もう寝ますはいもう寝ますと言いながら寝ないでいます寝たら死んじゃう
薬王華蔵
*
目をつぶって寝たら空想快楽に浸るわたしは死んでしまいます。寝ないで、目を開けて、まだ見ぬ快楽をして生きているしかないのです。わたしはそのころ13歳でした。13歳は一途でした。
あなたは何歳になっていますか? 何歳を生きていますか?
もう寝ますはいもう寝ますと言いながら寝ないでいます寝たら死んじゃう
薬王華蔵
*
目をつぶって寝たら空想快楽に浸るわたしは死んでしまいます。寝ないで、目を開けて、まだ見ぬ快楽をして生きているしかないのです。わたしはそのころ13歳でした。13歳は一途でした。
あなたは何歳になっていますか? 何歳を生きていますか?
見ていないふりして見てる片方をもう片方が嫉妬している
薬王華蔵
*
見てはいけない見てはいけないと思っているのですが、しまいにはそれを覆して、そこにいるうつくしい人を盗み見ている目があります。片方だけにしているのですが、もう片方がその快楽を嫉妬するんです。みどりの長い髪をしたうつくしい人を見るというのは、理性がどう逃げまくっても、快楽なんです。
埋められし水琴窟に水落ちて水は人恋ふ声を響かす
薬王華蔵
*
七山の笹舟という料亭には水琴窟がある。水が落ちて地中の窟の空間に響き渡る仕組みが施されている。それを聞いた。途中の節を抜いた長い竹を、耳に当てて聞いた。深く澄んだ美しい音がした。水音が声になって「こころある人間さま、此処にいるわたしを明るい外に出して下さい」に聞こえた。
90分のドライブをして、七山のななの湯に遊びました。あたたまりました。ゆっくりできました。
近くに梅の花が満開を迎えていました。
山里のローカル線の無人駅下りて人あり桜褒め合ふ
薬王華蔵
*
だあれもいない駅かと思ったら、人がいた。わたしも一人旅。人が旧知の人のように思えて立ち去りがたく、一輪二輪咲いていた桜を褒めて、しばらくの時を過ごした。