電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

雨の日、書棚の中から処分する古い本、雑誌等を選ぶ

2023年07月16日 06時00分57秒 | 手帳文具書斎
梅雨末期にさしかかり、連日雨降りが続いています。全国的に豪雨被害が発生しているようで、被害地域の方々にはお見舞いを申し上げます。

当地はなんとか被害には至らず、猫の李白と一緒に書斎の窓から外の雨降りを眺めていますが、そんなことばかりはしていられないと、雨降りの日ならではの作業を始めました。すなわち、書棚の中から処分する古い本や雑誌等を選び出すという作業です。



考え出すときりがないので、まずは古い雑誌から。2004〜5年頃の『Linux Magazine』は、さすがにもういらないだろうなあ。でも、『日経Linux』の2000年1月号は残しておこう。これは、「画像処理ソフト入門〜GIMPの使い方からハッキングまで」という特集が秀逸で、次第に Linux 中心に移行しつつあった中で、画像編集は Windows の PaintShopPro が中心だったころ、Linux で Gimp を使い始めるきっかけになった号でした。一方で、中途半端に新しい?古い?2010年代の Ubuntu Linux のムック本などは、さすがにもう不要でしょう。これらを処分すると、書棚の空いたスペースに数年分のA5判の備忘録ノートをゆったりと収めることができそうです。



もう一つ、活字のポイントが小さすぎて読むのがつらい昔の文庫本や、古典新訳文庫で買い替えて二種類になった古い文庫本、あるいは内容的におそらく二度と読む機会はなかろうと思われる本なども、書棚のスペース解放に貢献してもらいましょう。刊行時期が比較的新し目のものは、古書店に持っていっても良いかもしれない。



こんな作業は、畑仕事ができない雨降りの日でないと、なかなかじっくり取り組むことは難しいものです。その意味では、雨降りの日は体の休養と生活の適度な区切りになるのかもしれません。

コメント (2)

ImageMagickでデジカメ画像の一括リサイズを試みる

2023年07月15日 06時00分55秒 | コンピュータ
愛用のコンパクト・デジタルカメラ、カシオの EX-Z330 では、画像の解像度を 2048×1536 pixel に設定しています。保存されるファイル名は、CIMGxxxx.JPG となります。一方、スマートフォンのカメラ機能のほうは、ファイル名が DSC_xxxx.JPG で解像度は 3840×2160 pixel となります。もちろん、どちらもこのままではブログにアップロードするには大きすぎて不都合ですので、カシオのデジカメ画像のほうは 480×360 pixel に縮小し、スマートフォンの画像のほうは 560x315 pixel に縮小して使っています。この画像サイズは通信速度によって変化してきており、ISDNでやっていた頃は 320x240 pixel を標準としていましたが、その後は回線速度が向上したのと、PCのディスプレイが大きくなったため、少しずつ拡大してきているものです。

まず、記憶にあった画像処理ツール ImageMagick について、パソコン上のテキストファイル備忘録で検索してみました。

~$ cd mydata
~/mydata$ grep "ImageMagic" memo-utf.txt
2003/12/21 ImageMagicのconvert ImageMagicで画像変換するさいのconvertコマンドの書式は、コマンドラインでman_convertで調べることができる。〜以下略〜

なるほどなるほど。記憶にあった画像の一括リサイズを試みていたのは2003年の冬だったのか。そして、名前は ImageMagic ではなく ImageMagick というのが正しいので、間違えて記録している。

man convert でも調べられるけれど、ここは WEB で検索したほうが早そうです。Google で「convert リサイズ」で検索してみると、いろいろ情報が見つかりました(*1)。要するに、

convert input-file.jpg -resize 480x360 output-file.jpg

でリサイズできるようです。私の Ubuntu Linux 機には ImageMagick がすでにインストールされていますので、試しに画像を1個リサイズしてみたら大丈夫でした。そこで、特定の日付(例:2023-07-05)のディレクトリ(フォルダ)内にあるデジカメ画像を temp というディレクトリ下に全部一括リサイズしてみました。



