「ゆめぴりか」として流通できる量は、例年の2割程度。
したがって、早ければ年内。
遅くても4月までには、全国の売り場から「ゆめぴりか」は姿を消してしまう。
当然「ゆめぴりか」を食べている消費者は、他県の他品種に移っていくしかない。
しかし、「ゆめぴりか」を美味しいと言っている消費者が、「これなら」と言って移れる品種はあるのだろうか?
残念ながら「合組」では役不足だろう。
多分、30年産米で「ゆめぴりか」のお客様が安心して移れる品種となると、福井県の新品種「いちほまれ」だろうと思う。
なぜなら、元々の戦略として「ゆめぴりか」のお客様と、「コシヒカリ」のお客様をターゲットにしていたからである。
よって、「ゆめぴりか」には出来ていない「特別栽培米」と「JAS有機米」を、今年のデビュー年から販売している。
さらに、お客様が間違わないようにと、スーパーや量販店で販売している「エコ栽培米」と、安心安全を重視した「特別栽培米」以上の米袋も変えている。
特徴についても美味しさについても、消費者に対しての情報発信についても、県が主体となって、なるべく細かく発信するようにしている。
当然、ブランドとして安定するまでは、生産者の販売は不可。
JAの販売ですらも不可である。
生産者が勝手に「いちほまれ」を栽培する事も出来ない。
ホクレンが仕掛けていた「ゆめぴりか戦略」の穴と言うか、出来ていなかったところを、「いちほまれ」は埋めている。
なので「ゆめぴりか」のお客様を、「いちほまれ」の在庫が続く限りは、なんとか繋ぐことが出来ると思う。
しかし問題は、両品種が市場から消えてしまった時に、紹介できる品種が無いという事である。
もう一つ、新米になった時に、「ゆめぴりか」を食べいていたお客様が、「ゆめぴりか」に戻るのか、「いちほまれ」に留まるのかが、判断できないという問題である。
北海道の中では、「自分たちは東北と肩を並べた」と思っているかもしれない。
しかし内地から見れば、まだまだ「やっかいどう米」の産地でしかない。
他の産地の品種を食べてしまったお客様に、もう一度「ゆめぴりか」に戻ってもらいたい、再び食べてもらいたいと考えるのであれば、まずは、福井県「いちほまれ」を超える戦略を、北海道は新たに作るしかないだろう。
そうとう難しい事だろうとは思うが、それしか道は無いと思う。