長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産について聞いてきました(2018.7.18)@魅力の世界遺産&日本遺産講座/クラブツーリズム㈱
長崎の教会群がとうとう2018年6月30日(土)に 日本で22番目の世界遺産に決まりました
今年の第42回世界遺産委員会では19件の新しい世界遺産が決まり 合計1,092件(2018年7月現在)となりましたが ICOMOSやIUCNの諮問機関の事前勧告(が覆されて登録される例が増えているそうです (特に不登録から登録となったのは今回初!)
ちなみに来年2019年は6/30~7/10 アゼルバイジャンの首都バクーで第43回世界遺産委員会が開催されます 日本は「百舌鳥・古市古墳群」を候補に出すそうです ←と ついつい世界遺産検定受験モードに(笑)
今回の長崎の登録基準はⅢで 文明の証拠(略)ですね
2回目のチャレンジで ICOMOSより 禁教時代に限定して という要望を受けてようやく登録となりました 構成遺産は現存する国内最古のキリスト教会である「大浦天主堂」(長崎市)や 禁教下で潜伏キリシタンが信仰を守った「天草の崎津集落」(熊本県天草市)など12の遺産ですが 教会は1つで残りは集落などで ようやく世界遺産も建造物から文化的なものに近づいてきたというわけですね
登録理由: 日本におけるキリスト教の伝来後 250年もの禁教期における潜伏信仰と復活は 世界宗教史上類例のない歴史を物語る資産として登録されたとのこと
さて ざっと歴史です:
1549年 フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸 平戸に移り布教(キリシタン大名を増やす)
1587年 秀吉の「伴天連追放令」と 二十六聖人の殉教
1614年 徳川幕府による禁教令 → ここから250年間の禁教の歴史が...
1637年 島原・天草一揆の勃発 (年貢の取り立てが厳しく... 天草四郎が決起し原城に籠城するも鎮圧される)
1797年 五島列島に移住を開始
1865年 大浦天主堂での信徒発見 (プチジャン神父に15名の浦上の潜伏キリシタンが信仰を告白)
1873年 キリスト教解禁 (外圧による)
さて 潜伏キリシタンと カクレキリシタンの違いとは?
潜伏キリシタンは 禁教時代(1614~1873)に仏教を信仰していると見せかけて キリスト教を偽装棄教した信者 (踏み絵を踏んだり仏式のお葬式をあげたり)
カクレキリシタンは 1873年にキリスト教解禁となったあとも 先祖の秘教形態を守り カトリックに戻らない信者(400人のみ)
つまり 禁教時代の方がまだなんとかなったが(観音像をマリア様に見立てて祈ったりしていた) 信徒発見後の迫害の方がかえって厳しかったこと その他様々な時代背景とそのエピソードについて伺いました
なぜ250年間も神父不在で信仰を保っていられたのか? それはF.ザビエルが何を伝えたかということで 教会暦(グレゴリオ暦)のことであり バスチャンという外海地区で活動した伝道師が「バスチャンの日繰り」と呼ばれる教会暦をつくりましたが この存在が約250年間信仰を守り続けることができた大きな理由とのことです
この バスティアン神父(日本人伝道師)の師であるサン・ジュアン(聖ヨハネ)を祀った枯松神社をICOMOSに紹介したことでもって世界遺産登録が決定したという経緯を知りました
バスティアン神父は ポルトガル船が外海(そとめ)地方で難破して海岸に打ち上げられた3人の外国人の一人サン・ジュアン(聖ヨハネ)が黒崎の枯松にたどり着いて伝道し それを継承した人ですが この枯松神社は潜伏キリシタンの聖地なのですね
そして外海の潜伏キリシタンたちは このバスティアンの伝説を信じて250年間も信仰を守り続けたのです つまり お勧めは実は「枯松神社」なのだそうです ここは仏教徒と潜伏キリシタンとカクレキリシタンが祀られている唯一の教会なのですね