ここで右クリックして「端末で開く」を選ぶと、ここをカレントディレクトリとするターミナルが開きます。



そこで、CIMG7453.JPG〜CIMG7497.JPG までをワイルドカードで一括して CIMG74*.JPG とし、

convert CIMG74*.JPG -resize 480x360 ./temp/cimg74-temp.jpg



としてやると、temp フォルダ下に一括してリサイズ変換されました。



私のスマートフォンの画像の場合も、input-files を DSC_*.JPG などとし、リサイズを 560x315 などとしてやれば、アスペクト比を変更することなく同様のやり方で処理できます。これで、少しは楽ができそうかな。なお、冒頭の写真は草津温泉で見学した片岡鶴太郎美術館の入り口を少々加工した(*2)ものです。ただし、多数を一括処理するならともかく、少数の画像ファイルを細やかに加工する場合は、やはり Gimp 等のツールのほうが簡単なようです。

(*1): ImageMagick の使い方日本語マニュアル〜 How to use ImageMagick
(*2): 具体的には、convert cimg74-temp-20.jpg -background "#CC0000" -polaroid 5 kataoka-temp.jpg
 としました。額縁を付け、ポラロイド写真風に傾けています。

コメント

旅行でたくさん撮影したデジカメ画像を一括して加工するには

2023年07月14日 06時00分18秒 | コンピュータ
旅行の際にたくさん撮影して画像をブログ用に縮小して使いたいのですが、数が多いのでいちいち手作業でリサイズするのはなかなかたいへんです。たしか、だいぶ前に一括リサイズしたことがあったはず、と調べてみたら、Image magick というコマンドラインのツールでした。だいぶ前の話ですので、使い方をすっかり忘れてしまっています。しかたがないので、じっくり復習してみますか。たしか、雑誌『日経Linux』あたりに Gimp と一緒に特集していたはず。それと、『Linux入門』や『The UNIX Super Text』あたりに記載されていたはず。調べてみましょう。


 M. W. Toews による画像 (Creative Commons, やや縮小)

(*1): ImageMagick 〜 Wikipedia の記事

コメント

プーシキン『大尉の娘』を読む(2)

2023年07月13日 06時00分37秒 | -外国文学
恋敵シヴァープリンに無理やり嫁がされようとしている恋人を救うべく、ピョートル・アンドレーエヴィチ・グリニョーフと忠実な従者サヴェーリエフはプガチョフの率いる反乱軍が占拠する村に近づきますが、あいにく農民の見張りに見つかり、サヴェーリエフが捕まってしまいます。仕方がないので戻って自分も捕らえられ、プガチョフの前に連れて行かれます。プガチョフはすぐに二人とわかりますが、なぜオレンブルグから戻ってきたのかと問いただします。人払いをしてもらい、ベロゴールスク要塞にシヴァープリンによって捕えられ結婚を無理強いされている孤児の娘を救出するためだと答えます。彼女は許嫁なんだ、と説明した途端にプガチョフは機嫌よく友人扱いに変え、結婚を祝おうと言い出します。

翌朝、青年はプガチョフと一緒のソリに乗り、親しく率直な話をしながらベロゴールスク要塞に向かいます。要塞に到着すると、シヴァープリンは卑怯にも娘が実は司令官ミローノフ大尉の娘だと暴露しますが、プガチョフは青年の率直な言葉に感銘を受け、二人と従者を解放します。

おとぎ話ならば、ここでめでたしめでたしとなるところですが、話はそう簡単には終わりません。二人と従者がオレンブルクに向かう途中で「プガチョフの寵臣とその奥方」とされて捕まりますが、このときは部隊の指揮官である少佐が、以前ビリヤードを指導すると称して金を巻き上げたズーリンであったために、なんとか苦境を脱することができそうになります。ところが、そこに届いたのがピョートルを逮捕しカザンの審査委員会に送るように、という命令書でした。

プガチョフの乱は制圧されていましたが、「プガチョフと親しい」という疑いは簡単には晴れず、しかも裏切者のシヴァープリンが死なばもろともとばかりに、ピョートルを訴えているのです。審査会では、愛するマリアとのつながりと恋敵シヴァープリンの恨みを説明すればよいのですが、恋人をそんな場所に立たせることはしたくないと証言を拒み、有罪となってしまいます。

このあとの展開は実際に読んでのお楽しみということで割愛しますが、文豪プーシキンの力を実感させるもので、恋人マリアが守られるだけの弱い女性ではないことが示され、まさに古典的名作の名に恥じないおもしろさです。

