ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第19次支援活動<気仙沼市>(その3)~陸前高田市に宿泊

2014-01-27 01:45:24 | 能楽の心と癒しプロジェクト
この日から2泊させて頂く陸前高田市・矢作にある鈴木旅館さんは、あとで聞けばこのあたり。。のみならず気仙沼でも有名な温泉旅館さんでした。到着したときにも駐車場には車がいっぱい。

でも、宿泊客は少ないようでした。日帰り温泉として人気があるのかも。奇跡の一本松がある「高田松原」は気仙沼市民の海水浴場として人気があったとも聞きましたし、高田というところは気仙沼から見るとちょっとしたリゾートのような街だったのかも。

ところで今回は大晦日~元日にかけての活動ですが、活動スケジュールが固まってきたところで宿泊の予約を始めたところ、これが大苦戦で、かなり困りました。まず気仙沼市内の旅館はどこも満室で宿泊は不可。。どうも復興のための土木業者さんの宿舎として使われているようなのですが、まさか大晦日まで満室とは。そのうえ、いつも気仙沼での活動の際に泊まっている常宿さんに連絡を取ったところ「年末年始は休業です」とのこと。ああなるほど、せっかくのお正月ですもんね~。。(×_×;)

そんな事で、宿が決まらない最悪の状況の中、11月の ぬえのスケジュールは、師家の学校公演の出演で平日はほとんど東京にいない有様。公演地に滞在中にホテルからネットに繋いで、活動の関係者との交渉も進めながら宿の手配に奔走しました。忘れもしない、11ももう下旬になって、学校公演の公演地の北海道から東京に帰る飛行機便を待つ時間に、帯広空港の出発ロビーの片隅に旅客に解放されているLAN端子を発見して。。もうこの頃は宿泊予約サイトに登録している宿は全滅でして、気仙沼の観光協会などのサイトから旅館の一覧を調べて直接宿に電話して予約の可能性を尋ねて。。それも空振りに終わって八方ふさがりの状態でした。ところがこの空港でネットに繋げることがわかったところで、なんとなく気分も切り替わって、気仙沼を離れて近隣の市町村の宿泊施設の検索を開始することに。

一関市。。いやいやどう考えても距離が遠すぎる。。大晦日の活動が夜通しになる可能性があるので、宿は宿泊というよりはむしろ仮眠を取るべき場所だと考えると、気仙沼市内により近い場所でなければ。。ということで陸前高田市に的を絞って検索を開始しました。検索している場所が空港の出発ロビーという公共の場所なので、PCでひとつ宿を見つけては携帯を持って1階に駆け下りて空港の外に出て電話を掛け。。その宿が不可とわかると、また2階ロビーに上がって次の宿を検索。。これが数件も続いて、ついに宿泊OKというお返事を頂いたのが鈴木旅館さんでした。もう、ぬえ、泣きそう。

大晦日の宿泊だからか、食事の支度はできませんよ、とは言われましたが、大晦日には5名にふくれあがる今回の活動の出演者全員の宿泊が可能とのこと。しかも、なんとすべて個室を用意頂けるという、予想以上の好条件で宿を確保することができたのでした。

さてこの日 旅館に到着して、早速宿泊の手続きを進めて。ところが肝心の温泉。。大浴場は夜は21:30までしか利用できないそう。朝は早朝5:30頃から入浴できるのですが、今回の活動は大晦日の深夜におよび、その疲れもあって翌朝は早起きはできないだろうから、どうもこの条件では入浴は厳しいようです。。もちろん募金で活動するボランティアとしてはお部屋にお風呂がついているような高級な宿には泊まりませんので。。

お部屋はきれいでしたが、ゴミ箱もティッシュも、浴衣もタオルもありません。テレビは100円玉入れて2時間ほど見れるヤツ。いや、まあ、宿泊ができただけでも ぬえたちにとっては救世主のような宿なのです。それにこちらの旅館さんは震災後ボランティアを受け入れたり、現在でも近隣にある仮設住宅の住民さんには無料でお風呂を解放していたり、復興に向けて重要な役割を果たしておられるのでした。

夕食をまだ食べていないので、ちょっと休息を取ってから笛のTさんとともに陸前高田の仮庁舎のそばの仮設商店街「希望商店街」に行って食事をし、そこから出演者に宿の設備の状況を知らせました。