そして 外海地区の「出津教会」 「大野教会堂」を建てたド・ロ神父について ヨーロッパ貴族の「ノーブレス・オブリージュ」としての誇りをもってこの地区を守り続けたことも知りました
その他 遠藤周作の「沈黙」の原題のエピソード 樫山地区の赤岳のこと そして今年決まった13件の「日本遺産」についてご紹介いただき 壱岐・対馬・五島の歴史 空海について等 深い話を聞いてきました
* * *
ここ数日家では 通訳案内士試験のハロー通訳アカデミーの日本史のビデオも見ていて さらには昨年9月の星美学園の公開講座で聞いた 隠れキリシタンの聖画についてのセミナーの話も読み返し それらが頭の中でつながってきています
この星美学園公開講座では 講師の先生が大変な苦労をなさって体力のいるフィールドワークをされた迫力ある話を聞きました 中江の島(聖水を取った島)のサンジュワン信仰 昇天石 お水取りの行事の話 バスチャンの椿(聖木) だんじく様・アントー様という民家の中の殉教の碑 ガスパル様の松(聖木)の話がこの日よみがえり 多角的に理解できて両方とも聞いておいてよかったです
星美学園主催「レオナルド・ダ・ヴィンチとかくれキリシタンの聖画 -《洗礼者聖ヨハネ》像を「読む」-」を聞きに行きました(2017.9.30)@星美学園短期大学イタリア文化講座」の後半に 長崎の隠れキリシタンについて載っています
リポートは こちら
構成資産の地図は こちら
分かりやすい動画は こちら
長崎が世界遺産になったことを一緒に喜びたかったのに 時間泥棒に時間を永遠に盗まれてしまった長崎出身の友人に この記事を捧げます...
「魅力の世界遺産&日本遺産講座」(5回講座)は こちら あと3回あります
講師のブログ 「芭蕉さんの旅講座」は こちら
素晴らしい講座を開催してくださいましたクラブツーリズム㈱様に心よりお礼申し上げます
* 写真は 大浦天主堂 信徒発見のあった教会
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長崎の教会群がとうとう2018年6月30日(土)に 日本で22番目の世界遺産に決まりました
今年の第42回世界遺産委員会では19件の新しい世界遺産が決まり 合計1,092件(2018年7月現在)となりましたが ICOMOSやIUCNの諮問機関の事前勧告(が覆されて登録される例が増えているそうです (特に不登録から登録となったのは今回初!)
ちなみに来年2019年は6/30~7/10 アゼルバイジャンの首都バクーで第43回世界遺産委員会が開催されます 日本は「百舌鳥・古市古墳群」を候補に出すそうです ←と ついつい世界遺産検定受験モードに(笑)
今回の長崎の登録基準はⅢで 文明の証拠(略)ですね
2回目のチャレンジで ICOMOSより 禁教時代に限定して という要望を受けてようやく登録となりました 構成遺産は現存する国内最古のキリスト教会である「大浦天主堂」(長崎市)や 禁教下で潜伏キリシタンが信仰を守った「天草の崎津集落」(熊本県天草市)など12の遺産ですが 教会は1つで残りは集落などで ようやく世界遺産も建造物から文化的なものに近づいてきたというわけですね
登録理由: 日本におけるキリスト教の伝来後 250年もの禁教期における潜伏信仰と復活は 世界宗教史上類例のない歴史を物語る資産として登録されたとのこと
さて ざっと歴史です:
1549年 フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸 平戸に移り布教(キリシタン大名を増やす)
1587年 秀吉の「伴天連追放令」と 二十六聖人の殉教
1614年 徳川幕府による禁教令 → ここから250年間の禁教の歴史が...
1637年 島原・天草一揆の勃発 (年貢の取り立てが厳しく... 天草四郎が決起し原城に籠城するも鎮圧される)
1797年 五島列島に移住を開始
1865年 大浦天主堂での信徒発見 (プチジャン神父に15名の浦上の潜伏キリシタンが信仰を告白)
1873年 キリスト教解禁 (外圧による)
さて 潜伏キリシタンと カクレキリシタンの違いとは?