プーシキン自身も、ロシアの専制政治や農奴制を批判したために、母方の領地に蟄居を命じられるなどの圧迫を受けていますが、プガチョフの乱に関心をいだき「プガチョフ史」を書き上げると共に、この小説「大尉の娘」を発表しています。反乱の首魁プガチョフを人間くさい姿で描き出した「プガチョフ史」は帝政首脳部からは睨まれますが、「プガチョフ反乱史」と名を変えることで発表を許されます。ところが、プーシキン自身は妻とフランス人士官のロマンスの噂というスキャンダルに巻き込まれ、決闘により命を落としていまいます。このあたりはどうも仕組まれたもののように感じられるところで、これが昔も今もあまり変わらないロシアの権力の現実なのだろうなと思ってしまいます。



ロシア文学の場合、人物名にとまどうことが多いのですが、要するに愛称と本名、女性名と男性名の使い分け等が混じっていることから、同一人物でも様々な呼び方がなされることが多い、というのが実際のようです。例えば、主人公のピョートル・アンドレーエヴィチ・グリニョーフは、最初は愛称ペトルーシャで呼ばれ、本名ピョートルで呼ばれるのはあらたまったときか、悪いことが起こる前触れのことが多い、という具合。ヒロインのマリアは、ベロゴールスク要塞の司令官であるイヴァン・クジミーチ・ミローノフ大尉の娘ですが、愛称はマーシャ、正式名はマリア・イヴァーノヴナ・ミローノヴァとなります。イヴァン→イヴァノーヴナ、ミローノフ→ミロノーヴァと語尾がア行に変わるのが女性名の特徴のようです。ミローノフ家のイヴァンの娘マリア、というところでしょうか。このへんの名前のルールも、トルストイやツルゲーネフ等のロシア文学に親しむうちに覚えた知識ですが、日本の戦国時代の武将の名前も官職名あり諱ありで一筋縄ではいかないのと同じなのかもしれません。

【追記】
裏表紙カバーを見たら、1975(昭和50)年の新潮文庫が200円、2019年の光文社古典新訳文庫が920円+税とありました。44年でおよそ5倍になっていることがわかります。文庫本も高くなったなあと実感します。



コメント

プーシキン『大尉の娘』を読む(1)

2023年07月12日 06時00分29秒 | -外国文学
旅の間に、光文社の古典新訳文庫でプーシキン『大尉の娘』を読みました。坂庭淳史訳で、2019年の4月に刊行された初版第1刷です。若い頃に読んだ中村白葉訳の新潮文庫は、昭和50年の第32刷ですが、もう紙がすっかり黄ばんでいるだけでなく、文字のポイントがやけに小さい。これはもう、老眼の身にはとても判読困難なレベルになっており、光文社版の文字の大きさならば、老眼鏡の助けでなんとか楽しんで読むことができます。







17歳になった主人公ピョートル・アンドレーエヴィチ・グリニョーフは、地方貴族の息子として大事に大事に育てられてきましたが、ある日、父親の命令によって軍務に就くためにオレンブルクに向かいます。途中、ズーリンというロシア人の大尉と仲良くなり、ビリヤードの指導をダシにかなりのお金を巻き上げられてしまいます。世間知らずな若者は、爺やとして育ててきた忠実な従者サヴェーリイチの忠告も聞き入れず、お金を出すように命じますが、この小さなエピソードが後で大きな意味を持って来ます。



任地に向かう途中で吹雪に遭い、宿屋で案内した男に兎皮の長外套を与えます。この男が、やはり後で重大な意味を持つ存在となります。オレンブルクに到着した青年は、やはり軍人だった父からの手紙を将軍に渡します。将軍は、内容を読み、遊び人にはしたくないという父親の願いを受け入れて、ベロゴールスク要塞という辺境への赴任を命じます。

で、この要塞での生活が、実に何というか、司令官ミローノフ大尉夫妻とその娘のマーシャ(マリアの愛称)、それに恋敵のシヴァープリンらとの間で、恋あり決闘ありの充実した(^o^)ものでした。ところがそんな生活も長くは続かず、そこにプガチョフの反乱という歴史的大事件が起こります。

今は亡きピョートルIII世の名を騙り、コサックや農民たちと共に蜂起したプガチョフは、たちまち周辺の要塞を落とし、大きな人数の勢力となってベロゴールスク要塞へと押し寄せます。なんと、その中には決闘の相手だった恋敵シヴァープリンの姿が見えるのです。

