いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

<経産大臣指定伝統的工芸品> 愛媛 大洲和紙

2021-08-18 10:04:23 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「大洲和紙」

 Description / 特徴・産地

 大洲和紙とは?
 大洲和紙(おおずわし)とは、愛媛県大洲市内子町で作られている手漉き和紙です。大洲では、平安時代から和紙が作られていましたが、現在のような大洲和紙になったのは江戸時代中期のことでした。一時は存続が危ぶまれるほどに職人が減ってしまった大洲和紙も、現在では高級和紙としての地位を確立しています。
 大洲和紙の特徴は、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)・麻・竹・わら・トロロアオイを原料として作られているところです。書道半紙・障子紙・凧紙・色和紙など、様々な形で利用されていますが、特に有名なのは書道半紙です。大洲和紙は薄くて漉きムラが少ないため、高級で使いやすい書道半紙として重宝されるようになりました。
 3~4年たって枯れた状態の書道半紙は、さらに滑りが良くなり独特の味わいが表現できます。

 History / 歴史
 大洲和紙の起源は定かではありません。しかし、平安時代に書かれた延喜式(えんぎしき)という書物に登場していることから、その時代にはすでに作られていたと考えられます。紙漉重宝記(かみすきちょうほうき)によれば、歌人として有名な柿本人麻呂が岩見の国で紙漉きの技を起こしたところ、その技術が大洲に伝わったとのことです。
 現在の大洲和紙となったきっかけは元禄年間にありました。宗昌禅定門が技術を導入して大洲藩の産業として発展、日本一の和紙と呼ばれたこともあります。
 1910年(明治43年)には製紙工場が増設されて業者も430名にまで増えましたが、終戦時には74名に、現在ではさらに数が減ってしまいました。衰退の要因は、戦争の影響だけでなく機械化による影響も大いにありました。しかし、かたくなに手漉きにこだわった職人が技術を守り抜いたことで、現在にまで大洲和紙が受け継がれています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/ozuwashi/ より

 日本一の書道用紙、大洲和紙
 平安時代にはすでに生産されていたと言われる、大洲和紙。江戸時代には、大洲藩の保護奨励政策のもとでおおいに繁栄した。この日本有数の和紙の生産地、大洲では今も昔ながらの製法を守り続け、書道用紙をはじめ障子紙など質の高い和紙を供給し続けている。

 
 古い歴史を持つ大洲和紙
 その起源ははっきりとはしていないが、平安時代に京都に図書寮紙屋院が置かれ、公用紙を定めることになった。その際に上納した40数カ国の中に、ここ大洲も含まれていたことが「延喜式」といわれる書物に記録されている。史実としては、五十崎(いかざき)町の香林寺にある過去帳に、善之進という僧がこの地に来て、紙漉の師としてその技術を伝え、大洲の藩内作業として繁栄を極めていったと、記されている。


 昔ながらの材料と製法
 和紙の原材料となるのは、楮(こおぞ)、みつまた、雁皮(がんぴ)、麻、竹、わらなどの自然のもの。これに、トロロアオイという天然のノリを加える。これらが蒸煮、叩解、抄紙などの工程を経て、紙となっていく。そして大事なのが、水。水道水ではカルキが入っているので、地下水を汲み上げて使う。江戸時代と変わらぬ材料、手法で大洲和紙は作られる。
 製品はおもに、書道用半紙、障子紙、画仙紙、版画用紙、表装用紙、色和紙、たこ紙といったもの。ここで作成される紙のうち9割が書道用半紙と障子紙で、それらはほぼ半々の割合である。特に書道用紙は質量ともに、日本一を誇っている。


 健康の秘訣は仕事
 作業場に足を踏み入れると、女性ばかりがてきぱきと作業している。みなさん小柄な体で実に小気味よく紙を漉(す)いている。わきでじっとその動きを見ているとよくわかるが、この紙を漉くという作業、腕・足・腰と全身を使った運動である。小柄な彼女たちには、けっこうな力仕事のはず。
 伝統工芸士である、稲月さんはこの道43年というベテラン。だいたい一日で書道半紙の厚地なら300枚、仮名用の薄地なら350枚、障子用だと200枚を漉くという。「真冬でもこの薄手のポロシャツ1枚でやってるんですよ。」この華奢な体のどこにそんなパワーが隠されているのだろう。「娘時代からほとんど体型が変わらないから、昔の服がずっと着られる」と、屈託のない笑顔で答える稲月さん。どうもスリムな体型を維持し、健康でいられる秘訣はこの仕事にあるよう。


