突然、降って湧いたようなお誘いでした。
「結婚式に出演してもらえませんか?」というメールが ぬえの元に届いたのは、今から1ヶ月ほど前の事です。メールを送ってくださったのは、結婚式のコーディネーターの方で、このブログをお読みになって、コンタクトを取ってくださったのです。へ~~、そんな事もあるんだね~。意外な展開だ。。
ところがお話を伺ってみると、新郎新婦は古式ゆかしい結婚式を望んでおられ、三々九度で祝言謡を披露願いたいのこと。ええ~っ、それはまた現代では珍しい、頼もしいカップルですね~。そして結婚式が行われるのは伊豆・天城の老舗旅館だそうで。。えっ、伊豆。。!?
生まれも育ちも東京で、故郷というものを持っていない ぬえにとって、狩野川薪能での子どもたちとの触れあいを通して、いつのまにか伊豆。。わけても中伊豆は心の中で第二のふる里となってしまっているのに。。今年の薪能が終わって、またちょっと縁が遠くなっていた、そんな伊豆から、またお誘いが来た。。おそらく、このコーディネーターの方が ぬえのブログを読んで、伊豆を想う ぬえの気持ちを感じ取ってくださったのでしょうが、なんだかもっと大きな力が働いているような。。そんな気がしてきました。
そんなわけで、来週の金曜日、23日に ぬえは伊豆・天城の老舗旅館・落合楼村上で行われる挙式に出席させて頂き、祝言の謡と仕舞を勤めさせて頂きます。
この日、晴れて挙式され、新しいご夫婦となるのは高松 崇さんと伊藤 舞さん。おめでとう~~ (^.^) このブログでご紹介したい、という ぬえの申し出にもご快諾頂いたお二人は、新郎の特技が空手、中学時代には剣道も嗜まれ、ホノルルマラソンにも出場されたというスポーツマン。新婦はピアノや日本舞踊が特技で東邦音楽短大ご卒業という芸術系の方かと思いきや、中学・高校時代はソフトボール、テニス部でご活躍、という、やっぱりスポーツウーマンで、お二人の出会いも会社の一部の社員がなさっていた草野球に新婦が参加されたのがキッカケなのだそうです。女性選手は新婦お一人だった、と言いますから、やっぱり身体に流れている血は文武両道。日本人ですね~
それにしても、披露宴で『高砂』の仕舞を披露するような事は何度も経験がありますが、結婚式というのは ぬえは初めて。。じつはとっても緊張していて、当日に何を謡うか、ずいぶん考えましたし、自分で謡いながらストップウオッチで計測してみたり。。
まず新郎新婦のご入場を謡でお迎えします。ここは老神が影向する能で、荘重な雰囲気がある『老松』を謡う事にしました。次いで、最も重要な三々九度で謡を勤めるのですが、この所要時間がおよそ10分程度掛かる、とのことで、ぬえ、だいぶ悩みました。もとより小謡でそれほど長いものはないので、いくつかの曲を連続して謡うことにしました。まずは定番の『高砂』の待謡。「高砂や~」ですね。時代劇などで俳優が謡う、まるでお経のような無表情の謡ではなくて、脇能の発声のダイナミズムを聴かせたいところですが。。やはり場面にそぐわないので、重く、静かに謡うようにしてみようかと思います。本来の待謡ならば1分も掛からないところですが、謡い方を変えて。。それでもせいぜい1分半。(^◇^;) 考えた末、成就する恋の物語である『井筒』のクセを謡うことにしました。『井筒』は先日の自分の催し「ぬえの会」で勤めたばかりで、思い入れもある曲です。「そのとき女も比べこし振分髪も方過ぎぬ。君ならずして誰か上ぐべきと互ひに詠みし故なれや。。」。。ああ、やっぱり恋って美しい。そして仕上げは『皇帝』のクセの末尾の三句「寿なれやこの契り 天長く地久しくて尽くる時もあるまじ」。。このクセの詞章は決してめでたい文章ではないのだけれど。。この三句があるためにこのクセは恋の物語として成就しています。このストレートな文章は ぬえはとっても好き。
これにて一時能楽師は座を控えて、お開きの場面で祝言舞を披露します。ここはやはり『羽衣』でしょう。優雅で品位があり、それに、何と言っても伊豆にふさわしい。富士の高嶺の、そのさらに上空に舞う天女は、新郎新婦を見守る守護神のよう。う~ん、能の作者は想定していなかっただろうけれど、先人は良い曲を残してくれました。これほど有名な曲なんだけれども、何度演じてもちっとも手垢にまみれた感じがしない。作者がわからないだけに、これほど非凡な才能を持ち合わせた人って。。名前を残そうとしなかったこの先人には ぬえは本当に敬意を表します。
「結婚式に出演してもらえませんか?」というメールが ぬえの元に届いたのは、今から1ヶ月ほど前の事です。メールを送ってくださったのは、結婚式のコーディネーターの方で、このブログをお読みになって、コンタクトを取ってくださったのです。へ~~、そんな事もあるんだね~。意外な展開だ。。
ところがお話を伺ってみると、新郎新婦は古式ゆかしい結婚式を望んでおられ、三々九度で祝言謡を披露願いたいのこと。ええ~っ、それはまた現代では珍しい、頼もしいカップルですね~。そして結婚式が行われるのは伊豆・天城の老舗旅館だそうで。。えっ、伊豆。。!?