要塞の守備隊は少ない人数である上に大砲も1門しかなく、反乱勢力に制圧されてしまいます。司令官夫妻は処刑されますが、絞首刑になる前に青年が引き合わされたプガチョフは、なんと兎皮の長外套を与えたあの男だったのでした。

結局、青年はプガチョフの温情で釈放され、恋人マーシャをシヴァープリンの元に置いたまま、オレンブルクに向かいます。オレンブルクと占拠されたベロゴールスク要塞までの距離は40露里といいますから、今風に言えば約42kmくらい。マラソン選手なら2時間余で走ってしまう距離なのですが、オレンブルクの人たちは臆病風に吹かれたらしく、ことなかれ主義で乱に立ち向かおうとはしません。じりじりするところへコサックの一人が届けたのは、マーシャからの手紙でした。シヴァープリンが自分を無理やり嫁がせようとしている、早く助けて!と願う内容に、主人公と従者は再びベロゴールスク要塞に向かいます。

(続く)
コメント

旅の空から〜草津温泉の緑色は高温酸性を好む温泉藻の一種

2023年07月11日 06時00分25秒 | 散歩外出ドライブ
先頃、両親の最後の旅行の旅程をたどり、群馬県の草津温泉に行ってきましたが、そこで興味を持ったのが湯畑と硫黄、それに湯の流れにそって見られる濃い緑色でした。源泉から湧き出すお湯は温泉に利用するには熱すぎます。これを適温まで冷やすのに、冷水を混ぜる方法は湯量が多すぎて不向きです。そこで、高温の湯の流れを連結した木箱に導き、外気に接する表面積を多くして自然に冷却する、いわば空冷によって温度を下げようというのが湯畑の工夫でしょう。さしずめ自動車のラジェータのようなものでしょうか。



そこに堆積する黄色いものは、これはおそらく硫黄でしょう。火山性の温泉に特有のニオイは硫化水素でしょうし、このへんは当地の蔵王温泉などでもおなじみのものです。泉質も同様にpHが1とか2とかの強酸性で、昔の人は疲労回復のほかに水虫のような真菌由来の皮膚疾患に対する効能なども意識して利用していたものと思われます。ただし、宿泊した旅館の温泉は酸性泉ではあるけれどそれほどきつい硫酸泉ではなさそうで、これは利用する源泉の位置によって泉質が異なるようです。草津温泉の多様性と言うべきでしょうか。




ところで、私が印象的だったのは、湯畑の滝に見られる緑色でした。源泉をたどると、上流にも流れに沿って緑色になっており、ふと「もしかしたら緑色硫黄細菌?」と思いつきました。で、Wi-Fi が使えるところで「草津温泉 緑色」で検索してみると、残念! 絶対嫌気性の緑色硫黄細菌ではなくて、45℃前後の高温と強酸性域で生育するイデユコゴメ属の温泉藻の一種なのだそうな。そうなのか、やっぱり「百聞は一見に如かず」です。

亡父にとっては亡くなる2年前、82歳で体力的にもきつかったのではないかと思いますが、坂道をずいぶん歩いたのだなと感心します。母も膝が悪く階段のような上り下りは不自由だったと思いますが、温泉に入ってのんびりして、さぞやゆっくりできたことでしょう。とはいうものの、息子はやや感傷的になりはしますが、旅行するにも視点は化学や生物から離れません。どうも、無粋なことこの上なし(^o^)/ 思わず苦笑いです。

コメント

山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルト歌劇「後宮からの誘拐」等を聴く(2)

2023年07月10日 06時14分31秒 | -室内楽
休憩後のプログラムは、フルート四重奏によるモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」の第2幕と第3幕です。

第2幕は、「出ていってやるから覚えておけ」から。これはコンスタンツェの侍女ブロンデに番人の大男オスミンが言い寄り、あしらわれた後のセリフが歌になっています。ちょうど「魔笛」のモノスタトスのような役回りですが、もっとコミカルな感じです。続いて「悲しむことが私の定め」と嘆くコンスタンツェは弱気なヒロインかと思うと、「あらゆる拷問こそ」と気の強いところを見せたりします。従者ペドリッロは「さあ闘いだ!さあ武器を取れ!」と励まし、番人オスミンに睡眠薬入りのワインを飲ませる「良いぞバッカス!バッカス万歳!」と続きますが、有能な従者はふつうに睡眠薬なんて携帯しているものなのか(^o^)/ そしてベルモンテとコンスタンツェが再会、ベルモンテが「喜びの涙が流れるとき」を歌います。

