「月を見つけたチャウラ ピランデッロ短編集」を読みました(光文社刊/関口英子訳)+「イタリア文学セミナー第1回ルイジ・ピランデッロ」開催のお知らせ(2016.3.20)
関口英子先生が翻訳された「月を見つけたチャウラ ピランデッロ短編集」(2012年/光文社)が 2014年に第1回「須賀敦子翻訳賞」を 白崎容子先生、尾河直哉先生(『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語(白水社、2012)』)と共に受賞されてから 一度読みたいと思っていたのですが 今回LCIのセミナー「イタリア文学 ルイジ・ピランデッロ」(3/20)に申し込んだのをきっかけに初めて読んでみました:
ピランデッロは「人間の日々の営みも肉体も 虚構の上に成り立つ「形式」にすぎず、本来の自己というものはそれとは別個の存在だと考える」とあり(解説より)、それがたとえば「手押し車」等の作品の上にもよく表れていて興味深く読めました。また本にとりつかれた人生を歩む老人が若い女に望んだことは…(「紙の世界」) 将来の希望を失った青年が何のためにこんなことに…(「ひと吹き」)
「月を見つけたチャウラ」に出てくる鉱山で黙々と働き続ける登場人物の描写に 切なくなりました
読んでいてどれもドキドキしながら 短編なので登場人物も多くないので あっというまに結末が訪れ テンポよく読み終えることができました
人気の戯曲『作者を探す六人の登場人物』の原作である「登場人物の悲劇」もまた 作者の頭の中にしか存在しないはずの登場人物が 自分を描いてくれる作者を求めて歩くそのユニークな設定を楽しみつつも 精神を患っていたピランデッロの妻(硫黄鉱山が浸水して破産したことをきっかけに)の傍らでひたすら書きつづけたピランデッロの心の深淵を覗いた気もしました これは「ひと吹き」(作者が最も自賛していた作品)にも感じられました
また先日見た「カオス・シチリア物語」のDVDに出てきた「エピソード」*の原作もあり ピランデッロは人生の中で最も大変だった時期(病気の妻のために演じ続けた役割 経済的苦境その他)に最も多作であったことも感慨深いものがありました
* ピランデッロの母は 少女時代の思い出を語る ブルボンの専制政治を逃れ亡命した父を追って 母親と兄妹とともに 小さな船でマルタへと向かった日々……
倒置が多用され複雑に絡み合うピランデッロの文章の翻訳にかけられたご苦労も読ませていただき たいへん遅ればせながら須賀敦子翻訳賞受賞のお祝いとともに 今回ようやく読むことができて 少しはイタリア文学の扉が開いたのかなぁ~(これは実は「名作短編で学ぶイタリア語」(べレ出版)が最初のきっかけですが)と思い また他にも色々読んでみたくなりました!!
「月を見つけたチャウラ」は こちら
LCIの「イタリア文学セミナー第1回 ルイジ・ピランデッロ」(3/20)は こちら
ピランデッロの魅力は こちら
皆様お誘いあわせの上 ぜひこの機会に文学セミナーにいらしてください(^^)/
今回このセミナーに申し込んだのがきっかけでとうとう日本語ですが 読み始めましたピランデッロ!!
長く勉強していると いろんな分野に広げてゆかないとなぁ~って感じます...♡
イタリア語 ブログランキングへ
にほんブログ村
関口英子先生が翻訳された「月を見つけたチャウラ ピランデッロ短編集」(2012年/光文社)が 2014年に第1回「須賀敦子翻訳賞」を 白崎容子先生、尾河直哉先生(『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語(白水社、2012)』)と共に受賞されてから 一度読みたいと思っていたのですが 今回LCIのセミナー「イタリア文学 ルイジ・ピランデッロ」(3/20)に申し込んだのをきっかけに初めて読んでみました:
ピランデッロは「人間の日々の営みも肉体も 虚構の上に成り立つ「形式」にすぎず、本来の自己というものはそれとは別個の存在だと考える」とあり(解説より)、それがたとえば「手押し車」等の作品の上にもよく表れていて興味深く読めました。また本にとりつかれた人生を歩む老人が若い女に望んだことは…(「紙の世界」) 将来の希望を失った青年が何のためにこんなことに…(「ひと吹き」)
「月を見つけたチャウラ」に出てくる鉱山で黙々と働き続ける登場人物の描写に 切なくなりました
読んでいてどれもドキドキしながら 短編なので登場人物も多くないので あっというまに結末が訪れ テンポよく読み終えることができました
人気の戯曲『作者を探す六人の登場人物』の原作である「登場人物の悲劇」もまた 作者の頭の中にしか存在しないはずの登場人物が 自分を描いてくれる作者を求めて歩くそのユニークな設定を楽しみつつも 精神を患っていたピランデッロの妻(硫黄鉱山が浸水して破産したことをきっかけに)の傍らでひたすら書きつづけたピランデッロの心の深淵を覗いた気もしました これは「ひと吹き」(作者が最も自賛していた作品)にも感じられました
また先日見た「カオス・シチリア物語」のDVDに出てきた「エピソード」*の原作もあり ピランデッロは人生の中で最も大変だった時期(病気の妻のために演じ続けた役割 経済的苦境その他)に最も多作であったことも感慨深いものがありました
* ピランデッロの母は 少女時代の思い出を語る ブルボンの専制政治を逃れ亡命した父を追って 母親と兄妹とともに 小さな船でマルタへと向かった日々……
倒置が多用され複雑に絡み合うピランデッロの文章の翻訳にかけられたご苦労も読ませていただき たいへん遅ればせながら須賀敦子翻訳賞受賞のお祝いとともに 今回ようやく読むことができて 少しはイタリア文学の扉が開いたのかなぁ~(これは実は「名作短編で学ぶイタリア語」(べレ出版)が最初のきっかけですが)と思い また他にも色々読んでみたくなりました!!
「月を見つけたチャウラ」は こちら
LCIの「イタリア文学セミナー第1回 ルイジ・ピランデッロ」(3/20)は こちら
ピランデッロの魅力は こちら
皆様お誘いあわせの上 ぜひこの機会に文学セミナーにいらしてください(^^)/
今回このセミナーに申し込んだのがきっかけでとうとう日本語ですが 読み始めましたピランデッロ!!
長く勉強していると いろんな分野に広げてゆかないとなぁ~って感じます...♡
イタリア語 ブログランキングへ
にほんブログ村