以前にご紹介しました通り、今日は伊豆・天城の温泉旅館「落合楼村上」での和式の結婚式に出演して参りました。ま~~お嫁さんのキレイだったこと。
いまどき、古式ゆかしい昔ながらの結婚式を望まれ、それが ぬえのところにまで出演依頼につながったのは、まさに偶然の産物と言えるでしょう。また ぬえも披露宴には何度も出演したことがありますが、三々九度で謡を謡ったのははじめてでした。考えてみれば和式の結婚式で三々九度などの儀式は神式あるいは仏式で行われるので、この儀式を司るのは神官かお坊さんなんですよね。今回は人前式だったので、儀式の部分から ぬえのような能楽師が関わらせて頂けることになったわけです。
さて順を追ってお話すれば、ぬえにとって通い慣れた伊豆であっても大仁から先というのは ほとんど足を踏み入れた事がありません。今回は修善寺からさらに車で30分程度入った先でした。天城峠に近い標高の高い所で、大仁よりもずっと寒かった~。でも紅葉がいくぶん始まった頃の深山の谷川の景色は。。あら、これは『山姥』のお里? と、つい思ってしまいました。

さて挙式の前にはリハーサルが行われますが、ぬえはそれに間に合ったのでリハーサルから参加させて頂きました。ん~~ ぬえが思っていたよりはずっと進行は速そうだ。。急遽新郎新婦の入場の場面で『高砂』の待謡を、三々九度では『井筒』のクセの上羽からトメまでと、『皇帝』を謡うことに改めました。結果的にこれでピッタリ新郎新婦の動作と合ったので、いや、リハーサルから出席してよかった。
さて本番のお式が始まると、段取りがうまくかみ合ってスムーズに進行しました。はじめての結婚式での上演に緊張してお宿に入った ぬえでしたが 人前式ということで、厳粛ながらもアットホーム、そんな感じのお式で、ぬえも気持ちがラクでしたし、ご親族も喜ばれたのではないかと思います。良いお式でした。結局 鵺が謡ったのは入場の『高砂』待謡~『老松』キリ、三々九度の『井筒』クセ後半と『皇帝』。それからお式のお開きの場面での 仕舞『羽衣』キリと、さらにご披露宴にも ぬえは招いて頂いたので、そこで舞った『高砂』といったところがすべての上演曲です。
お式と披露宴の間には、新郎新婦より ぜひ温泉に入っていってください、とのご好意を頂いてお風呂にも入らせて頂きました~。考えてみれば、催しの前に温泉に入ったのも、これまた初めてだなあ。(^◇^;)
こちらからの御礼じゃないけれども、新郎新婦には、12月の研能会で ぬえが上演する『山姥』の ご招待券をプレゼントさせて頂きました。
さらにその上、新郎新婦は東京にお住まいになるそうで、それでは、ってんで12月には今回 ぬえにこの結婚式の出演を依頼されたコーディネーターさんもお呼びして焼肉パーティーを催す事になりました。なんでやねん。
ともあれ、美しく感動的な結婚式は無事にお開きになりました。新郎さん新婦さんは、どうぞお幸せに暮らせますように。