第3幕は、脱出の際に勇気を鼓舞するベルモンテのアリア「愛よ!お前の強さと力が頼りだ」から。残念ながら番人オスミンが目を覚ましてしまい、逃亡を企てた四人を捕らえてしまいます。「よし、勝どきを上げてやろう」。太守が逃亡の企てを責めるので、ベルモンテは身分を明かして寛容を請います。ところがこれが逆効果で、実はベルモンテの父親は太守の仇敵! 「万事休す」かという緊迫の場面は太守が許しを与え解放するという驚きの展開に。そこで大団円の民衆の歌「太守セリム様、万歳!」、たしかこれは、映画「アマデウス」でヴォルフガング君がノリノリで指揮していたあの場面ではなかろうか?

いや〜、良かった。フルート四重奏で歌劇「後宮からの誘拐」というのも、録音のない当時の「ハイライト盤」のような役割だったのでしょう。私はLDで予習して場面を想像しながら聴きましたのでおよそのストーリーをたどることができましたが、初めて演奏に接する場合はどうだったのだろうと逆に興味深いものがあります。でも、小松崎恭子さんの見事なフルートと山形弦楽四重奏団の三人のアンサンブルに魅了されて、本家のオペラを観て聴いてみようと思った人も…いやいや、そもそも山形でこういう曲目の演奏会に来る人たちは、歌劇「後宮からの誘拐」は先刻ご承知の「濃〜い」人たちなのかな(^o^)/ それにしては、お客様の人数はけっこうな数になっていたように思います。県庁所在地とは言うものの人口20万人台の山形市、周辺人口を含めても40万人程度の地方都市で、88回を数える定期演奏会を継続してきた積み重ねの価値を感じます。素人音楽愛好家には実にありがたいことです。

そうそう、今回は後援の蕎麦屋「続おそばに」さんから、お客さん全員に写真のような最上早生の乾麺がプレゼントされました。ありがたい! さっと茹でてきゅっと冷やして、紫蘇の葉とミョウガでいただきましょう。

コメント (2)

山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」等を聴く(1)

2023年07月09日 18時10分02秒 | -室内楽
あいにくの雨降りとなった土曜の夕方、山形市の県民ホール第一スタジオで、山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会を聴きました。プログラムは、

  1. ボッケリーニ 6つの小弦楽三重奏曲より ニ長調 Op.47-5、G.111
  2. モーツァルト 歌劇「後宮からの誘拐」(J.ヴェント編曲によるフルート四重奏曲版)第1幕
    〜休憩〜
  3. モーツァルト 同 第2幕
  4. モーツァルト 同 第3幕
     小松崎恭子(Fl)、山形弦楽四重奏団:中島光之(Vn)、倉田譲(Vla)、茂木明人(Vc)

というものです。モーツァルトの歌劇をフルート四重奏で演奏するという、珍しくも貴重な体験。このような編曲が存在するというのは、どうやら録音というものが存在しなかったモーツァルトの時代が背景にあるようで、「後宮からの誘拐、良かったね〜! もう一度聴きたいんだけれどなあ」「あっ、フルート四重奏で演奏できるみたい」「おっ、それじゃあ家でやってみようか!」というような層がたしかにいたということでしょう。




会場となった県民ホール第1スタジオというのは、入り口を入って階段またはエスカレータで2階に上がり、大ホールの反対側に進むと、左側にありました。いわゆるホールの入り口というようなものはありませんので、ちょっと入り方にまごつきましたので、文翔館のときのようにチラシを案内板に掲示しておくと、私のように「日時を間違えたんじゃなかろうか」とか「本当にここで良かったんだろうか」などと不安になることもないのかなあと思います。

でも、会場に入ると、天井が高くよく響くモダンなスタジオで、大正ロマンの風情あふれる文翔館議場ホールとはまた違った雰囲気です。椅子もメッシュのパイプ椅子で、会場準備する人には優しいかもしれません(^o^)/ 開演前の中島さんのトークは相変わらず爽やかでよく聞こえます。また、さすがは元国語講師のキャリアも持つヴァイオリニストだけあって、歌劇「後宮からの誘拐」のストーリー解説もたいへんわかりやすいものでした。

