今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

運命が育てたチキンとキリン

2024年08月17日 | チキン,キリン,ポニー
キリンの里親さん(奥様)から妻に連絡がありました。
当家とは旧知のご家族で、今でも時折連絡取っています。
キリン(現在はみいちゃん)はいたって元気だけど、残念ながら写真はありません。
奥様は写真が苦手で、これまで送ってくれたのは息子さんに撮ってもらった1枚だけ。
話を聞くうちに懐かしくなって、保護時の状況は同カテゴリー初期の記事にあるのですが、少し角度を変えてまた書いてみようと思います。

チキンは2019年の6月に保護された。
ショッピングセンター(SC)通路の当店近くにベンダーが並んでいて、チキンはその下で衰弱してうずくまっているところを小学生の姉妹が保護。
でも家に持ち帰れば、親に飼育を反対されるに違いない。
4年生のお姉さんが途方に暮れているのを当店の常連さんが見かけて、店に連れてきた。
店に一時預けて親との交渉に向かったが、やはりダメだったとうなだれて戻って来た。
困り顔の姉妹。結局その子たちの意を汲んで、店で預かることにしたのです。

衰弱した保護当時のチキン

まずベンダーの周辺をくまなく探し回ったが他猫の気配はなかった。
預かったものの当方もここまで小さい幼猫育ての経験がなく、その日は日曜休診だったので翌日病院に連れて行くことにした。
ところが翌朝になると、チビちゃんは死んだように動かない。
慌てて病院に連れて行くと、診断結果は極度の低体温症と脱水症状。
一応毛布に包んだとは言え、ひと月足らずの幼猫を一晩店に置いたのがまずかった。
それからは家に持ち帰り、とにかく暖めて水分補給に努めた。
その甲斐あってチビちゃんの容態は回復し、夕方にはモリモリ食べ始めたのです。

あの時、ベンダーの下で衰弱したチキンが小学生の姉妹に見つけられてなかったら。
店の常連さんが途方に暮れた姉妹を見かけて、店に連れて来なかったら。
(おそらく姉妹は家の外で飼育しようとしたに違いない。)
最初の晩、店で放置された時間がもう少し長かったら。
幾度と起こった奇跡が、今のチキンを支えてきたんだなとしみじみ思うのです。

怖いもの知らずのチキンの得意技「参りましたぁ」(手前はリン)

キリンは、チキンを保護した2週間後にK君が店の奥で保護した。
K君はその2年後にご家族の事情で退職するのですが、何故か猫に好かれ、また猫の扱いや探し方に長けた青年です。
ドラマチックなチビの2度の救出劇をはじめ、数々の猫保護にも携わってきた。
数か月前には懐かしい猫たちの写真をラインで送ってくれたのですが、その中にチキンとキリンの写真があった。

キリンは店の建物の床下に隠れて生活していたらしい。
店では朝晩水撒きをするし、当時はまだ外暮らしだったテンチビ(現レオ)の置き餌をくすねていたらしく、飲み水と食べ物には困らなかったようだ。
K君はSC建物の壁と当店建物裏の隙間でキリンを発見。
でも見つけたところで、すばしっこく人を警戒するキリンはどうにもならない。
ところがさすがはK君、おやつをエサに左手1本でキリンを捕まえた。
なぜなら右手でそれを撮影していたからです。

保護当時のキリンは、チキンよりも小柄だったがすっかり大人びていた

状況からしてチキンとキリンが兄妹(姉弟)なことはまず間違いない。
わが家で2匹が対面した時、安心しきった様子になったことからもわかります。
まだ余力のあったキリンはその場を離れ、食べ物を探すうちに店に居つき、隠れて暮らすようになったと思われる。
生後ひと月足らずの幼猫が2週間もの間独りで生き抜いて来た。
もし食べ物に出会わなかったら、もしK君に捕まっていなかったら。
キリンにも、チキンと同じように数奇な運命を背負ってきた過去があるのです。

とっても仲の良かった2匹です

それから2カ月後、キリンは里親さん宅に巣立っていきました。
現在2匹はもう5才。立派な猫に成長した。
数々の奇跡を経験して成長した2匹は幸運な猫?
確かにその通り。でも、ちょっと待て・・
そもそも何で2匹はベンダーの下にいたのでしょう。
SCが開店する前に、誰かがそこに置き去りにしていったことは明白です。
そう、2匹は捨てられた猫でした。

現在のチキン

保護猫とひと口で言うけれど、彼らにはみな同じような過去がある。
一方その数十倍数百倍の、奇跡が起こらなかった猫たちがいることも忘れてはならない。
もし奇跡が起こっていたら、今のチキンやキリンのようになっていたに違いない。
悲運の猫たちに待っているのは、「エサをやるな」の邪魔者扱い、虐待、そして殺処分。
地域猫になったとしても、明日の生活に保証はない。
生まれてから死ぬまで人間に運命を翻弄される。
それでも彼らは人間を許し、人間を信じ、奇跡を信じようとするのです。


2年前のキリン


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