世界イタリア料理週間(Settimana della cucina italiana nel mondo):講演会「イタリア料理大全-厨房の学とよい食の術 ペッレグリーノ・アルトゥージ著作邦訳出版を前に」を聞きに行きました(2019.11.20)@イタリア文化会館
世界イタリア料理週間(2019.11.18~24) まずは「平松玲子写真展 美味なる主役たち(Mostra fotografica di Hiramatsu Reiko Squisiti protagonisti)」を鑑賞しました♡
すべての写真に 何の食材を写したのか書かれているのですが ひとつひとつ当てながら目隠しを上げてゆきます イタリア各地の特産品を拡大撮影された写真は新しい発見です!! かぎ針で作ったマッケローニ♡
この日 2019年11月20日は「アルトゥージの日」ともいうべき一日で 昼間にはカーザ・アルトゥージ(Casa Artusi)のシェフ カルラ・ブリリャドーリ氏が「エミリア・ロマーニャの神話と儀式」というタイトルで タリアテッレ タリオリーニ パッパルデッレ ガルガネッリなどの ロマーニャ地方のパスタ作りを実演してくださいました
そして この夜はいよいよ イタリアで一家に一冊あると言われるアルトゥージの「イタリア料理大全」の日本語版出版記念の講演会が開催されました 有名なシェフの方々等もいらしていました
引き続き 22日(金)には アクア・パッツァにて 23日(土)にはタンタ・ローバにて アルトゥージのレシピ再現料理のイベントが開催されたそうです💛
* * *
まずは カーザ・アルトゥージ(財団)の学術顧問アルベルト・カパッティ氏が アルトゥージの著作"La scienza in cucina e l’arte di mangiar bene"の背景などについてご紹介くださいました
イタリアの三大ベストセラーは 聖書とピノッキオと ペッレグリーノ・アルトゥーズィ/Pellegrino Artusi"(1820~1911)の「イタリア料理大全~厨房の学びとよい食の術」といわれます
1891年に出版されてから 良家の子女の嫁入り道具や結婚のお祝いに選ばれ 100年以上たっても版が重ねられています アルトゥージ生誕200年を記念して このたび平凡社から日本語版が出版されることになりました
最初は自費出版として世に出たため アルトゥージの住所が書かれていたそうです 読者からの意見を取り入れて版を重ねてゆき 最初は475種類のレシピでしたが 第15版ではなんと790種類へと増え 各国語に翻訳されていますが その第15版をもとに日本語版は作られました
↑
イタリア料理大全日本語版のチラシ
この本の出版当時はイタリア統一の後で まだまだ地域ごとの郷土料理が外に出ることは少なく それぞれの地方でそれぞれの郷土料理が食べられていました
料理人は方言を話し 自分の地域の料理を作っていたのですね
それを標準イタリア語で統一して書かれたのがこの本です
さらにはクスクスなどのレシピも取り入れています コミュニケーションツールとして他文化も大切にしていたそうです 自分でも何度も試して作り さじ加減等のレシピのバリエーションも尊重しました
裕福な商人の父のもとに 13人兄弟のうち唯一の男子として生まれたアルトゥージは 父の仕事を継ぎました
彼の母は仕事のため料理はせず また自身も妻はおらず 40才を超えた頃から料理の追求を始めました
多くの友人たちからレシピを集め 彼自身も何度も作って改良しました 最後は 版権は料理人と給仕に また遺産は生まれ故郷のフォルリンポポリ市/Forlimpopoli(エミリア・ロマーニャ州)に贈られ それをもとにアルトゥージ財団が2007年に設立され活動を続けています
料理人ではない著者が書いた本ですね 91才まで長生きされたアルトゥージの料理は 長生きにつながるとか?
