【道化(どうけ)】
道化とは、今はおどけの意の使う。もとは、法をもって人を教化する
意。これを苗字に用いたのが戦国の武士、道化六郎左衛門で美濃の
斎藤道三の家臣。
道三は主家を乗っ取った無道で知られるが、子の善竜(よしたつ)も
父にそむいた。 六郎左衛門は、頭半分を剃って善竜の前に出仕した。
「どうした?」
「殿に従うべきか、殿の父君に従うべきか迷っておりまする」
と父子ともにいさめた。道化の語の始まり。
(呂) 中世の珍姓珍釈編
中世のやまとことばは、古代のそれより少し現代風になっている。
太郎丸などがそれだ。太郎は音でその下に丸という訓がついている。
垪和(はが)の垪は、国字だ。漢字だけではいくら当て字を作っても
追いつかない証拠だ。道化という文字も音で通用している。
こうして音読みが少しづつ増えてきた。
『姓氏・家系・家紋の調べ方』丹羽基二:著より
【伊達(だて)】
伊達の語は伊達正宗によって天下に知られた。六〇万石の実力は
ダテではない。しかし、伊達とは砦の館(たて)ことで、阿達、安達など
との区別にすぎない。昔は文字どおり、イダテ、イダチといった。
イを取ったのは動物のイタチに間違われるから。正宗は都に上って
秀吉に面会するとき、いつもイタチの陣羽織に似た妙な服装なので、
人から田舎者と笑われた。伊達者の語もここから起こった。
【尻高(しったか・しりたか)】
シリタカがもとの読みだが、のちにシッタカになる。尻とは地形の
後方や末端のこと。尻高とは山川、台地などの後部が高くなっている
ところ。全国にある。ただし、解釈には朝鮮語説やアイヌ語説もある。
上野の豪族に尻高氏がある。天正八年に利根郡宮野城の尻高
佐馬助(さまのすけ)と吾妻郡小城(おぎ)の尻高摂津守は、武田勝頼の
軍に討たれた。本宗の尻高城は今の群馬県高山村尻高である。