ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

名古屋能楽堂に出勤してきました。

2011-06-07 22:14:59 | 能楽
伊豆で小学校の運動会を見て、それからお稽古を済ませて、とても満足感を持って名古屋に移動しました。京都のF師のお招きで、そのお弟子さんの発表会に呼んで頂いたのです。ありがたや~

さてF師からは ぬえが東京から出勤するので午後遅くになってからの出番に番組を編成してくださったようですが、前日に伊豆に行った ぬえは、そのまま名古屋に宿泊。午前中の時間が空いてしまったので久しぶりの名古屋を見てまわることにしました。

名古屋城とかテレビ塔、名古屋港水族館など見どころはたくさんある名古屋ではありますが、ぬえのお目当ては徳川美術館です。

徳川美術館にはもう何度も来ていますが、展示品もそうだけれど ぬえにとってはそれ以上に目的があります。というのも、ぬえはここの売店で売られている能装束の意匠がプリントされた一筆箋を愛用していまして、ちょうどそれを切らしそうだったもので、この機会に名古屋に来られたのはとってもタイミングがよかったのですね~

さてさて名古屋には市内観光のためのバス「メーグル」というのが走っているのを知って、それを利用してお昼のちょっと前に徳川美術館に行きました。すると…

なんと徳川美術館のまわりではお祭りの最中で、なんだか豪華な山車が町中を練り歩いています! よくよく近づいて見ると、なんとからくり人形が載った山車で、それも漆に蒔絵の文様が施された超豪華仕様の山車でした。



そうして ぬえが徳川美術館に入ろうとすると、どうやら山車の目的地もそこであるらしい(!)。 ぬえは楽屋入りの時間がありますので、あんまりいつまでも山車を眺めていることもできないので、美術館の展示をひと通り見て…何度も来ている割にはここが誇る所蔵品の「源氏物語絵巻」の展示にはついに対面したことがない…今回も。それから初音の調度も今回は硯箱しか展示されていませんでした…残念。

展示品はもう何度か見たものも多かったので、それでは、と 一筆箋を買いに売店へ。あれ~? 装束の一筆箋が1種類しかなくなってる…(・_・、) う~ん、なんだか今回は空振りのようで…。

そうして美術館の外に出てみると… ををっ、さきほどの山車が美術館の玄関の前にずらっと勢揃いしているではありませんか! まるで紀州の殿様に拝謁しているみたい~ ふだんは静かな徳川美術館の玄関前が、この日ばかりはこの賑やかさ!



あとで知ったことですが、もともと名古屋では山車が練り歩く祭りは有名で、『紅葉狩』や『石橋』など能から題材を得た山車も多く、『橋弁慶』の山車はことに著名なのだそうです(名古屋能楽堂にレプリカが展示されているそうです)。また戦災にも負けず、江戸前期~幕末に作られた山車が今でも現役だったりするんですって! 多くの山車が出るお祭りは10月の「名古屋まつり」だそうですが、たまたま6月にこの近隣の町の祭礼があって、最近ではその機会に当地の山車が徳川園に集合することになったようです。ふ~む、それでは偶然にその日にここに来合わせた ぬえは運が良かったのですね~。

さてその後能楽堂に到着してF師の会にお邪魔させて頂きました。こちらのご門下は謡が本当に上手で、ぬえは毎年とても良い勉強をさせて頂いておりますし、また 自分も頑張らなきゃな~と発奮もしますですね。この日は能、番囃子、舞囃子、素謡、仕舞と、もう盛りだくさんの内容で、F師のお弟子さんも大熱演! 楽しい会でした!