今のイタリア料理はグローバル化された料理で ピザという単語は世界中でもピザであり 丸い形も共通ですね
アルトゥージの料理は家庭料理であり 伝承によって変わってゆくもので 今回日本語版が出たあとも 日本の食材により日本のキッチンで作られてゆくうちに再解釈・再発見されてゆくであめうし レシピは変わってゆくものであり それを楽しみにしているとの言葉でした
* * *
続いて 日本翻訳プロジェクトの監修・監訳者の工藤裕子先生が 日本語版のプレゼンテーションを行ってくださいました
アルトゥージが50才の時にイタリア統一がありました それまでは地域を移動するには旅券が必要でした
商人であり 自由思想の教養人でもあったアルトゥージは イタリア料理のアイデンティティを通じてイタリア統一を確立しようとしたのですね
また当時はフランス料理が優勢でしたが それに対してイタリア料理を体系化しました
フランス料理をよしとする当時の風潮や 外来語への批判を盛り込み 伝統の再評価をしました
また この本は料理本であって料理本にとどまらないとのこと
アルトゥージ財団には 「マリエッタの会」があり 地域の主婦たちが専門家として家庭料理を教えています この会の名前は彼の給仕人からとったそうです
↑
6月のアルトゥージ祭り
そして 3名の翻訳者のひとり中村浩子先生と 料理監修の長本和子先生の3名で アルトゥージの本がもつ今日的な意味や 日本語版の意義などをお話してくださいました
それぞれにイタリア語やイタリア料理との出会いのきっかけをお話くださり 改めて感銘を受けました
フランス料理に行ったのは貴族料理で イタリア料理はマンマの家庭料理 まだイタリアが貧しい中で 簡単で美味しくて安価でした
古代ローマのアピシウスの書が 最も古いイタリア料理の文献 そしてルネッサンス時代料理人バルトロメオ・スカッピの本 そしてアルトゥージの本へと続きます
ピノッキオの作者カルロ・コッローディとアルトゥージは同年代であることから ピノッキオの話に出てくる料理もアルトゥージの本にあることをつきとめられました
この本には様々な肉の栄養価などもあり 生ハム1枚で風味が増して かえって減塩になる等 貴重なお話をたくさん聞くことができ満足です♡
開催のお知らせは こちら
素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に 心よりお礼申し上げます
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世界イタリア料理週間(2019.11.18~24) まずは「平松玲子写真展 美味なる主役たち(Mostra fotografica di Hiramatsu Reiko Squisiti protagonisti)」を鑑賞しました♡
すべての写真に 何の食材を写したのか書かれているのですが ひとつひとつ当てながら目隠しを上げてゆきます イタリア各地の特産品を拡大撮影された写真は新しい発見です!! かぎ針で作ったマッケローニ♡
この日 2019年11月20日は「アルトゥージの日」ともいうべき一日で 昼間にはカーザ・アルトゥージ(Casa Artusi)のシェフ カルラ・ブリリャドーリ氏が「エミリア・ロマーニャの神話と儀式」というタイトルで タリアテッレ タリオリーニ パッパルデッレ ガルガネッリなどの ロマーニャ地方のパスタ作りを実演してくださいました
そして この夜はいよいよ イタリアで一家に一冊あると言われるアルトゥージの「イタリア料理大全」の日本語版出版記念の講演会が開催されました 有名なシェフの方々等もいらしていました
引き続き 22日(金)には アクア・パッツァにて 23日(土)にはタンタ・ローバにて アルトゥージのレシピ再現料理のイベントが開催されたそうです💛
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まずは カーザ・アルトゥージ(財団)の学術顧問アルベルト・カパッティ氏が アルトゥージの著作"La scienza in cucina e l’arte di mangiar bene"の背景などについてご紹介くださいました
イタリアの三大ベストセラーは 聖書とピノッキオと ペッレグリーノ・アルトゥーズィ/Pellegrino Artusi"(1820~1911)の「イタリア料理大全~厨房の学びとよい食の術」といわれます
