初台リハビリテーション病院に入院中の事、
私は蒲田のOさんと、仲良しだった。
4人づつ同じテーブルを囲む食堂で、一緒になった私達は、
お風呂(右麻痺の患者と左麻痺の患者で1組、それに介護士さんがつく)も一緒だった。
部屋はデイルーム(食堂)を挟んで、私は西の外れ、東にOさん。
それでも急速に仲良くなって、あれこれと部屋を行き来した。
Oさんは、左側の麻痺・・・言語障害は、ほとんどないけど、
「喋らなきゃいけないよ、
いっぱいお喋りしようよ。私が相手になるよ。」って・・・・・
少しでも言語療法の助けになればと、Oさんと、いっぱーい、お喋りをした。
ある日の事、
デイコーナーでお喋りをしていると、
患者仲間の楽しいTさん(事故で脊髄に損傷があり、リハビリ中)が来て、
「仲がいいね。みかんを持ってきてくれたんだー、一緒に食べよう」って、
大きなみかんを1個づつくれた・・・
二人共、「ありがとう」と言って“みかん”は、そのままテーブルの上・・・
Tさんは「俺が居ると、食べずらいよねー」と言って、車椅子でその場を離れてくれた。
私達、どうやって食べるの?って、
二人して顔を見合せて、思わず笑っちゃった!
「Oさんの右手と私の左手で、1個づつ剥いたりしてね」、と暫く笑っていたけど、
Oさんがポツンと
「みかんも、片手では食べれないのね」って言ったのを聞いて、切なくなった。
片麻痺ってそういう事なんだ・・・と、今更ながらに思った。
(因みにOさんは左利きだから、右手が自由でも喜んでなかった・・・・・)
勿論、Tさんに悪気はなく、あれこれと声をかけてくれる、優しいオジサンだった。
今は、Kが“みかん”をむいてくれる幸せ・・・・・
毎年、この時期になると思いだすことの一つだなぁ~