ダビンチ「白貂を抱く貴婦人」2度大幅描きかえ@毎日新聞2014. 9.13
レオナルド・ダビンチの名画「白貂を抱く貴婦人」(ポーランド・チャルトリスキ美術館所蔵)(右)と、特殊カメラでの分析結果を基に過去の絵を復元した、テンがいない当初の絵の復元画(左上)、実物に似せたテンが描かれた段階の復元画(左下)=パスカル・コット氏提供
【パリ宮川裕章】レオナルド・ダビンチ(1452~1519年)の名画「白貂(しろてん)を抱く貴婦人」(油彩画、ポーランド・クラクフのチャルトリスキ美術館所蔵)が2度にわたりダビンチ自身の手で大幅に描きかえられ、当初はテンのいない女性だけの肖像画だった可能性が高いことが、フランスの光学研究者の研究で分かった。
絵の上塗りを層ごとに分析する特殊なカメラを用い、作画の過程をさかのぼることに成功した。研究者が日本メディアとして初めて毎日新聞に詳細を公開した。
研究者は仏リュミエール・テクノロジー社のパスカル・コット氏。独自に開発したLAM(多スペクトル)カメラを使い、透過度が異なる13種類の波長の光で絵をデジタルデータ化。これを分析することで、表面から隠れた各層の絵を画像化した。
この結果、表面に描かれたテンの下の層からやや小ぶりで写実的な別のテンの姿が浮かび上がった。さらにその下の層からは、貴婦人の右手がテンを抱かずに左手首に置かれている絵も見つかった。コット氏は「ダビンチが何らかの理由で描きかえた可能性が高い」とみる。
絵は1490年ごろ、ミラノ公ルドビコ・スフォルツァがダビンチに描かせたとされる。モデルはルドビコの愛人チェチリア・ガッレラーニ。テンは、その名を冠する勲章を持っていたルドビコを暗示したものと解釈されている。
1490年代の文献には、チェチリアがダビンチ作の自らの肖像画を持っていたことを示す記述があるが、テンには触れられていない。こうした歴史的事実も、最初に描かれた絵にテンが含まれていなかった可能性を裏付けている。
コット氏は2007年、ポーランドの財団の依頼でこの絵の調査に着手。約7年間かけて独自にデータを分析した。
イタリアのレオナルド・ダビンチ理想博物館のアレッサンドロ・ベッツォージ館長は研究結果について「絵の歴史や変遷に注目を促す点で重要だ。芸術史や人物史の面からも検証し、議論を深めなければならない」と話している。
写真は こちら
詳しくは こちら
コット氏のカメラは透過度が異なる13種類の波長の光で絵をデジタルデータ化し 特殊なソフトで分析することて下層の絵を層ごとに画像化できるというスグレモノ まるでタイムマシンのように絵の制作過程をさかのぼれるのだそうです
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レオナルド・ダビンチの名画「白貂を抱く貴婦人」(ポーランド・チャルトリスキ美術館所蔵)(右)と、特殊カメラでの分析結果を基に過去の絵を復元した、テンがいない当初の絵の復元画(左上)、実物に似せたテンが描かれた段階の復元画(左下)=パスカル・コット氏提供
【パリ宮川裕章】レオナルド・ダビンチ(1452~1519年)の名画「白貂(しろてん)を抱く貴婦人」(油彩画、ポーランド・クラクフのチャルトリスキ美術館所蔵)が2度にわたりダビンチ自身の手で大幅に描きかえられ、当初はテンのいない女性だけの肖像画だった可能性が高いことが、フランスの光学研究者の研究で分かった。
絵の上塗りを層ごとに分析する特殊なカメラを用い、作画の過程をさかのぼることに成功した。研究者が日本メディアとして初めて毎日新聞に詳細を公開した。
研究者は仏リュミエール・テクノロジー社のパスカル・コット氏。独自に開発したLAM(多スペクトル)カメラを使い、透過度が異なる13種類の波長の光で絵をデジタルデータ化。これを分析することで、表面から隠れた各層の絵を画像化した。
この結果、表面に描かれたテンの下の層からやや小ぶりで写実的な別のテンの姿が浮かび上がった。さらにその下の層からは、貴婦人の右手がテンを抱かずに左手首に置かれている絵も見つかった。コット氏は「ダビンチが何らかの理由で描きかえた可能性が高い」とみる。
絵は1490年ごろ、ミラノ公ルドビコ・スフォルツァがダビンチに描かせたとされる。モデルはルドビコの愛人チェチリア・ガッレラーニ。テンは、その名を冠する勲章を持っていたルドビコを暗示したものと解釈されている。
1490年代の文献には、チェチリアがダビンチ作の自らの肖像画を持っていたことを示す記述があるが、テンには触れられていない。こうした歴史的事実も、最初に描かれた絵にテンが含まれていなかった可能性を裏付けている。
コット氏は2007年、ポーランドの財団の依頼でこの絵の調査に着手。約7年間かけて独自にデータを分析した。
イタリアのレオナルド・ダビンチ理想博物館のアレッサンドロ・ベッツォージ館長は研究結果について「絵の歴史や変遷に注目を促す点で重要だ。芸術史や人物史の面からも検証し、議論を深めなければならない」と話している。
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コット氏のカメラは透過度が異なる13種類の波長の光で絵をデジタルデータ化し 特殊なソフトで分析することて下層の絵を層ごとに画像化できるというスグレモノ まるでタイムマシンのように絵の制作過程をさかのぼれるのだそうです
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