【辺春(へばる)】
辺春の「辺」とは、あたり、付近などの意。「春」は張(はる)と同じで
開拓のこと。村、川、山その他、周辺を開拓したとき付けられることが
多い。開拓地一帯ということ。
戦国の末頃、辺春親之(ちかゆき)という武将がいた。肥後国玉名
(たまな)郡坂本城主で、天正15年(1587年)に国人一揆に加担して
いる。筑後の立花宗茂(たちばなむねしげ)勢を和仁親実(わにちかざね)
と田中城で防いだが破れて死ぬ。福岡県立花町に辺春は川名と共
に現在もある。
【蟇浦(ひきのうら)】
蟇は通俗ガマ蛙のこと。浦は湾曲した水辺であるが、ここでは蟇の
多くいる内海、すなわち入り江などではない。むしろ引き浦で、水が
引潮であまり押し寄せてこない水辺のこと。そこに多少とも蟇に似た
水音などを聞くと蟇浦と名がつく。
淡路島蟇浦城主に蟇浦経利(ひきうらつねとし)という人物がいた。
阿波の三好元長(みよしもとなが)の家臣だが、大永8年(1528年)、
炬口(たけのくち)城主安宅次郎三郎(あたかじろうさぶろう)がそむいた
ので主と共にこれを攻めた。
【三毛(みけ)】
三毛の「三」は御のことで敬語、「毛」は上毛(かみつけ)〈群馬県〉、
下毛(しもつけ)〈栃木県〉などの毛ノ国の毛で、食物または穀物。
三毛とは、穀物の穫れるご領地、すなわち三宅(みやけ)のこと。
三毛門(みけかど)〈福岡県〉、三ケ田〈岡山県〉などの地名もある。
戦国の頃、三毛源十郎という下級武士がいた。豊臣秀吉に仕えた
馬廻(うままわ)りである。伊勢国に所領を与えられたが、慶長5年
(1600年)の関ヶ原役で西軍に属し滅んだ。