日伊協会特別セミナー「イタリア -まだ見ぬ国を求めて-」に行ってきました(2015.10.3)@日伊協会
この日(2015.10.3土)は奇しくも東西ドイツ統一25周年にあたり 前日に「ドイツ統一25周年 旧東西ドイツ国境を旅する」という講演会に参加し この日も歩きながらついついすぐ近くのOAGホールに先に入ってしまいました(笑)
この同時通訳付き特別セミナーは今回で7回目とのこと (今や常連?!)
今日のテーマ「イタリア -まだ見ぬ国を求めて- Italia - Alla scoperta del paese che non c'è」は私には少々難しく 2時間にわたり 休みなく同時通訳をされた同時通訳養成コースの皆様本当にお疲れ様でした!!
講師の先生の話もとても貴重なもので ぜひ何かの形で再発表してくださるといいなと思います
* * *
イタリアという国はついに実現されずに終わったユートピアなのではないか?かつて古代ギリシャの植民地だった時代から、古代ローマ帝国を経て、ヨーロッパ共同体の一員になった現在にいたるまで、ダンテやマキャヴェッリやベッカリアの言葉に耳を傾けながら、ベル・パエーゼ(bel paese/すばらしい国)と呼ばれる国の謎めいた魅力を、みなさんとご一緒に考えてみたいと思います。
まず最初に paeseという単語には nazione(国) そしてborgo, villaggio(村)という二つの意味があることから始まり Bruno Bozzetto の楽しいアニメ「italiani e europei」を鑑賞しました
全然列に並ばない 日和見主義(opportunismo)なイタリア人の振る舞いに会場からは笑いが(笑)これはあちこちで紹介されるイタリア人をわかりやすく表現したカワイイアニメで大好きなんです(*´ω`*)
ダンテの神曲の煉獄篇で 同郷の者であるだけですぐに心通じ合えるシーンが紹介されました
イタリアはその位置において 地中海の諸国の中で他の国の新しい文化を取り入れやすい位置にあり それはまた今まさに難民流入問題でも言えることですが 古代ギリシャから始まりビザンチン アラブ・イスラムその他の文明の影響を受けてきた一大文化交流地点なのですね
そのわかりやすい例がセミナーの最後に紹介されました それはすなわちdolceです!! ストゥルッフォリはスペインの パンナコッタはフランスの ストゥルーデルはドイツの カッサータはアラブの影響を受けてできたドルチェなのだそうです
また通常では長靴の形が縦で描かれる地図ですが セミナーでは 16世紀に水平に描かれた地図 またアルプス側から見た地図も紹介されました 常識を覆す初めて見た地図でした!!
イタリアの地理や温度差についても紹介され 古代ローマ帝国が生まれる前の(preromano) italichiという古代イタリア民族についても紹介されました 古代ローマ時代のregioneは今のregioneの位置とさほど変わっておらず (エトルリア/etulschiがそのまま今のトスカーナ地方になるなど) 昔の地図と今の地図を見比べてみたりしました
casoniという大きな共同住宅の写真も初めて見ました これはフリウリに3千年前から残っている葦と柱で作られた簡素な家です
アブルッツォ州にある手つかずの国立公園 コクッロという蛇つかいの祭り カラブリアとブ―リアに今もギリシャ由来の村が存在し その独特な黒い民族衣装の写真も紹介されました
要塞都市castrumの写真では cardoとdocumanoという十文字で街を分割する主要道路があり これはトリノやブレシァに今もありますが 写真を見ながらミラノ万博にもあることをまた思い出しました!
