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<経産大臣指定伝統的工芸品> 岡山 勝山竹細工

2021-07-19 10:27:24 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「勝山竹細工」

 Description / 特徴・産地

 勝山竹細工とは?
 勝山竹細工(かつやまたけざいく)は、岡山県真庭市周辺で作られている竹細工の製品です。竹細工は全国各地で生産されており、その材料には孟宗竹(もうそうちく)や淡竹(はちく)などが使われますが、勝山竹細工の原材料には真庭市の周辺に生えている真竹(まだけ)が使用されています。元々は「そうけ」と呼ばれる日常生活や農作業で使う「ざる」が主な製品でした。穀物を入れる「大ぞうげ」、野菜などの作物を運ぶための「みぞうけ」、水切りのために研いだ米を入れる「米あげぞうけ」、軒下に吊るしご飯が痛むのを防ぐ「飯ぞうけ」の4種類が代表的な勝山竹細工として知られています。現在はパンかごや手提げかご、花器など時代に合った製品も盛んに生産されています。
 勝山竹細工の特徴は、加工を最低限しか行わない青竹を使用し、丈夫さと使いやすさを実現していることです。真竹を使用する他の竹細工には火であぶったものや煮沸したものを使うこともありますが、勝山竹細工では素材を活かした青竹のまま製品を作る製法を伝統的に行ってきました。
 素朴で力強い竹細工は、青竹が持つ自然な美しさが最大限に活かされ、年月を経ると飴色に変化していきます。

 History / 歴史
 勝山竹細工の製造技術は、1860年頃に確立したと考えられています。しかし、この時期の製品は日常的に使用される道具であったことから、当時の製品で現存するものがほとんどありません。そのため、正確な起源の時期は不明確です。
 ただし、1860年(万延元年)に書かれたとされる山谷家の古文書や、1877年(明治10年)の酒屋免許嘆願書の中に、勝山竹細工の製品である竹かごの「張そうき」や、穀物を入れたり運搬したりするのに利用された「亀そふけ」の記述を確認することができます。このことから、遅くとも江戸時代の末期には、勝山竹細工は製品として広く流通していたと考えられます。当時は、竹細工職人を自宅に招き数日間泊まり込みで作業をしてもらい、一年分の製品を作ってもらう家もあったとも伝えられており、竹細工が人々の日常生活や農作業に欠かせないものであったことが伺えます。
 中国地方で行商販売され実用性の高さから生活必需品として重宝されていましたが、時代を経るにつれ全国へと広まっていきました。1979年(昭和54年)には、国の伝統的工芸品に指定されました。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/katsuyamatakezaiku/ より

 真竹の美と技、勝山竹細工
 どこの農家にもある「そうけ」。昔からずっと変わらないそのフォルムは、お百姓さんたちの使い勝手がよいからこそ。この素朴で実用性の高い工芸品を、匠たちの技で自然芸術の域にまで高めたのが、勝山竹細工だ。

 
 長い伝統のある竹細工の村、勝山
 岡山市内から車でおよそ2時間、岡山県の北部に位置する勝山町。こののどかな山村で勝山竹細工は作られる。いったいこの地に、どこの誰が竹細工の技術を伝えたのかは定かではない。しかし、もうすでに160~170年もの間、この技が職人からまた職人へと伝えられていったと言われる。江戸末期には竹細工の村として生活が成り立っていたことが、文献にも残っている。


 生活シーンに合ったさまざまな竹細工製品
 農家の庭先でよく見かける「みぞうけ」「大ぞうけ」「米揚籠」、そして「飯籠」。これが伝統工芸品に指定されている4品目である。これらはお米などの穀物はもちろんのこと、野菜入れとして、また土砂を運ぶ際の土木作業用としても重宝されている。その他にも民芸品の「末広」や「どじょう籠」「びく」、実用的な「くず籠」「パン籠」「盛り籠」、そして茶室によく似合う「花器」など、さまざまなデザインのものが時代の潮流に合わせて作られている。およその竹細工なら注文によって、作ってくれる。これらを中国五県に広く行商販売し、その使い勝手のよさと耐久性で人気となり、勝山竹細工は名声を博していった。