生まれも育ちも東京で、故郷というものを持っていない ぬえにとって、狩野川薪能での子どもたちとの触れあいを通して、いつのまにか伊豆。。わけても中伊豆は心の中で第二のふる里となってしまっているのに。。今年の薪能が終わって、またちょっと縁が遠くなっていた、そんな伊豆から、またお誘いが来た。。おそらく、このコーディネーターの方が ぬえのブログを読んで、伊豆を想う ぬえの気持ちを感じ取ってくださったのでしょうが、なんだかもっと大きな力が働いているような。。そんな気がしてきました。
そんなわけで、来週の金曜日、23日に ぬえは伊豆・天城の老舗旅館・落合楼村上で行われる挙式に出席させて頂き、祝言の謡と仕舞を勤めさせて頂きます。
この日、晴れて挙式され、新しいご夫婦となるのは高松 崇さんと伊藤 舞さん。おめでとう~~ (^.^) このブログでご紹介したい、という ぬえの申し出にもご快諾頂いたお二人は、新郎の特技が空手、中学時代には剣道も嗜まれ、ホノルルマラソンにも出場されたというスポーツマン。新婦はピアノや日本舞踊が特技で東邦音楽短大ご卒業という芸術系の方かと思いきや、中学・高校時代はソフトボール、テニス部でご活躍、という、やっぱりスポーツウーマンで、お二人の出会いも会社の一部の社員がなさっていた草野球に新婦が参加されたのがキッカケなのだそうです。女性選手は新婦お一人だった、と言いますから、やっぱり身体に流れている血は文武両道。日本人ですね~
それにしても、披露宴で『高砂』の仕舞を披露するような事は何度も経験がありますが、結婚式というのは ぬえは初めて。。じつはとっても緊張していて、当日に何を謡うか、ずいぶん考えましたし、自分で謡いながらストップウオッチで計測してみたり。。
まず新郎新婦のご入場を謡でお迎えします。ここは老神が影向する能で、荘重な雰囲気がある『老松』を謡う事にしました。次いで、最も重要な三々九度で謡を勤めるのですが、この所要時間がおよそ10分程度掛かる、とのことで、ぬえ、だいぶ悩みました。もとより小謡でそれほど長いものはないので、いくつかの曲を連続して謡うことにしました。まずは定番の『高砂』の待謡。「高砂や~」ですね。時代劇などで俳優が謡う、まるでお経のような無表情の謡ではなくて、脇能の発声のダイナミズムを聴かせたいところですが。。やはり場面にそぐわないので、重く、静かに謡うようにしてみようかと思います。本来の待謡ならば1分も掛からないところですが、謡い方を変えて。。それでもせいぜい1分半。(^◇^;) 考えた末、成就する恋の物語である『井筒』のクセを謡うことにしました。『井筒』は先日の自分の催し「ぬえの会」で勤めたばかりで、思い入れもある曲です。「そのとき女も比べこし振分髪も方過ぎぬ。君ならずして誰か上ぐべきと互ひに詠みし故なれや。。」。。ああ、やっぱり恋って美しい。そして仕上げは『皇帝』のクセの末尾の三句「寿なれやこの契り 天長く地久しくて尽くる時もあるまじ」。。このクセの詞章は決してめでたい文章ではないのだけれど。。この三句があるためにこのクセは恋の物語として成就しています。このストレートな文章は ぬえはとっても好き。
これにて一時能楽師は座を控えて、お開きの場面で祝言舞を披露します。ここはやはり『羽衣』でしょう。優雅で品位があり、それに、何と言っても伊豆にふさわしい。富士の高嶺の、そのさらに上空に舞う天女は、新郎新婦を見守る守護神のよう。う~ん、能の作者は想定していなかっただろうけれど、先人は良い曲を残してくれました。これほど有名な曲なんだけれども、何度演じてもちっとも手垢にまみれた感じがしない。作者がわからないだけに、これほど非凡な才能を持ち合わせた人って。。名前を残そうとしなかったこの先人には ぬえは本当に敬意を表します。