法律(legge)はラテン語で書かれていたため一般の人には理解できなかった 聖書(bibbia)もそうですね そしてマンゾーニの「いいなずけ」やI.カルビーノの言葉も紹介しつつ 実は言語の隔たりが大きかったために公証人や弁護士という職業が生まれたのだそうです (ということはこの職業がない国は...と考えてみましたょ)
また教会については 唯一のイタリア人をまとめた組織で キリスト教とイタリア人には密接な関係があるが 母のような存在でもある一方厳格さを求め 様々な本を禁じた目録なども紹介されました 農民の出であっても教会の中では教皇(papa)まで出世できるのですね 教皇の8割がイタリア人とのこと
イタリア人の典型的な顔(i volti)も写真が紹介され ジェスチャー好きであること 細分化された多くの方言の歴史的成り立ち イタリア統一は文化的統一がなされて初めて成るのだなぁと思います
イタリア統一時(1861)には10~15%しか標準イタリア語が話せず方言が主で 各地方の人々が共に暮らす中で(第一次大戦の塹壕の中などでも)標準語ができていったこと
また南北問題(problema di Mezzogiorno)も75%のイタリア人がこの問題を意識しています
イタリアより面積が倍のフランスでのコミューン(comune/自治体)の数はフランスが1300 イタリアは7千と数倍あり さらに南ではcomuneは北よりも大きいとのこと
シエナのパリオ等でも各地区(コントラーダ)の旗があり それが派閥につながったという話も出ました
次にナポリ人にインタビューする映像が紹介され 「イタリア人ですか?」「いえ、ナポリ人(napoletano/a)です」と誰もが答えるのでまた会場から笑いが(笑)
家族のつながりの強さ ダンテの時代のフィレンツェのGuelfi e Ghibellini(グェルフィ党と皇帝党)の話 padrone(家父) そしてイタリアが作ったものには アルファベットという共通言語 複式簿記 銀行 大学(ボローニャ大学はヨーロッパ最古) ローマ法 ヨーロッパ統一の考え等など...こんなに多かったんですね Cesare Beccaria(啓蒙主義者)が1764に書いた本のことも紹介されました
そしてイタリアの産業競争力 ドイツが1位だが繊維製品(tessuto)はイタリアが一位 60年代から90年代にかけて工業では4位だったそうです
最後にメルケル首相とレンツィ首相がフィレンツェで会談した時の国旗の写真が紹介され 地方 国 そしてヨーロッパに属しているイタリア人をシンボライズしていました
このように大急ぎで膨大な流れを駆け抜けたセミナーでしたが 最後のまとめに司会の先生からは イタリア人の l'arte di arrangiarsi (何か困ったことが起きてもなんとか切り抜ける方法) そして ダンテの神曲(commedia dell'arte)ではcaos(混乱)に始まり秩序が生まれるが それに対してギリシャの悲劇(tragedia)では 秩序の中に突然カオスが入ってくるというという対比がなされました
このあとは交流会がありましたが 私はドイツ統一25周年を祝いにすっ飛んで家に帰りました~(*´ω`*)
セミナーのお知らせは こちら
素晴らしいセミナーを開催してくださいました公益財団法人日伊協会様に 心よりお祈り申し上げます
イタリア語 ブログランキングへ
にほんブログ村
この日(2015.10.3土)は奇しくも東西ドイツ統一25周年にあたり 前日に「ドイツ統一25周年 旧東西ドイツ国境を旅する」という講演会に参加し この日も歩きながらついついすぐ近くのOAGホールに先に入ってしまいました(笑)
この同時通訳付き特別セミナーは今回で7回目とのこと (今や常連?!)
今日のテーマ「イタリア -まだ見ぬ国を求めて- Italia - Alla scoperta del paese che non c'è」は私には少々難しく 2時間にわたり 休みなく同時通訳をされた同時通訳養成コースの皆様本当にお疲れ様でした!!
講師の先生の話もとても貴重なもので ぜひ何かの形で再発表してくださるといいなと思います
* * *
イタリアという国はついに実現されずに終わったユートピアなのではないか?かつて古代ギリシャの植民地だった時代から、古代ローマ帝国を経て、ヨーロッパ共同体の一員になった現在にいたるまで、ダンテやマキャヴェッリやベッカリアの言葉に耳を傾けながら、ベル・パエーゼ(bel paese/すばらしい国)と呼ばれる国の謎めいた魅力を、みなさんとご一緒に考えてみたいと思います。
まず最初に paeseという単語には nazione(国) そしてborgo, villaggio(村)という二つの意味があることから始まり Bruno Bozzetto の楽しいアニメ「italiani e europei」を鑑賞しました
全然列に並ばない 日和見主義(opportunismo)なイタリア人の振る舞いに会場からは笑いが(笑)これはあちこちで紹介されるイタリア人をわかりやすく表現したカワイイアニメで大好きなんです(*´ω`*)
ダンテの神曲の煉獄篇で 同郷の者であるだけですぐに心通じ合えるシーンが紹介されました
イタリアはその位置において 地中海の諸国の中で他の国の新しい文化を取り入れやすい位置にあり それはまた今まさに難民流入問題でも言えることですが 古代ギリシャから始まりビザンチン アラブ・イスラムその他の文明の影響を受けてきた一大文化交流地点なのですね
そのわかりやすい例がセミナーの最後に紹介されました それはすなわちdolceです!! ストゥルッフォリはスペインの パンナコッタはフランスの ストゥルーデルはドイツの カッサータはアラブの影響を受けてできたドルチェなのだそうです
また通常では長靴の形が縦で描かれる地図ですが セミナーでは 16世紀に水平に描かれた地図 またアルプス側から見た地図も紹介されました 常識を覆す初めて見た地図でした!!
