります。年配者、とくに女性が多いのが特徴です。
男性の実行委員の方が、演奏の開始を告げると、ヤンネ舘野さん(Vn)と白田佳子さん(Pf)が登場します。ヤンネさんは黒のソフトなシャツで、白田さんは深青色のドレスです。プログラムには、本日の曲目として、
1. ヴィターリ? シャコンヌ
2. モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305
3. ガーシュイン パリのアメリカ人 (ハイフェッツ編曲)
4. フランク ヴァイオリン・ソナタ イ長調
の四曲が予定されています。今回のお目当ての曲は、もちろんフランクのヴァイオリン・ソナタです。
第1曲目:ヴィターリ?の「シャコンヌ」。バッハの厳しい世界とは違って、もっとロマンティックな音楽です。ヤンネさんは、要所にヴィヴラートもきかせながら、感情過多ではなく、情熱をもって演奏します。白田さんのピアノが、大きくバックを支えます。
第2曲目:モーツァルト「ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305」。第1楽章:アレグロ・モルト。第2楽章:アンダンテ・グラツィオーソ。お母さんを亡くしたパリ時代の作品でありながら、実に明るい音楽です。
第3曲目:ガーシュイン「パリのアメリカ人」(ハイフェッツ編)。これは楽しい! 警笛やパリの雑踏の様子と、慣れないアメリカ人の様子がユーモラスに描かれます。
ここで15分の休憩があり、後半は大好きなフランクの「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」(*1)です。白田佳子さんのピアノとヤンネさんのヴァイオリンが、実によい味! 上品で、あったかい音楽になっています。思わず聞き惚れてしまいました。
ブラボー!の声がかかり、拍手に応えて、アンコールを4曲。
(1) ハチャトゥリアン「ノクターン」
(2) ブリッジ「メロディ」
(3) モンティ「チャールダッシュ」
(4) マスネ「タイースの瞑想曲」
このうち、ブリッジの「メロディ」という曲は、初めて聴きました。なかなかいい曲ですね! どうやら、お父さんの舘野泉さんが左手のピアニストとして再起を決意するきっかけになった曲らしいです。うーむ、先日のプレシャス・カルテット(*2)のプログラム中にも、ブリッジの「ロンドンデリー・エアー」というステキな曲が取り上げられていましたし、ブリッジという作曲家に興味津々です。こんなふうに、演奏会は、新しい作曲家や作品を知る貴重な機会となっています。
○
実は、15分の休憩の際に、たまたま臨席になった老婦人にのど飴をすすめたのがきっかけで、少しだけ言葉を交わしました。夫の介護で外出もできず、先ごろ夫君が逝去されたために、はじめて外出をしたのだとか。誘ってくれたお友達?の方に感謝しつつ、久々の演奏会を楽しまれたようでした。
本当にそうですね。何気なく集まったように見える聴衆の一人一人に、実はそれぞれの生活やドラマがあるのですね。この日のみごとな演奏会は、きっと記憶の中に鮮明に刻まれたことでしょう。
(*1):フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」を聴く~「電網郊外散歩道」2006年6月
(*2):プレシャス・カルテット山形公演vol.2でハイドン、ブリッジ、ブラームスを聴く~「電網郊外散歩道」2014年3月