 謙虚な姿勢と努力が均一な紙を作る
 若い頃は出来高制なので、休憩をとるのも惜しいくらいに働き、自分ががんばった分だけ認められてとてもうれしかったということだ。今は歳もとってきたし、お茶の時間もとってのんきにやっているそう。みなさん、娘時代から見知っているからだろう、お互いを「ちゃん」づけで呼び合って、とてもなごやかな雰囲気で働いておられる。「その日の体調や気分が、紙の出来に影響する」ということ。だから健康でいること、心にも余裕があることを常に心がけているという。さすが、プロフェッショナル。
 遠方から稲月さんの作った紙のファンの方がみえられて、サインを求められたこともあるそう。「今でも一人前とは思っていない」と、話される稲月さん。そういう謙虚な姿勢が、40年以上もたゆまぬ努力を続けてこられた源泉なのだろう。
 紙にも作った人の個性が出る。ノリを入れる割合、タイミングなどは特に決まっておらず、個人に任せているという。もっとも苦労するのは、同じ厚さの紙を作ること。すべてが職人の経験と勘で行われるだけに、これは大変な作業である。それだけに「自分の漉いた紙の目方があったときのうれしさは、格別」ということだ。

 自信に裏打ちされた笑顔
 隣の部屋では、この漉いた紙を乾燥させる作業をされている。漉く人と乾燥させる人の連携作業がうまくいくことが、良い紙ができる重要なポイントである。三角柱を横にした大きなステンレス板の中には蒸気が通っていて、部屋の中は暖かい。この乾燥機にまだほんのりと湿った紙を専用の刷毛で広げて貼っていき、鉄板を回しては前の分をはがし、また貼っていくという作業のくり返しであり、こちらもけっこうな運動量である。紙を勢いよくはがす大胆さと、しわが寄らないように微妙な力加減で刷毛を動かす繊細さのふたつが必要だ。
 こうやって見ていると、どちらの作業工程にも女性の感性が生かされていることがわかる。「家族の協力があったから続けてこられた。体力の続く限り、やりたい」と話される稲月さん。その笑顔は、長くひとつの技術を磨いてきた確かな自信となって、まぶしいようだ。


 職人プロフィール

 稲月千鶴子

 この道43年のベテランだが、きびきびと働く姿はほんとうにお若い。


 こぼれ話

 こぼれ話タイちぎり絵、絵手紙・・・広がる和紙の魅力

 ふすま、障子、屏風、掛け軸、行灯・・・かつて日本の住まいは、和紙で満たされていました。実用性の中にも簡素な美を追究してきた私たちの祖先のグッドセンスを、もっと現代の生活にも生かしていきたいもの。手すきの和紙は、手にも目にも優しく、ホッとする安らぎや懐かしさを与えてくれます。
 そんな和紙の長所が生かされた、ちぎり絵や絵手紙が今、静かなブームです。どちらも材料費もそんなにかからず、気軽に始めることができるのが魅力です。ちぎり絵は、ちぎる、剥ぐ、貼るをくり返し、紙を重ねることで淡い色調から、深い色合いまで自由に表現できます。流れるような曲線も和紙ならでは。
 絵手紙は、ハガキという小さなキャンバスに、あふれる創作意欲をギュッと凝縮。絵手紙の基本は「ヘタでいい、ヘタがいい」。絵は苦手と思っている方こそ、始めるとその魅力にはまるそうです。なによりも心を込めて描いたものを人に送って、また喜んでもらえるのがいいですね。

*https://kougeihin.jp/craft/0908/ より


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <慣用句・諺> 足を引っ張... | トップ | <伝統野菜> 山形 黒五葉 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済産業大臣指定伝統的工芸品」カテゴリの最新記事