イタリアの地理や温度差についても紹介され 古代ローマ帝国が生まれる前の(preromano) italichiという古代イタリア民族についても紹介されました 古代ローマ時代のregioneは今のregioneの位置とさほど変わっておらず (エトルリア/etulschiがそのまま今のトスカーナ地方になるなど) 昔の地図と今の地図を見比べてみたりしました
casoniという大きな共同住宅の写真も初めて見ました これはフリウリに3千年前から残っている葦と柱で作られた簡素な家です
アブルッツォ州にある手つかずの国立公園 コクッロという蛇つかいの祭り カラブリアとブ―リアに今もギリシャ由来の村が存在し その独特な黒い民族衣装の写真も紹介されました
要塞都市castrumの写真では cardoとdocumanoという十文字で街を分割する主要道路があり これはトリノやブレシァに今もありますが 写真を見ながらミラノ万博にもあることをまた思い出しました!
法律(legge)はラテン語で書かれていたため一般の人には理解できなかった 聖書(bibbia)もそうですね そしてマンゾーニの「いいなずけ」やI.カルビーノの言葉も紹介しつつ 実は言語の隔たりが大きかったために公証人や弁護士という職業が生まれたのだそうです (ということはこの職業がない国は...と考えてみましたょ)
また教会については 唯一のイタリア人をまとめた組織で キリスト教とイタリア人には密接な関係があるが 母のような存在でもある一方厳格さを求め 様々な本を禁じた目録なども紹介されました 農民の出であっても教会の中では教皇(papa)まで出世できるのですね 教皇の8割がイタリア人とのこと
イタリア人の典型的な顔(i volti)も写真が紹介され ジェスチャー好きであること 細分化された多くの方言の歴史的成り立ち イタリア統一は文化的統一がなされて初めて成るのだなぁと思います
イタリア統一時(1861)には10~15%しか標準イタリア語が話せず方言が主で 各地方の人々が共に暮らす中で(第一次大戦の塹壕の中などでも)標準語ができていったこと
また南北問題(problema di Mezzogiorno)も75%のイタリア人がこの問題を意識しています
イタリアより面積が倍のフランスでのコミューン(comune/自治体)の数はフランスが1300 イタリアは7千と数倍あり さらに南ではcomuneは北よりも大きいとのこと
シエナのパリオ等でも各地区(コントラーダ)の旗があり それが派閥につながったという話も出ました
次にナポリ人にインタビューする映像が紹介され 「イタリア人ですか?」「いえ、ナポリ人(napoletano/a)です」と誰もが答えるのでまた会場から笑いが(笑)
家族のつながりの強さ ダンテの時代のフィレンツェのGuelfi e Ghibellini(グェルフィ党と皇帝党)の話 padrone(家父) そしてイタリアが作ったものには アルファベットという共通言語 複式簿記 銀行 大学(ボローニャ大学はヨーロッパ最古) ローマ法 ヨーロッパ統一の考え等など...こんなに多かったんですね Cesare Beccaria(啓蒙主義者)が1764に書いた本のことも紹介されました
そしてイタリアの産業競争力 ドイツが1位だが繊維製品(tessuto)はイタリアが一位 60年代から90年代にかけて工業では4位だったそうです
最後にメルケル首相とレンツィ首相がフィレンツェで会談した時の国旗の写真が紹介され 地方 国 そしてヨーロッパに属しているイタリア人をシンボライズしていました
このように大急ぎで膨大な流れを駆け抜けたセミナーでしたが 最後のまとめに司会の先生からは イタリア人の l'arte di arrangiarsi (何か困ったことが起きてもなんとか切り抜ける方法) そして ダンテの神曲(commedia dell'arte)ではcaos(混乱)に始まり秩序が生まれるが それに対してギリシャの悲劇(tragedia)では 秩序の中に突然カオスが入ってくるというという対比がなされました
このあとは交流会がありましたが 私はドイツ統一25周年を祝いにすっ飛んで家に帰りました~(*´ω`*)
セミナーのお知らせは こちら
素晴らしいセミナーを開催してくださいました公益財団法人日伊協会様に 心よりお祈り申し上げます
イタリア語 ブログランキングへ
にほんブログ村