新装版 関東大震災 (文春文庫) | |
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文藝春秋 |
吉村昭 関東大震災
恐るべき熱量を持った本です
大正12年9月1日午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。
直後に大規模火災が発生、首都圏一帯は一瞬にして地獄となった。
絶叫し、逃げまどう人々──飛び交う流言が、自警団による陰惨な朝鮮人虐殺という悲劇をも引き起こす。
本書は、地震予知を巡る抗争にはじまり、被害状況、死体処理、
被災者のバラック街の様子から糞尿の処理にいたるまで、
未曾有の大震災の真実を掘り起こす。
20万の命を奪った“天災”と“人災”を浮き彫りにする、菊地寛賞受賞の名作。
という話
地震予知については、当時の地震学の第一人者大森教授と新進気鋭の今村教授の
葛藤が描かれてます
当時のデーターに基づいた大地震への予測は非常に難しいもので
研究者によっていろんな観測があったでしょう
そんな中近々大地震に見舞われるという予測を挙げた今村氏
それに過剰に反応する第一人者大森教授
人心不安をあおるたわごとと切って捨てる場面が描かれてます
結果今村氏の説が正しかったのですが・・
震災に会った人々は、家財道具をこれでもかと持って逃げるのですが
それが、火を呼び込み大規模な火災を招いてしまうことになるのです
江戸時代であれば、建物をぶっ壊して類焼を防ぐとか
火が飛び火しないように空閑地を設けるとかしてたのに
文明開化でおごっている人間は、所狭しと住宅を建ててしまった
そして脆弱な水道網は破壊され、消防の役に立たない
何もかもが裏目にでて大量の死亡者を出してしまった
つづく