1891年に出版されてから 良家の子女の嫁入り道具や結婚のお祝いに選ばれ 100年以上たっても版が重ねられています アルトゥージ生誕200年を記念して このたび平凡社から日本語版が出版されることになりました
最初は自費出版として世に出たため アルトゥージの住所が書かれていたそうです 読者からの意見を取り入れて版を重ねてゆき 最初は475種類のレシピでしたが 第15版ではなんと790種類へと増え 各国語に翻訳されていますが その第15版をもとに日本語版は作られました
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イタリア料理大全日本語版のチラシ
この本の出版当時はイタリア統一の後で まだまだ地域ごとの郷土料理が外に出ることは少なく それぞれの地方でそれぞれの郷土料理が食べられていました
料理人は方言を話し 自分の地域の料理を作っていたのですね
それを標準イタリア語で統一して書かれたのがこの本です
さらにはクスクスなどのレシピも取り入れています コミュニケーションツールとして他文化も大切にしていたそうです 自分でも何度も試して作り さじ加減等のレシピのバリエーションも尊重しました
裕福な商人の父のもとに 13人兄弟のうち唯一の男子として生まれたアルトゥージは 父の仕事を継ぎました
彼の母は仕事のため料理はせず また自身も妻はおらず 40才を超えた頃から料理の追求を始めました
多くの友人たちからレシピを集め 彼自身も何度も作って改良しました 最後は 版権は料理人と給仕に また遺産は生まれ故郷のフォルリンポポリ市/Forlimpopoli(エミリア・ロマーニャ州)に贈られ それをもとにアルトゥージ財団が2007年に設立され活動を続けています
料理人ではない著者が書いた本ですね 91才まで長生きされたアルトゥージの料理は 長生きにつながるとか?
今のイタリア料理はグローバル化された料理で ピザという単語は世界中でもピザであり 丸い形も共通ですね
アルトゥージの料理は家庭料理であり 伝承によって変わってゆくもので 今回日本語版が出たあとも 日本の食材により日本のキッチンで作られてゆくうちに再解釈・再発見されてゆくであめうし レシピは変わってゆくものであり それを楽しみにしているとの言葉でした
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続いて 日本翻訳プロジェクトの監修・監訳者の工藤裕子先生が 日本語版のプレゼンテーションを行ってくださいました
アルトゥージが50才の時にイタリア統一がありました それまでは地域を移動するには旅券が必要でした
商人であり 自由思想の教養人でもあったアルトゥージは イタリア料理のアイデンティティを通じてイタリア統一を確立しようとしたのですね
また当時はフランス料理が優勢でしたが それに対してイタリア料理を体系化しました
フランス料理をよしとする当時の風潮や 外来語への批判を盛り込み 伝統の再評価をしました
また この本は料理本であって料理本にとどまらないとのこと
アルトゥージ財団には 「マリエッタの会」があり 地域の主婦たちが専門家として家庭料理を教えています この会の名前は彼の給仕人からとったそうです
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6月のアルトゥージ祭り
そして 3名の翻訳者のひとり中村浩子先生と 料理監修の長本和子先生の3名で アルトゥージの本がもつ今日的な意味や 日本語版の意義などをお話してくださいました
それぞれにイタリア語やイタリア料理との出会いのきっかけをお話くださり 改めて感銘を受けました
フランス料理に行ったのは貴族料理で イタリア料理はマンマの家庭料理 まだイタリアが貧しい中で 簡単で美味しくて安価でした
古代ローマのアピシウスの書が 最も古いイタリア料理の文献 そしてルネッサンス時代料理人バルトロメオ・スカッピの本 そしてアルトゥージの本へと続きます
ピノッキオの作者カルロ・コッローディとアルトゥージは同年代であることから ピノッキオの話に出てくる料理もアルトゥージの本にあることをつきとめられました
この本には様々な肉の栄養価などもあり 生ハム1枚で風味が増して かえって減塩になる等 貴重なお話をたくさん聞くことができ満足です♡
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