第1曲め、ボッケリーニの弦楽三重奏曲です。中央ステージ左から、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの配置。第1楽章:アンダンティーノ・モデラート・アッサイ、第2楽章:テンポ・ディ・メヌエット〜トリオ。ヴァイオリンが歌いヴィオラが合いの手を入れながらハモり、チェロが低音で締める、というような形のチャーミングな音楽。昔の貴族たちは、食前の、あるいは食後のひとときをこういう音楽で楽しんでいたのかもしれません。ちょうど私たちが食後のひとときをCDやDVDで楽しむようなものでしょうか。

続いてモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」第1幕、ステージ左から、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置です。快速テンポで序曲から始まりましたが、おお、「後宮」序曲だ! フルート四重奏でちゃんと序曲になっており、思わず感激です。チェロが通奏低音にとどまらない活躍をするのが印象的ですが、全体的にはフルートと弦楽三重奏とでオーケストラの主要な声部だけを演奏するわけですので、迫力や響きの多彩さという点では負けます。でも、曲の持つ軽やかさみたいなものが感じられて、「音符が多すぎる」と評した皇帝の感想もあながち大ハズレではなかったのかも(^o^)/ もちろん、モーツァルト自身は同意しないでしょうけれど(^o^)/
続いて「やっとここで会えるのか、コンスタンツェ!」という主人公ベルモンテのアリア。恋人コンスタンツェと従者とその恋人の三人が海賊に捕らえられ、トルコの太守セリムに売られたという情報を入手したベルモンテが、三人を救おうとセリムの屋敷に到着した場面です。そこで敵役が登場、オスミンというバスの大男という役柄ですが、「こんなどうしようもない奴らには」と歌います。低音域ですが意外に軽快なところがコミカルさを表します。愛する恋人に会える期待を歌う「何と不安に何と激しく脈打つんだ僕の心は」、そして映画「アマデウス」でも使われていた太守が船で登場する場面の合唱「偉大な太守を讃えて歌おう!」と続きます。最後は、太守セリムがコンスタンツェに愛を迫るが彼女は「私は(ベルモンテに)恋をして幸せでした、でもその喜びは儚く消えたのです」と拒絶します。うーむ、場面の選定もちゃんといいところを選んでいるし、CDで言えば立派なハイライト盤ではないですか。

ここで15分の休憩です。トイレも第1スタジオのすぐ近くに2箇所ありますし、なかなか便利です。
(続く)

コメント

山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルト「後宮からの誘拐」を聴きに行く

2023年07月08日 18時30分35秒 | -室内楽
雨の土曜日、早朝から水田の用水路の草刈りに従事し、シャワーを浴びてさっぱりした後は、LDでベーム指揮のモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」を観ました。理由は、山形弦楽四重奏団の第88回定期演奏会で、この「後宮からの誘拐」をフルート四重奏に編曲したものが演奏されるため、その予習をかねて、本家の歌劇を楽しもうというものです。






映画「アマデウス」でも、皇帝臨席のもとで上演される場面がありましたが、あのドイツ語による歌芝居をフルート四重奏でやってしまおうというのですから、実演に接することができる機会というのはごく稀なのではなかろうか。それにしても、楽しい歌芝居を室内楽でどんなふうに料理するものか。楽しみです。



コメント

富岡製糸場を見学〜旅の一部から

2023年07月07日 19時04分33秒 | 散歩外出ドライブ
今回の旅行は、生前、両親が旅した最後の旅程をたどるもので、昨年の晩秋に没した母の介護ごくろうさまという慰労の意味も兼ねて、関東在住の兄姉が計画してくれたものです。その中で、特に印象に残ったのが富岡製糸場でした。学校の歴史の授業では、明治5年に創業の官営工場で、お雇い外国人の人件費が高すぎ、また規模が大きすぎて採算が取れず、結果的に民間に払い下げられたと習いましたが、実際に目にすると教科書の文章だけでイメージするのとはまるで違いました。





まず、木骨煉瓦造という構造、すなわち建物を支える木製の柱と柱の間に「フランス積み」の形式で隙間なく積まれたレンガの色や形がかなり不揃いであること。どうやらこれは、レンガそのものを近くで焼いて供給したため、はじめのうちはかなり不揃いだったらしい。たしかにこれは、レンガまで輸入していたら予算が不足するというよりも、基礎的な技術移転という目的があったためでしょう。




