凌いだ。今回も。遣り済ませた。遣り済ませられないことだったかもしれないのに、超えた。ほっとしている。
帯状疱疹の痛みがほぼ消えた。
1週間薬を飲み続けた。此処で終わりとなった。後は神経の緊張をほぐすビタミン剤のようなものに変わった。湿疹の症状は出なかったので、塗り薬を塗ることもなかった。
凌いだ。凌げた。有り難いことだった。
凌いだ。今回も。遣り済ませた。遣り済ませられないことだったかもしれないのに、超えた。ほっとしている。
帯状疱疹の痛みがほぼ消えた。
1週間薬を飲み続けた。此処で終わりとなった。後は神経の緊張をほぐすビタミン剤のようなものに変わった。湿疹の症状は出なかったので、塗り薬を塗ることもなかった。
凌いだ。凌げた。有り難いことだった。
雨が止んでいたが、どうもおかしい。空がヘンだ。暗くなってきた。畑へ行こうとしているが、また降り出すのかな。例年に比べ,随分と早い梅雨入り宣言らしい。
遂に認知症症状発症か。JAショップに入って行って小餅を買った。車に戻った。すると、なんだか見かけたことのある人が、ちょっと離れたところを通りかかった。思い出せない。たしかに会ったことがあるのだが、ピンとこない。その人はこちらは見ずに通り過ぎて行った。それからしばらくしてやっと思い出せた。高校の頃のクラスメートだった。何度でも会っている。最近も会っている。その記憶が呼び戻されてこなかった。記憶が喪失されて、吹っ飛んでいた。
あぶないあぶない。
その人にこんなことを告白したら、さぞ悲しがるだろうなあ。こちらに親近感を持っていてくれていればいるほど、<無視された>ことになってしまうかもしれない。やれやれ、今日の場合は先方もこちらを見ず、それと感づかれなかったからいいようなものの。道の真ん中でぱったり出遭って、そこで知らぬ存ぜぬに出たら、相手はやはりショックだろう。
腹が減ったぞ。チャンポン屋さんに入る。ラーメンよりはいいだろう、野菜が載っているし。お昼時だというのにこの店は客が少ない。ぽつんぽつん。隣の客は、モツチャンポンというのを注文した。食べたことがないなあ。僕は普通のを頼んだ。
薬局に来ている。お薬手帳を忘れてしまった。どうしよう。薬を出してくれないかも。
ここもクリニックと同じくらい多い。みんなこんなに薬に依存しているのか。ふーーん。
日本の医療費は嵩むはず。
お昼になってしまった。通院というのもタイヘンだな。
ところで、僕は昨日の夕食でニンニクの大きいのを食べた。2塊も。近付いて来た看護婦さんやドクターが臭かったのじゃないかなあ。
クリニックの待合室に花が生けてある。季節の花はいまは紫陽花。落ち着いた水色の紫陽花の花が気品を保つ貴婦人のよう。
一つはバラのようだ。もう一種類の咲いている。薄い紫で、葱坊主の形をしている。もっと大きいけど。この花の名は知らない。ふんわりしている。
二歳くらいの男の子が、お母さんに顔を突き出して、おとなしく鼻水を拭いてもらっている。愛情確認作業なのかな? 満足の顔、安らいだ目をしている。しばらくするとまた鼻の下がきらりと光る。
ここはクリニックの待合室。待ち時間が長い。幼い子にはなおさらだろう。子どもの遊具も置いてある。
赤ちゃんが泣き出した。ウワーーーンウワーーーン。お母さんが揺すっている。泣き止まない。ウワーーーンウワーーーン。待合室に響き渡る。お母さんが抱いて歩き回る。今度は上の男の子がぐずり出す。お母さんはその子を叱る。
子どもは国の宝。みなお母さんの応援団。嫌な顔をする人はいない。
若いお父さんが5才くらいの女の子を連れて来ている。おとなしくお父さんの横に座っている。仲良しのようだ。ときどき目配せをしている。もうすぐ診察が回って来るのだろう。
皮膚科医院待合室は満席状態。受け付け番号券は82番。表示板によると、いま45番の方が受診室に入られた。受け付けの係の方が、お昼過ぎになるでしょうとのこと。75分を待つことになりそう。待ち時間が長いぞ。幼いお子さん連れが多い。お母さんはタイヘンだなと思う。雨は小止みになっている。女医さんだけど、男性患者も半数を占めている。わたしもその一人。皮膚疾患でみなさんお悩みと見える。
雨降りお月さん 雲の上 お嫁に行くときゃ 誰と行く ひとりで唐傘差して行く 唐傘ないときゃ 誰と行く シャンシャンシャラリコ 鈴つけた お馬に揺られて 濡れて行く
童謡唱歌をつい口ずさんでしまった。記憶が正確ではないかもしれない。ネットで調べようとしたが、凍結してしまって、動かない。この頃よく起こる。
*
お月さんが出ているから夜。雨が降っているから、それも見えない。雲の上だけを照らしている。もうすぐわたしはあの人の処へお嫁に行く。ふっとそのことが頭を占める。お嫁入りの日に、雨が降ったらどうしたらいいかということが心配になってくる。仲人さんに手を引かれて行列して行くはずなのだが、花嫁衣装は雨に濡れる訳にはいかない。行列は中止となってしまいかねない。そうしたらどうしよう。
一人ででも行こうと思う。唐傘を差して、花嫁衣装の裾をひっからげて行こう、あの人の処へ行こう、と。大きな大きな唐傘でなければなるまい。それが用意できなかったら? 誰もついてきてはくれまい。そしたらどうしよう。心配ばかりを追い掛ける。
お馬を厩から出して来て、これにシャンシャンシャンと鳴る鈴をつけて、これに跨がって行こう、一人ででもあの人の処へ行こう、と決断をする。雨が降っている。光を差してくれるはずの月の光は雲の上にあって、地上へは届いて来ない。闇夜である。闇夜に鳴ってもあの人の処へ行こう。馬の鞍の上では花嫁衣装が濡れてしまう。髪に被っている白い鬼の角隠しも濡れてしまう。
*
いい歌詞だなあ。泣けてくるなあ。作詞をした人はどんな人だったんだろう。こんないい歌詞が書けたらいいなあ。
*
今日は雨。雨が降っていても、わたしに歌はできない。わたしに詩はできない。
雨。土砂降りではない。丁度いいくらいの雨量。これで大地がふかぶか湿潤する。しっとり潤った緑色の草木が、目蓋を閉じて静かに快感している。遅れて植えたズッキーニの、初咲き雄花が、この世の黄金を見せている。大きな葉っぱをドラムにして雨がブルースの曲を鳴らす。雨蛙が呼応して渋い喉で歌い出す。
雨。雨だから、畑仕事は出来ない。畑に出れば、それはそれでやりたいことが見つかるが、ま、骨休みのときを与えられたか。今日は午前中に皮膚科医院へ行く。帯状疱疹受診の三回目。痛みはほぼやわらいでいて、あまり感じられない。ときおり、沼の奥底からズッキ~ンが浮かび上がって来るくらい。耐えられる。