潜伏キリシタンは 禁教時代(1614~1873)に仏教を信仰していると見せかけて キリスト教を偽装棄教した信者 (踏み絵を踏んだり仏式のお葬式をあげたり)
カクレキリシタンは 1873年にキリスト教解禁となったあとも 先祖の秘教形態を守り カトリックに戻らない信者(400人のみ)
つまり 禁教時代の方がまだなんとかなったが(観音像をマリア様に見立てて祈ったりしていた) 信徒発見後の迫害の方がかえって厳しかったこと その他様々な時代背景とそのエピソードについて伺いました
なぜ250年間も神父不在で信仰を保っていられたのか? それはF.ザビエルが何を伝えたかということで 教会暦(グレゴリオ暦)のことであり バスチャンという外海地区で活動した伝道師が「バスチャンの日繰り」と呼ばれる教会暦をつくりましたが この存在が約250年間信仰を守り続けることができた大きな理由とのことです
この バスティアン神父(日本人伝道師)の師であるサン・ジュアン(聖ヨハネ)を祀った枯松神社をICOMOSに紹介したことでもって世界遺産登録が決定したという経緯を知りました
バスティアン神父は ポルトガル船が外海(そとめ)地方で難破して海岸に打ち上げられた3人の外国人の一人サン・ジュアン(聖ヨハネ)が黒崎の枯松にたどり着いて伝道し それを継承した人ですが この枯松神社は潜伏キリシタンの聖地なのですね
そして外海の潜伏キリシタンたちは このバスティアンの伝説を信じて250年間も信仰を守り続けたのです つまり お勧めは実は「枯松神社」なのだそうです ここは仏教徒と潜伏キリシタンとカクレキリシタンが祀られている唯一の教会なのですね
そして 外海地区の「出津教会」 「大野教会堂」を建てたド・ロ神父について ヨーロッパ貴族の「ノーブレス・オブリージュ」としての誇りをもってこの地区を守り続けたことも知りました
その他 遠藤周作の「沈黙」の原題のエピソード 樫山地区の赤岳のこと そして今年決まった13件の「日本遺産」についてご紹介いただき 壱岐・対馬・五島の歴史 空海について等 深い話を聞いてきました
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ここ数日家では 通訳案内士試験のハロー通訳アカデミーの日本史のビデオも見ていて さらには昨年9月の星美学園の公開講座で聞いた 隠れキリシタンの聖画についてのセミナーの話も読み返し それらが頭の中でつながってきています
この星美学園公開講座では 講師の先生が大変な苦労をなさって体力のいるフィールドワークをされた迫力ある話を聞きました 中江の島(聖水を取った島)のサンジュワン信仰 昇天石 お水取りの行事の話 バスチャンの椿(聖木) だんじく様・アントー様という民家の中の殉教の碑 ガスパル様の松(聖木)の話がこの日よみがえり 多角的に理解できて両方とも聞いておいてよかったです
星美学園主催「レオナルド・ダ・ヴィンチとかくれキリシタンの聖画 -《洗礼者聖ヨハネ》像を「読む」-」を聞きに行きました(2017.9.30)@星美学園短期大学イタリア文化講座」の後半に 長崎の隠れキリシタンについて載っています
リポートは こちら
構成資産の地図は こちら
分かりやすい動画は こちら
長崎が世界遺産になったことを一緒に喜びたかったのに 時間泥棒に時間を永遠に盗まれてしまった長崎出身の友人に この記事を捧げます...
「魅力の世界遺産&日本遺産講座」(5回講座)は こちら あと3回あります
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素晴らしい講座を開催してくださいましたクラブツーリズム㈱様に心よりお礼申し上げます
* 写真は 大浦天主堂 信徒発見のあった教会