もう一つ、巨大な工場の機械を動かす動力は、蒸気だったようです。地元産の亜炭を燃やし、ボイラーで発生させたスチームを使って繰糸機を動かすわけですから、スチームの配管が工場の配置を決定する面があり、無計画な拡張はできないために、最初から大きな敷地の工場を設計する必要があったということでしょうか。おそらく、動力が電気の時代であれば、工場の配置や設計ももう少し柔軟にできたのかもしれないと思います。



また、何度も経営主体が変わりながら、富岡製糸場が動態保存されることができた理由として、当時の片倉工業の企業姿勢、経営方針が称賛されるべきだろうと思います。昭和生まれには「キヤロン肌着」で親しみ深いカタクラが、富岡製糸場の歴史的価値を意識して保存管理につとめていたからこそ、明治の産業化遺産の一つとして世界遺産に登録されることができたということでしょう。当ブログの「歴史技術科学」カテゴリーを綴ってきた者として、共感するところがあります。




そして、カタクラ時代の最後の頃、昭和の後期に使われていたという日産製の繰糸機を見ながら、おそらく電子化=コンピュータ・コントロールへと転換する大きな時代の波に乗ることができなかったのではなかろうかと想像してしまいました。

コメント (4)

旅の後始末

2023年07月06日 21時06分33秒 | 散歩外出ドライブ
旅から戻ると、様々な後始末があります。まず、バッグからモノを出して所定の位置に戻します。シェーバー、筆記具、手帳ダイアリー、財布に文庫本といったものです。汗をかいた着替え等は洗濯機へと移し、ひととおり片付けが済むと、今度は自宅でたまっている様々なものを片付けなければいけません。猫のウンコ、届いていた郵便物、畑の様子の見回り等。いやはや、この季節の草の伸び方は実に威勢がよいと言うか、思わず呆れるほどです。



また、息子に頼んで出かけたとはいうものの、留守中なにかと注意してもらっていた隣家の同級生には妻がお土産を持っていってくれたようです。とりあえず一段落したところで、真っ赤に追熟したスモモにヨーグルトをかけて、コーヒーで一服。デスクの前で椅子に腰を掛けて、簡易な PC-audio でドビュッシーの「海」を再生すると、やれやれ、帰ってきたなあと安堵します。

※写真は、富岡製糸場でのガイド風景と草津温泉の湯畑夜景。

コメント (2)

旅の空と日常性

2023年07月05日 06時00分49秒 | 散歩外出ドライブ
旅をすると、ふだんの日常から離れることができますので、それが魅力なのだと思います。半面、日常性から切り離される不満もあります。猫と遊べない、音楽と接するのに不便、地元の新聞が読めない、畑の様子が気になる、等々。

若いうちは、日常性から離れることが価値でしたが、歳をとると、その日常がいつまで味わえるのかがあやしくなります。ありふれた日常の価値が、かえがたいものに思えてきます。ノートパソコンを持たず、タブレットで入力している旅の空で思う正直な気持ちです。
コメント

いろいろなペンやインクを使う楽しさをわからないわけではない

2023年07月04日 06時00分24秒 | 手帳文具書斎
各文具メーカーの人たちが、おそらく心血を注いで開発したであろう様々なペンやインクは、それぞれに特徴があり、実際に使ってみると便利なものです。とくに、国産製品の実用的品質には感心させられます。そういう、いろいろなペンやインクを使う楽しさをわからないわけではないのですが、あまりにも本数・個数が増えすぎると、正直に言って持て余します。これ、どうしよう…(^o^)/



増えすぎたわけは、実は昨年の非常勤の勤務地が1箇所増えて2箇所になったせいなのかも。毎日使う文具は愛用の製品で揃えたいと自前で買い足して、同じ製品が、例えばぺんてるのエナージェル・インフリーのターコイズブルーが3本になってしまったりしました。2B芯を入れた0.7mmのシャープペンシルも同様で、パイロットのS5の青軸が2本にぺんてるのグラフギア500が1本の計3本、という具合です。

孫にでも分けてあげようかと妻に相談したら、それなら私がもらうと言うので、輪ゴムで束ねて妻にあげました。例えば、

  • 三菱の2B芯を入れたPILOTの0.7mmシャープS5
  • PowerTankスマート軸に似たデザインのJetstream 0.7mm(まぎらわしい!)
  • ぺんてるのエナージェル・インフリー、ターコイズ・ブルー 0.7mm
  • その他

