実は私のまわりには在日韓国人の人が多い。
前々から、毎年必ず法事で休む人が多いのは気になっていた。
朝早くから一族が集うので、
前日から買い物など済ませ、用意をしなければ
とてもじゃあないが料理が作れないという。
もちろん女性たちがみんなで手伝うらしい。
なので、深夜仕事であるパートを休まなければならない
ということだった。最近ゆっくりしてしまうと後片付けの方も
しんどくなるので、連休を取ってしまいがちなのだそうである。
ほとんど毎月のように法事をしていたこともあるが、
今は大変なので簡素化しているという。
御主人が長男なので大変だと言っていた。
韓国では“儒教を抜きにしては韓国を語れない”といわれる
ほど儒教が深く生活の中に浸透しているという。
儒教に基づいて生まれた礼儀作法は、
今日では習慣化しているらしい。
朝鮮王朝は、仏教を政治中枢に位置した高麗王朝
が滅び(1392年)、その衰退の要因が仏教とみなすと、
一切の補助を打ち切り僧侶を階級とする政策、
士農工商賎を制度化し、儒教の礼法でもって
人間関係をコントロールしたという。
朝鮮王朝の儒学は朱子学であり、李退渓(東方の朱子)、
李栗谷(東方の聖人)の二人の影響が大きいといわれる。
李退渓はとくに礼を重んじた。
親子は考による愛を、兄弟姉妹は悌による愛を、
そして信や忠をもって交友し、廉(質素)を尊び恥を知る
といった礼節と作法が重んじられた。
考の精神は、祖霊供養を非常に重んじる。
現世の幸せは祖霊の加護によってもたらされる
と信じていたのである。
元旦(旧正月)・・・茶礼(チャレ・先祖の供養)と、
日本の盆に当たる中秋の名月(旧歴8月15日)秋夕(チュソク)
には、一族が集うが、仏壇などはなく
(仏壇とは寺の本殿にあるものを指す)、
祖霊供養の礼法は儒教に基ずくが、
そこにシャーマニズムの影響が潜んでいる。
韓国のお寺には僧侶以外の人の墓はない。
また、葬送も僧侶の念仏で送られることはないし、
死者に日本のような戒名は付けず、
儒教の礼法に基ずいて家庭でつけられ、
位牌や墓地に書かれる。
『日本の文化 韓国の習俗』:金両基著
友人の御姑さんが、男の子と女の子の可愛がり方が
尋常じゃあ無いほど差別して、長男の時は自分に
抱かせてくれなかったほどだったというのを
よく聞いていた。
今回この韓国と日本の文化の違いを知り、
日本にもあった「家制度」に似た、
いやそれ以上の伝統的大家族制度と族譜
が男尊女卑が根強く息づかせてきたんだなあと、
とても礼を重んじる彼女の姿に納得したものが湧いてきた。
≪ 韓国の話 ① ≫