ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆の国市・子ども創作能 今年も始動~

2011-06-22 01:19:12 | 能楽
先週末は東京で師家の月例公演のあと、すぐに伊豆に向かいました。
いわずもがな! 伊豆の国市での「子ども創作能」が今年も始動、この日が初顔合わせの日だったのです。

いや~一時はどうなることかと思った子ども能…

じつは去年のうちから心配していたことなのですが、大盛り上がり、大成功の去年の子ども能は、参加メンバーに多くの6年生がいたのが一つの活力になっていたのだと思うのですが、それに続く5年生が0人、さらにその下の4年生がたったの2人しかいなかったのです。…ああ、もちろん総勢は多かったんですよ。20名以上が参加してくれていたんですが、例年と比べても、その6年生と下級生…それこそ1年生とか2年生…そうして幼稚園児の層が厚い割には中堅どころの4~5年生の参加層が薄かったのです。

この4月にその6年生は中学に進学。子ども能からは基本的には「卒業」という形になりました。OBとして任意に参加するのは可能なのですが、それは地謡として後輩の小学生のバックアップにまわるのが主な役目となりますし、中学生となるとさすがに勉強や部活が忙しくなるので、稽古への参加もどうしても滞りがちになります。やっぱり小学生の高学年が立ち方のメイン・メンバーになりますね。

ですから、4月になって小学生のメンバーが進級しても、相変わらず最高学年の6年生は0人(!)、5年生が2人、という状況は変わらなかったのです。そうしてさらに、大勢だった6年生を失うことは参加者全体の人数が激減するということで…ある意味、子ども能が始まって以来の最大の危機を ぬえは予感していました。

地元の実行委員会さまも市報に参加者募集の広告記事を出してくださったりしましたが、あまり芳しい反響があったようには ぬえには聞こえず…。次いで去年のメンバーにもクラスメイトを誘ってもらうようメールを出したり、あらためて学校を通じて募集のプリントを配ってもらったりしましたが…時間は過ぎてゆくばかり。

一方、東日本大震災の影響で、かつて子ども能が出演していた当地の能楽公演「狩野川能」も中止に追い込まれたという報告が ぬえに届き…これは子ども能も無理かなあ…と思ったのですが、実行委員会のご尽力で、当地の子どもたちの夢を壊すことなく、子ども能だけは今年も上演続行が決まったのでした。

それでも参加者の衰退には、東京に在住する ぬえには打つ手はなく…もう、どうなることかと思いながらこの日の初顔合わせの集会に臨みました。

そうしたら、なんと! 去年のメンバーのうち小学生はほぼ全員が集まってくれまして、今年も出演したい、と言ってくれました! さらに学校を通じての募集に応募した子が2人新たに参加! しかもこれが6年生と5年生だったんです! ああ、なんということ。そのうえ去年のメンバーのうち新中学生の子も3人も参加表明してくれました! をを~、一時は7~8名だけしか集まらないんじゃないかと危惧した子ども能メンバーも、13人の参加が確定しました! ああ~これなら立派な公演ができるね~!

去年から引き続いての参加になる小学生のメンバーの何人かは、ちゃあんと「子ども能Tシャツ」を着て集まってくれましたよ~。ありがとう~! うれしいよ~