妻は近年、母校の大学の同窓会の仕事を受け持つようになったようで、なにやら事務的な作業が多いらしいです。ノートパソコン上で済む仕事もあれば、やっぱり手作業もあるようで、文具はなにかと重宝するみたい。役に立つようであれば、良かったよかった(^o^)/

コメント (4)

今年のスモモ「大石早生」も意外なほど不作だった

2023年07月03日 06時00分51秒 | 週末農業・定年農業
我が家の果樹園の場合、今年は主力のサクランボが春の凍霜害の影響で出荷数が昨年の半分になってしまいましたが、スモモ「大石早生」も意外なほど不作でした。サクランボと開花時期が同じだったため、同様に影響を受けたのでしょう。今年はナシヒメコンを導入し、また注意深くタイミングをはかって防除を実施していますので、地中からの羽化→シンクイムシ被害の発生は今のところ抑え込んでいます。それでもお天気のせいでこの程度の収量になってしまうと、正直言ってちょいとがっかり。生食でどんどん食べると、残りをジャムにするには少々心もとない分量です。

これが昨年の収穫です。2022年7月6日の撮影。数日の違いで、ずいぶん赤くなるのがわかります。



昨年まで、非常勤の職場に持っていったらたいへん喜ばれました。某さんはスモモのジャムを作ったそうです。一方、これが今年の収穫です。撮影は7月1日。ほんとに少ないです。



収穫直後ではまだ青い実も、数日おいて追熟すると真っ赤に色づいてきます。今週の後半あたりが食べ頃でしょうか。
少し時期が遅いスモモ「ハニーローザ」が花粉樹として1本だけ残してありますが、こちらは多産系らしくざくざくとなっており、サクランボの作業が終わってからあわてて摘果したものの、摘果不足で実が小さいです。収穫時期はもう少し後になります。

我が家の手作りジャムの状況は、昨年のハックルベリー・ジャム(*1)は全部食べ終わり、今年のサクランボ(紅さやか)のジャム(*2)を食べているところです。スモモのジャムがどうなるかわからないとすると、夏の終わりの時期のプルーンのジャムに期待することと、隣家の同級生から苗を分けてもらったハックルベリーがうまく根付いてくれるように祈るくらいしかなさそうです。あるいは、「紅つがる」等のリンゴのでき次第では、りんごのジャムもありうるかも。「そんなに何種類もできるか!」と妻に反論されそうですが、いやいや、4年前はスモモのジャムを自分で作っている(*3)し、去年のハックルベリーも瓶詰めの前まではやったんだから、教えてちょうだいませませ(^o^)/

(*1): ガーデン・ハックルベリーのジャムを作る〜「電網郊外散歩道」2022年10月
(*2): 「紅さやか」を使ったサクランボ・ジャムは色がきれいで美味しい〜「電網郊外散歩道」2023年6月
(*3): スモモのジャムを作る〜「電網郊外散歩道」2019年7月

コメント

コーヒーと甘味〜娘から届いたDEAN & DELUCAのコーヒーとお菓子

2023年07月02日 06時00分21秒 | Weblog
サクランボの季節もそろそろ峠を越し、スモモ「大石早生」の収穫をしてみたら、サクランボと同様にこちらも例年の半分以下の収量で、やっぱり霜の害がたたっているようです。お天気のことですから誰のせいでもない。農作業が早く終わって良かったと思うことにしましょう(^o^;)>poripori




お嫁に行った娘のところから、コーヒー豆とお菓子が届きました。これはありがたい。コーヒー豆もお菓子も、DEAN & DELUCA というブランドのものらしいです。1977(昭和52)年にニューヨークのソーホーで始まったマーケットだそうで、いかにも都会風なデザインのお洒落なパッケージです。ちょうどコーヒー豆がきれたところで、カップに入っているのはUCCの117インスタントコーヒーでした。



「プチ・フィナンシェ」というお菓子の方はいろいろな種類が入っているようですが、どれがピスターシュでどれがアールグレイ・ノワゼットだか、判別が難しい。やっぱり若い人並みに視力と嗅覚が敏感でないと、微妙な違いは見分けるのが難しそうです。でも、まあ、おおむね美味しければいいんじゃない(^o^)/



サクランボ収穫後の「お礼肥」と呼ぶ施肥を終え、褐色穿孔病やカイガラムシ対策の早朝防除も終えて、「あかつき」など桃の収穫まではまだまだ1ヶ月ほどある、少しゆっくりできる時期。コーヒーと甘味に満たされる気分です。

コメント