(南洋浜千鳥、大湾三瑠さん、いいね!独特の舞踊です!)
どちらかというとプロデュース上演の伊良波座の舞台です。出演者が芸大卒の中堅の魅力になりましたね。彼らはマルチタレントです。戦前の辻の芸妓のみなさんが、琉球舞踊、歌・三線、筝曲をたしなんだように、組踊、舞踊、歌・三線、筝曲、太鼓、胡弓、それに空手と、コンクールの制度にのった芸事をすべて取り組む姿勢が現在の沖縄の芸能人ですね。立役であり器楽にも長けている彼・彼女たちの姿は、ある面でマルチタレントではないとキャパの少ない沖縄ゆえに、必死です。あれもこれもやりこなせないと食べていけない現実が、多様に芸に取り組むことになります。芸道無限、きわめていく若者たちの才覚は島を飛び越えていくのだろう。日本全国で沖縄の三線になじんでいる人々が多いとキャンパスレコードの備瀬さんは話していました。
歌三線は沖縄だけではなく、世界のウチナーンチュ圏や日本全国、そして世界へと拡散の勢いですね。それはエイサーや空手がそうであるように、小さな島の文化が世界へと伝播していく勢いなのだということが分かります。音楽、身体芸術の力です。人と人はリズムで身体感覚でつながり得ます。独特の民族的なメロディーが共感されていく21世紀でもあるのですね。一方でグローカル化の波は荒いのかもしれないがー。
貧しい島の民は世界へと移動していきました。そしてよその地で根をはっていったのです。ディアスポラの不安と安定の揺れのコアにあったのは故郷の芸能だったのです。同化と異化を内在させながら、融合していった知恵と感性のありかはまた興味深いです。
舞台が終わって後、楽屋に行くと江洲義寛さんにお会いしました。和佳子さんにも会いました。話が少し弾んで写真など撮りました。沖縄の芸能関係予算がどうなっているか、気になるところです。視野狭窄症ではない芸の深化や広がりが求められています。沖縄出身者独自の感性が求められてもいるのでしょうね。しかし、文化行政を沖縄独自の視点で担えない陥穽もあるようです。←多くの予算を牛耳っているのが、ある一部のヤマトンチュー、ということへの不満がくすぶっているのかもしれませんね。軍事植民地だけではなく、文化植民地構造があり、その甘い蜜を吸っているのがまた大和〈人)の構図があるのでしょうか?つまり戦前から続く大和と沖縄の二項対立があり、その止揚は簡単そうで、そうではないからくりもありそうです。〈←ソフトの運営の問題かもしれませんね。直に関係していないので、見えないところが多いが、文化行政の問題だろうか?〉
単純に『人類館』をアジアで世界で何回も公演できない県の予算システムが気になっています。新作組踊の秀作を(観光用の舞台ではなく)、海外で公演できない文化政策はおそまつだと考えています。文化政策を専門にしているわけではないので、詳細にコミットできないが、いかに戦略的に沖縄の芸能の底上げをし、世界に挑戦するか、問われているのかもしれませんね。身近なアジア諸国との交流がもっとあってもいいですね。遠い南米の芸能はなかなか見るチャンスはありません。EUやスコットランドなどはどうなのだろう?ロシアや中国の少数民族の芸能は?んんん、世界は広くて深いですね!
「情無情」の舞台です。当銘由亮さん、最近たくましい役者になりましたね。マルチタレントです。古典音楽もやります。仲嶺真栄さん、渋い声です。三枚目が似合っている嘉数道彦さん。知念さんは愛らしいジュリ。