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<経産大臣指定伝統的工芸品> 新潟 本塩沢

2021-03-17 07:09:11 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「本塩沢」

 「本塩沢(ほんしおざわ)」とは、新潟県南魚沼市で織られる絹織物で、「塩沢お召し」と愛称でも呼ばれる。

 始まりは江戸時代(17世紀中期)と言われ、「越後上布(越後縮)」のような「シボ」の持ち味を絹織物に応用しようと、技術・技法を絹に生かした絹縮が前身である。1976年(昭和51年)に経済産業大臣指定伝統的工芸品となっている。

 湯の中で揉んでだす「シボ」立ちの独特な風合い、緻密な絣(かすり)模様が特徴である。

 生糸を使用し、横糸に強い撚りをかけた強撚子(きょうねんし)を用いて、織り上げた後に湯もみをして作られる。湯もみによって、強撚子が戻る力を利用して「シボ」と呼ばれる、独特の地風を持つ絹織物となる。

 さらりとした肌触りに、十字絣(じゅうじがすり)、亀甲絣(きっこうがすり)で構成された絣模様で、上品さと優雅さが魅力となっている。

*Wikipedia より

 洗練され完成された先人の技術の結晶、本塩沢
 国の重要無形文化財「越後上布」より受け継がれた技術・技法を絹織物に取り入れ「塩沢お召」として長く愛されている本塩沢。

 
 越後上布からの流れを受け継ぐ
 上布とは、特に上質な麻織物の総称で、越後で生産される麻縮は越後上布と呼ばれた。これは、芋麻(ちょま)と呼ばれる麻を手のつめで引き裂き、撚り掛け、糸繰り(いとくり)、のりつけなどによりできあがった糸を手でくくることによる絣作りなどの数々の工程を経て織にかけるものだ。また、この織も、機具(はたぐ)は地機(じばた)という道具を使用し、人と機具、そして糸が一体となり始めて布が織上がる。一反織るのに二カ月以上を要するものであった。また、越後上布より昔、1200年前の奈良時代に、すでにこの地方で織られた麻布が存在していたという。(なお、現在、この麻布は奈良の正倉院に保存されている。)これらのことからも、塩沢の織物の歴史の長さがうかがい知れる。この越後上布の製織技術の中から生まれたのが本塩沢だ。今回は、塩沢織物の伝統工芸士である中島清志さんにお話を聞いた。


 繊細に織り込まれ、その姿をあらわす絣
 本塩沢を説明するときの表現に「シャリ感」がある。中島さんは「しぼ(波状の凹凸)のある布を手でこすると、シャリシャリというんですよ。そこからこの言葉ができたんでしょう。」と言う。独特のしぼのあるその布を持ってみると、確かに小気味よい音が響く。「このシャリ感が、越後上布から受け継がれている部分です。」中島さんは、何よりこの地風を守ることが大事だと言う。「私が織物にはじめて携わったとき、先代から教えられたのは、原料に非常に気を使い、何よりも地風を大切にしろ、地風を完成させろ、これが完成しなければ、色柄が載せきれないということでした。」土台がしっかりしていなければよい建物ができないのと同じことだそうだ。本塩沢もこの「シャリ感」という地風の土台がしっかりしているからこそ、柄や色合いが生きてくる。確かに、本塩沢の反物はうわべだけではない芯の通った雰囲気を漂わせていた。一番根幹となる部分を何よりも大切にしているからこそ、「塩沢お召」と言う名前で一世を風靡(ふうび)し、今もなお、人々に受け入れられ続けているのだろう。


 繊細に織り込まれた絣文様と上品な色合い
 「十字絣・亀甲(きっこう)絣を組み合わせ、蚊絣と呼ばれる細かな絣で柄を構成する」その絣技術は、昔ながらの手くくり、手摺込みの技法を用いて、経絣糸、緯絣糸を一本一本ていねいに織重ねて柄を構成する。小さいしぼの地風に、絹絣特有の針の先で描いたような繊細な織り物は、織りだけでなく、色合いも紺藍の濃淡を用いて、一色一色の微妙な変化に趣向を凝らす。そのため、本塩沢の中には落ち着いた上品さが秘められている。


 織り上げる人の気遣いが生きている
 織具は高機(たかはた)と呼ばれる織機を使用しているが、この織技術は、越後上布の持っていた人と糸とが一体となって織り上げる技術を継承している。「経糸の張りの調整をしっかり行いますね。糸に無理を掛けて伸ばしてはいけないし、経絣、緯絣を一本一本合わせながら織り上げます。さらに、本塩沢の緯の地糸には右撚りの強撚糸と左撚りの強撚糸があり、互いに間違えないように織り込まなければなりません。」本塩沢を作る人たちの気の使いようが見て取れる。


 これからまだ挑戦です
 今にいたるまでの長い歴史の中で、すでに洗練されて伝わってきているものだけに、「それこそこの本塩沢というのは奥が深くて、これでいいというのが全然ない。」という。やはり、中々納得のいくほどのものはできないそうだ。一端途絶えたら復興不可能な技法と言われる技に対し、つねに意欲を持って取り組もうとしている中島さん。「これからまだ挑戦して行きたい。」という言葉に職人の本塩沢に対する真摯な姿勢が垣間見えた。


 職人プロフィール

 中島清志

 織物に従事してから半世紀、ずっとこの仕事一筋。

 こぼれ話

 雪さらしは着物の里帰り

 雪さらしは、雪という自然条件を生かした独特の技法であり、この地方の早春の風物詩です。
 雪が解け、水蒸気となり、紫外線を吸収するとオゾンが生成されます。このオゾンには殺菌・漂白作用があり、布目を通り抜ける際に麻の色素と化学反応を起こし漂白します。化学的なことが知られていない昔から行われていたのは、原理を知っていた人たちの知恵のなせる技。
 また、年月を経て、色が褪せたり汚れた縮は、再び何度も雪さらしをすることにより、鮮やかさがよみがえり、綺麗になります。クリーニングではどうしても地風が硬くなってしまうそうですが、この雪さらしならそのようなことはありません。そうして「里帰り」した縮は、再び持ち主のところで長く着られ、愛用されていくのです。

*https://kougeihin.jp/craft/0114/ より


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