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<経産大臣指定伝統的工芸品> 大分 別府竹細工

2021-08-23 11:31:14 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「別府竹細工」

 Description / 特徴・産地

 別府竹細工とは?
 別府竹細工(べっぷたけざいく)は、大分県別府市を中心に県内から産出されたマダケを主材料として作られている竹製品です。
 別府竹細工の特徴は、竹ひごを編み上げる「編組」という技法で、全て手作業で作られていることです。四つ目編み・六つ目編み・八つ目編み・網代編み・ござ目編み・松葉編み・菊底編み・輪弧編みの8つの編組を基本とし、編組の組み合わせ次第では200通り以上の編み方が可能と言われています。この8つの基本的な編組は、大分県で唯一、経済産業省より日本の伝統的工芸品として指定されています。
 花籠、飯籠、盛り籠といった昔ながらの日用品に加え、籠バッグやバスケットなど現代風にアレンジされた製品も人気があります。また、美術工芸品として利用されることもあり、別府市内にある旅館の内装に竹編みの技法を施されたことが昨今話題となりました。
 優れた技術による美しい竹細工は、日本だけでなく海外にも多くのファンを持つ工芸品として多くの方に認知されています。

 History / 歴史
 奈良時代の「日本書記」に、景行天皇(けいこうてんのう)が九州南部の熊襲征伐の帰りに立ち寄った別府にて、台所方が良質なシノダケから茶碗籠を作ったことが別府竹細工のはじまりであると言われています。
 室町時代には、行商(商品を持ち歩いて販売する小売商人)用の籠が生産され、別府の竹細工市場が確立していきました。
 別府が日本一の温泉地として知れ渡った江戸時代に入ると、各地から訪れた湯治客の飯籠(炊いた米を入れる籠)などの生活用品に土産物にと人気を博するようになり、竹細工市場はますます活性化して地場産業としても定着します。
 1902年(明治35年)に、別府工業徒弟学校竹籃科が創立されると別府竹細工は単に土産物というだけでなく、優れた技術を要した工芸品へと成長していきました。1967年(昭和42年)には生野祥雲斎が竹工芸初の人間国宝となり、高度な技術の伝承は守られ続けていきました。
 1979年(昭和54年)、通産省(現在の経済産業省)から日本の伝統的工芸品に指定され、現在に至るまで工芸品としてだけでなく芸術作品としても別府竹細工が広く親しまれています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/bepputakezaiku/ より

 湯治客の土産物から美術工芸品へ
 全国的に有名な別府温泉。湯治客のお土産だった竹細工が、やがて文化人など目の肥えた人たちによって美術工芸品にまで高められていった。若い職人たちの育成にもいち早く取組み、別府竹細工の技術は大きく進歩した。

 
 温泉とともに発展した別府竹細工
 日本有数の温泉地として名高い別府。ここ別府に伝わる竹細工も温泉と同様に歴史のあるもので、日本書紀にもその記述が残っているほどだ。温泉観光というものが発展してきた明治になると、お土産ものとして別府竹細工は湯治客たちの人気を集め、その湯治客が持ち帰ったものがまた人気を呼び、全国にその評判は広まっていった。それまで農家の副業として細々と営まれていたものが、専従業者も登場して別府は竹細工の一大産地として発展していったのである。


 優秀な職人を育てる学校の設立
 温泉地として発展してくると、別府には実業家や文化人たちが別荘を持ち、訪れるようになってきた。こういった人たちから土産物としてだけでなく、美術工芸品としての竹細工が次第に求められるようになっていった。そこで明治35年に、別府町浜脇町学校組合立工業徒弟学校が設立され、職人をめざす若者たちにも高度な技術の習得が可能となった。他県からも多くの技術者が移住してきた。
 こうして、明治・大正・昭和と別府温泉の隆盛とともに、竹細工も黄金期を迎えた。職人たちは切磋琢磨し、技術を競い合い、優れた細工師が輩出された。現在も別府には、日本で唯一の竹工芸の専門技術を学べる高等技術専門学校がある。


 ダイナミックな「ヤタラ編み」
 伝統工芸士、油布昌孝(ゆふまさたか)さんは昭和16年(1941年)にここ別府市に生まれた。お父様がやはり竹細工職人だったことから、中学生くらいから自然と見よう見まねに手伝っていたということだ。油布さんの得意なのは「ヤタラ編み」という編み方。ダイナミックで荒く、勇ましい編み方である。お父様もこのヤタラ編み専門だったそう。このヤタラ編みを使った花器を見せていただく。その迫力、力強いエネルギーにただただ圧倒される。こういう個性の強い作品は、欧米でインテリアとしてとても人気が高いそう。


 女性にも似た、竹の魅力
 「そのときの気持ちが作品に反映されるから、作ろうと思ったときの気持ちを大事にしている。」お不動様、滝、海・・・彼の作品に影響を与えるイメージはそういったものから。油布さんはまた、華道や詩吟を愛好する趣味人でもある。「花と自分の作った花器のイメージがピッタリ合ったときは、最高の気分。逆に花を生けてみて、花が負けるようじゃダメ」花への愛情にも並々ならないものを感じる。竹というまっすぐの自然の素材に、人の手をかけ、編み、曲げ、まったく別の曲線的な美しいものが作られる。そこにまた自然そのものの、花を生ける。そこから生まれるハーモニーの妙なること。
 「竹の魅力は、弾力性。それはまるで女性のようで、バネのような強さがある反面、しなやかで、弱いところも見せてくれる。」そう語りながら、油布さんの手からは、あれよあれよという間に、手鞠のようなかわいらしい籠ができあがってくる。そのみごとな手の動きには、ほうっとため息さえこぼれてしまう。


 使う人の愛着で一層の艶
 「次々と注文がきて、忙しいくらいの方が充実していて、いいものができる。」そう語る油布さんは、最近お友達に誘われてゴルフを始められたそう。その他にも、碁や将棋も楽しまれるということだが、「なんでも5番以内になろうとがんばるから、あんまりリフレッシュにはなってないね。」その勤勉さが、次々と精力的に新しい作品を作り出していく源泉となっているのであろう。
 別府竹細工には、長い歴史と職人たちの確かな技術から生まれる信頼性と、本物だけが持ちうる独特の味わいがある。そこには作った職人たちの日々の努力はもちろんだが、それを手に入れた人の愛着によって一層、いい艶を帯びてくるはずだ。


 職人プロフィール

 油布昌孝

 昭和16年(1941年)に別府に生まれる。昭和63年卓越技能士として別府市長表彰を受ける。

*https://kougeihin.jp/craft/0630/ より


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