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日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

日伊協会特別セミナー「古代遺跡パエストゥム ― ギリシャ・ローマの足跡を訪ねて ―」に参加してきました(2018.2.17)@(公財)日伊協会

2018年07月05日 | イタリア旅行・世界遺産
日伊協会特別セミナー「古代遺跡パエストゥム ― ギリシャ・ローマの足跡を訪ねて ―(PAESTUM:IL PARCO ARCHEOLOGICO SULLE TRACCE DI GRECI E ROMANI)」に参加してきました(2018.2.17)@(公財)日伊協会

この日は満席でキャンセル待ちがあったとのこと 世界遺産でもあり古代遺跡は人気ですね!! といってもイタリア人の中でもまだあまり知られていないパエストゥム

発音は 日本ではパエストゥム イタリア語ではペストゥム ちなみにポセイドニアPoseidonia (ギリシャ語で「海の神ポセイドンの街」) イタリア語ではポズィドニアですが この日はポセイドニアと発音しました

ニーチェも「まるで神々のひとりがここに降り立ち 巨大な石片で自分の家を作ったようだ」との言葉を残しており ゲーテも称賛したといいます そしてグランドツアーの目的地となった 2500年前マグナ・グレアキア(Magna Grecia)の街です

サレルノ県にあり サレルノから30キロくらいで海に近く Sele川とSele平原(piana del Sele)があります 世界遺産「パエストゥムとヴェーリアの考古遺跡群やパドゥーラのカルトゥジオ修道院を含むチレントおよびヴァッロ・ディ・ディアーノ国立公園(Parco nazionale del Cilento e Vallo di Diano con i siti archeologici di Paestum e Velia, e la ertosa di Padula)」として登録されています

昔はPestoと言われていました カンパーニャ州のナポリ等との通商のために 「ポセイドニア(Poseidonia)*」と町を名付けた ポセイドン(Poseidone) ヘラ(Hera) アテナ(Atena)に捧げた街です

* ポセイドニアは海の神ポセイドンの町の意味、パエストゥムはポセイドニアが訛ったもので イタリア語読みではペストゥムが近い(Wiki)

古代ローマ以前の街で 7a.C.~9d.C.にかけて まずはギリシャ人(Greci)に 紀元前5世紀末にルカ―ニア人(Lucani)に征服され(420a.C.~410a.C.) Paistomと名を変えました
そして273a.C.ローマ人(Romani)の植民地となり パエストゥム(Paestum)という名がつきましたが ローマ末期に棄てられました

ナポリ(Neapolis)と通商をしていたために 街が作られた当初はとてもよい環境でしたが だんだんと湿地帯(paludoso)となってゆき マラリアが9世紀に流行り サラセン人の襲撃があり やがては山の上に逃げるしかなく 捨てられていったのだそうです


ここでパエストゥムの地図が示されました 街の城壁(cinta muraria)は7mの高さ 4,750mありました
石灰岩(calcale)のブロックで 28の見張り塔が作られ 4つの門が作られました (東:Porta Sirene, 西: Porta marina, 南: Porta Justice, 北: Porta Aerea)
小さな門から日頃は出入りしたそうです

santuario settentrionale(北側の寺院)は アテナ神殿(il Tempio di Atena)* 
火事があったことを示す灰(cenere)の中からテラコッタが発掘されました 6つの柱と13本の柱で支えられています ライオンの頭が雨だれ除けとなっていて 口から雨水が出る仕組みだったとのこと
* 昔はTempio di Cerere(ケレス神殿)と呼ばれていた

小部屋(cella)でアテナ神の儀式が行われていました

アゴラ(Agorà)は南にある集会所で 1,700人が収容でき 街のことを話し合っていたそうです エトルリア人やルカーニア人も使っていました 

santuario con piscina プールのある寺院 肥沃の神 力を水に移すため 石の柱の上に女神が置かれました 女たちは水に沈んで出産の無事を願ったそうです 

Heroon ヘーローオン
は英雄の霊廟・神殿です 6世紀に古墳で覆われました 水瓶 はちみつのアンフォラが発見され 5本の鉄の串はお金として使われていたそうです 

i quartieri abitatori 住居区
 大邸宅は町の繁栄を象徴し 大きな家は中心街に 小さな家ははずれに作られたそうです 大理石(marmo)の浴槽に雨水を貯めたり 中庭や奴隷の部屋などもありました 来客用の部屋 寝室なども

santuario meridionale 南の寺院
 ここにあるBasilica(最古の建物)とネプチューンの神殿を おそらくゲーテ("Viaggio in Italia" 23 marzo 1787)やニーチェが見て絶賛したのではないかとのこと 最も有名な2つの神殿ですね