 勝山ですくすくと育った真竹
 勝山竹細工の魅力は、熟練職人のすばらしい技とともに、地元の竹林からとれた真竹と葛籠(つづら)を使う点である。作業所のすぐ裏手には竹林があり、りっぱな青々とした竹がそびえたっている。この竹のうち、3年から5年たったものを切る。そのくらいの竹が一番、弾力や粘り、つやなどにおいてすぐれているためだ。製品の良・不良は、やはり素材によるところが大きい。粘りと光沢があり、節と節との間隔が長くて、竹の根元が太く、素直にまっすぐ生育し、なおかつ竹の質のよいもの・・・これらすべての条件をみたすのが真竹である。また生育場所によってもその品質に影響するが、勝山の恵まれた自然のなか、竹細工に適した真竹が育つのだ。次に大切なのが、竹を切る時期。時期の悪いときに切ると、品質の低下や虫害の恐れがある。毎年11月から12月にかけて、材料となる竹を切る。このときに切った竹を風通しのよい日陰に保存し、1年中使う。「良い竹を見て、良い時期に竹を切る」というのが、職人さんたちの合言葉だそう。


 しなやかな青竹と熟練の技の出会い
 作業所に一歩足を踏み入れると、青竹のすがすがしい香りがなんとも言えず鼻に心地よい。川元さんは、この道50年という大ベテラン。父も祖父も竹細工職人だったことから、自然と自分もこの道に進んだと言われる。おおよその仕事が一人できちんとできるようになるのに約5年、誰が見てもいい仕事ができるようになるには、さらに5年を要するという。なるほど、彼の手元をみつめるとその無骨な手からは想像できないほど、繊細に竹をあやつっていく。熟練の技とは、こういうことを言うのであろう。
 「うれしいのは、自分の気に入ったものができたとき。また遠方から愛用しているお客さんが見えられて、ほめていただけたときは格別だった。」竹を割っている作業中の真剣な表情とはうってかわって、笑顔で話す川元さん。逆につらいのは「真冬の寒い時期に、竹を洗う作業。冷たいではなく、痛い。実際、手が切れることもある。」ということだ。しかしそういうつらい作業を超えて、自分の納得のいくものができたときの喜びは、どんなに大きいことだろう。美しいカーブを描く、できあがった竹細工の数々。川元さんの手にかかると、竹は自在にあやつられているよう。しかし少しさわれば分かることだが、それは弾力も強く、ちょっとやそっとでは言うことをきかないがんこもの。この弾力の強い竹と、熟練した匠の技との幸せな出会い。これが勝山竹細工であろう。


 年月とともに艶の出る竹の魅力
 竹割りの作業では、4種類のなたや竹用のこなどの刃物を使う。またスケールなどの物差しは使わず、昔ながらの竹にしるしをつけたオリジナルなものを使用している。これは、勝山竹細工の仕事は寸法方式ではなく、肌で体得し、肌で教え伝える作業ということを端的に示すエピソードでもあり、興味深い。
 青々とした新品の竹細工製品も、その香りともども魅力であるが、年月がたち、茶色く色づいて、つやが出てくるとまた一層、愛着もわいてくる。これは厳選された良質の真竹ならでは。そこに職人の技と、使う人の愛情が加わり、勝山竹細工はさらにつややかさを帯びるのであろう。


 職人プロフィール

 川元武十

 この道50年のベテラン。竹細工の職人であり、勝山竹工協同組合の営業部長も兼任。

 こぼれ話

 暮らしに生かす竹の効用

 松竹梅と言われ、おめでたいものの代表でもある竹。それは冬の寒さに強く、雪にも折れることなく、常に青々として、3年ほどで成長する力強い生命力にあやかりたいと願う人々の心からきたものでしょう。そんな竹ですが、最近は竹のみならず、竹炭のパワーにまであやかっている人が急増中!竹炭とは、竹を900度以上で焼いて炭にしたもの。その様子を顕微鏡で見ると、縦横に細かい穴がびっしりあいているのがよくわかります。この穴の数はなんと、備長炭の2.5倍と言われています。お部屋の消臭・除湿に、ご飯を炊くときに入れればふっくらとミネラルたっぷりのおいしいご飯に。

*https://kougeihin.jp/craft/0628/ より


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