「千枚漬」
主な伝承地域 京都市
主な使用食材 聖護院かぶ
歴史・由来・関連行事
「千枚漬け」は、薄切りにした聖護院かぶを塩漬けにした漬物。「すぐき漬け」「しば漬け」と並ぶ“京都三大漬物”の一つである。従来の漬物と異なり、長期保存を目的としておらず、繊細に漬け上げる。
江戸時代、御所の料理人である大藤藤三郎が考案したものとされる。のちに大藤藤三郎は漬物商に転身し、「千枚漬け」を販売。たちまち評判となり、明治23年(1890年)に京都で開かれた全国博覧会では、全国名物番付けに入選するまでになった。
使うかぶは、京の伝統野菜「聖護院かぶ」である。このかぶは、享保年間に滋賀県大津市で栽培されていた近江かぶの種子を左京区聖護院の農家が持ち帰って、栽培をはじめたのが発祥とされている。大きなもので4kgから5kgほどになる国内最大のかぶで、柔らかく上品な味わい。「千枚漬け」が一般的に知れ渡るようになると、栽培が盛んになっていった。聖護院かぶの名産地になっている亀岡市篠町では、戦後間もなく生産がはじまった。京都で生産されている「千枚漬け」のほとんどが、この地域でとれたかぶである。京都で古くから食べられてきた伝統的な野菜として「京の伝統野菜」にも認証されている。
京都府では、伝統的な原材料と技術技法などにより製造された伝統食品を「京もの伝統食品」として指定しており、そのうちの一品として「千枚漬け」も含まれている。
食習の機会や時季
聖護院かぶの出荷時期にあたる11月ごろからつくられる。この時期、仕込み作業を公開する老舗の漬物業者では大きな樽を用いて、大量につくられ、その光景が冬の京都の風物詩となっている。聖護院かぶの収穫時期には、家庭でもつくられている。
飲食方法
聖護院かぶを薄く切って、昆布、唐辛子とともに酢漬けにする。従来の漬物と異なり、長期保存を目的としておらず乳酸発酵もさせない。もとは、塩漬けして乳酸発酵させた漬物だったという。
そのまま食べたりするほか、からすみやスモークサーモンをはさんだアレンジレシピなども存在する。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
京都に数ある漬物専門店では、シーズンになると必ず店頭に並ぶ。
産地である亀岡市篠町では、生産者と直売所が協力して「千枚漬け」づくり体験をおこない、聖護院かぶの美味しさの普及啓発をおこなっている。
「京もの伝統食品」にも指定されているため、府や生産者組合が普及啓発に取り組んでいる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/semmaizuke_kyoto.html より
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