まずBasilica(大聖堂) は屋根がなく公共の役割をしたと考えられ (屋根は木だったので今は残っていない) ヘラに捧げられたものです 小部屋は宝物庫で信者は入れなかったそうです

次にネプチューンの神殿(il tempio di Poseidon-Nettuno)は保存もよく ヘラ(ゼウス神)に捧げられたもの 屋根があります  6×14本ドーリア式の円柱(colonne dorico) そしてこの神殿ができた当時はどんなに鮮やかな色をしていたかを再現するDVDを見せてくださいました!! 美しい赤と青です

l'epoca romana 2つの神殿

Tempio di Mater Matuta 第一母神 
tempio asclepio ギリシャ時代の名医アスクレピオスの寺院であり 病院の役割も果たしていました

パエストゥムのもっとも貴重な特産品は パエストゥムのバラ(rose pestane)です 年2回も咲くのです! 薔薇は高値で取引されました 香水の店の遺跡なども発掘されました
 
il foro 店や会議場など Comitium(il comizio/民会) 丸型の会議場
l'anfiteatro romano 円形劇場 半分しか残っていないのは なんとボルボン王朝のCarlo di Borboneが幹線道路SS18を作ってぶった切ってしまったからとのこと ショック!!
この円形劇場でグラディエーターたちが狩りや 死刑の再現等をしたそうです

 ← 左の写真は幹線道路で半分になったanfiteatro

考古学博物館
(il museo archeorogico) 先史時代の骸骨等 杯(coppa) 武具 像などがあり エウロペの強奪(il ratto Europe)が描かれてます
アステアス(Assteas)という名の有名な陶芸家の名がどの作品にも残っているそうです ギリシャ時代の壺は黒い地なのでよくわかりますね

← 黒い地の壺 左の写真はil sacello sotterraneo (地下の小礼拝堂)

ミノス伝説のシーンを描いたアステアス作の壺も紹介してくださいました 農夫が発見したのだそうで詳しいエピソードをご紹介くださいました


tonba del tuffatore(ダイバーの墓)
1968年に発掘されました
 手が込んでいます 4a.C.で唯一の人物が描かれたフレスコ画で 墓の中に描かれた絵です (raro esempio di sepoltura greca affrescata) また このtuffatore(ダイバー)は 生から死に飛び込むさまを描いたのではないかとのことですが いまだ解明されていません

← 真ん中が宴会のシーン 上がtuffatore

宴会のシーンには女性はいません コッタボス(Gioco del cottabo)という 飲み物の残った杯を投げるゲームの様子なども描かれていますね

ここで3DのDVDを見ました 2500年前のパエストゥムの再現です プールのある大きな家 フォロ(集会場、フォーラム)など...しばしうっとり...カラーなので今とは全然違って鮮やかな色です 

こちらから映像が見られます 最後の方にはtomba del tuffatoreも出てきます

cinta muraria(城壁)
の北はエトルリアとの国境で 外には住んでおらず墓(neclopoli)があったそうです 真ん中をvia sacra(聖なる道)が通っていました 

5~9世紀にはパエストゥムは海水に侵食されて 川の水が砂で流れなくなり 道や家を高くしたりしたそうですが 湿地帯となったため山に逃げるしかなかったそうで 中世には消えてしまい のちに土地改良(bonificare)したとのこと 灌漑(irrigazione)もしました  
ちなみに水牛(bufala)は マラリア(malaria)に強い唯一の動物でした

このあとは 懇親会に出て知り合いと喋ったりしてきました♪ とにかく同時通訳コースの皆様 お疲れ様でした!! このあと私は今回のFabiana先生の 「歴史で学ぶイタリア語」という新設クラスのレッスンを取ることになりました♡ ← 考古学がご専門の講師とのこと


このパエストゥムのセミナーを聞くにあたり イタリア語で聞くか同時通訳の日本語で聞くか!?いつも迷うんですよ~レシーバーをつける時に(笑) なので今回はみっちり予習をしてから行きましたが...やはり難解な部分は日本語の方を聞きました
ちょうど古代ローマ講座に出てきた地名や人名が出てきて 歴史ってつながってるんだなあ...平面に切り取ったものでも 別のテーマでこうしてつながっているものなんだなぁと実感できて嬉しかったです!(^^)! 

パエストゥムの考古学遺跡
は こちら


il Parco Archeologico di PAESTUM(パエストゥム考古学博物館)
は こちら

セミナーは こちら

日伊協会のリポートは こちら


当サークルの「第2回世界遺産入門講座」(7/22,8/5)でも ほんの少しですがパエストゥムを取り上げます♪

* 素晴らしいセミナーを開催してくださいました日伊協会様に心よりお礼申し上げます

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