新田次郎 蒼氷・神々の岸壁
山の厳しさ、山の美しさ、山の恐ろしさ……、そこに繰り広げられる人間ドラマ。
2020年、没後40年。新田次郎山岳小説で、泰然たる自然に思いを馳せる。
冬山で命を落とした弟。果たしてその死因とは。
富士、八ヶ岳、谷川岳、穂高……、山に挑む男たちの苛烈なる生。傑作四編を収録。
蒼氷
富士山頂の気象観測所
鋭いアイゼンの爪もよせつけない蒼氷に覆われる厳冬期、石が水平に飛ぶ台風シーズン――
富士山頂の苛烈な自然を背景に、若い気象観測所員の厳しい生活と、
友情と愛と死を描いて息づまる迫力をよぶ長編「蒼氷」。
主人公の守屋は、誠実な気象観測員。富士山頂での厳しい環境の中黙々と仕事をこなす
下界に降りると、令嬢の理子のもとに足しげく通う。
理子はそんな守屋の気持ちをもてあそぶようにほかの男に思わせぶりな態度をとる。
観測所に勤務している守屋のもとに、理子の恋敵が守屋をからかうように訪れる
しかし過酷な富士山の環境は、守屋の心を代弁するかのように恋敵を陥れる
圧巻は、富士山頂を襲う台風のシーン。こぶし大の石が水平に飛び
手を離れたハーケンが矢のように壁に突き刺さる。
恋敵ともいえる同僚を救うべく嵐に立ち向かう守屋であったが・・
昭和初期に書かれた本です
昭和生まれの私が読んでも、描かれた女性(理子)が、どうもしっくりこない
こんな女、富士山から転げ落ちれば面白かったのに
釈然としない思いで読んでました
神々の岸壁
ヒマラヤを夢み、岩と氷壁に青春を賭けた天才クライマーが、
登攀不能といわれた谷川岳衝立岩を征服するまでの闘志と情熱の半生を描く。
著名なクライマー南さんをモデルに描いた短編。
幼いころから独学で登山を極め、先輩諸氏から天才といわれたクライマーが
北アルプスの難攻不落の岸壁を落としていく姿をリアルに描いてます
天候に阻まれて、登頂直前で足止めを食うシーン
落ちるわけでもけがをしたわけでもないが
水がない、それで危うく命を落としかけるシーンがリアルですごかった。
人間、水がないと生きれないのだ。
疲労凍死
雪山で弟をなくした兄は、弟とバディーを組んでいた相方が殺したと疑う
雪山に疲労した弟を放ったまま救助を呼びに行った。それはわざと弟を殺したのだ
相方と弟の間には同じ女性の影がちらついていた。
ミステリー仕立ての短編で、なかなか面白かったです
新田次郎の小説の中ではB級の部類に分類されるのか
あまり人気がないようですね
でも、富士山頂上での台風のシーンは一読の価値があると思います
手に汗握ること必至。