ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

共産党と宮本委員長 - 5 ( 宮本氏、毛沢東を酷評 )

2022-08-25 23:04:20 | 徒然の記

 1966(昭和41 ) 年帰国した宮本氏は、4月27日と4月28日に第四回中央委員会を招集しました。その席上で、氏が述べた言葉がありますので紹介します。

 「毛沢東は、老衰して頭がぼけてしまっている。」

 「そのうえ思いあがって、党内でも孤立している。」

 毛沢東との会談内容は書かれていませんが、中国の独裁者毛沢東は宮本氏に向かい、きっと言いたいことを喋ったのでしょう。小国とはいえ氏も日本共産党の独裁者ですから、帰国と同時に我慢の糸が切れたのだと思います。それ以後氏は、さらに明確な反中路線に転換したと言います。以下文章をやめ、項目で紹介します。

  ・毛沢東一派の「極左冒険主義」への批判が、『しんぶん赤旗』紙上に載るようになった。

  ・昭和41年から昭和42年にかけて、西澤隆二ら中国派の中堅幹部30数名が除名された

  ・中国共産党は宮本を「修正主義者」と認定し、日本共産党を「宮本修正主義集団」と批判するようになった

 先に自分に逆らったソ連派を追放し、今度は中国派の党員を除名し、宮本委員長の独裁ぶりが遺憾無く発揮されています。こうした情報を読みますと、平成22年5月13日の新聞『あかはた』の記事を、いちがいに「大うそ」と言えなくなります。

 「もともと共産主義=科学的社会主義とは、自国の民族のことを他国に干渉されずに自分たちで決めるという、〈民族自決権〉を大事にする立場です。」

 大国ソ連と中国の干渉を撥ねつけ、日本共産党の委員長として〈民族自決権〉を通していることになります。自民党政府はおろか、反日左翼のマスコミや学者でさえ中国には気を使い、一つの批判もしません。まして毛沢東は、不可触の扱いです。これほど遠慮なく毛沢東を酷評した日本人を、私は氏以外に知りません。

 超大国のソ連と中国が大東亜戦争の敗戦国である日本共産党に、どうしてここまで干渉するのか。親ソか親中かと、なぜ関心を持つのか。どうでもよい弱小国の共産党なら、高みの見物をしていれば良いのに、ソ連と中国が自分の側につけようと画策するには、それだけの理由があります。

 「それは、宮本委員長の率いる日本共産党の存在が大きいからだ。」

 共産党員ならこのように答えると思いますが、私は別の考えをしています。息子たちのためにもなるので、昭和41年の日本の政治・経済情勢をネットで調べました。自民党の佐藤栄作氏が第一次佐藤内閣を組閣し、1月早々椎名悦三郎氏が外相として初のソ連訪問をしています。以下主な出来事を、抜書きで紹介します。

  ・3月25日 明治100年記念事業を、国家規模で行うと政府決定。

  ・5月28日 椎名外相インドネシア副首相と、3000万ドルの緊急援助供与を共同声明

  ・以降1970年代を通じ、インドネシアは日本最大の被援助国

  ・5月30日 米原子力潜水艦、横須賀に初入港。

  ・6月25日     国民の休日として「敬老の日」「体育の日」「建国記念日」を新設

  ・7月  4日 新東京国際空港建設予定地を成田市三里塚に閣議決定

  ・9月  7日 石川島播磨重工業  巨大タンカー出光丸 (20万9千トン) の進水式

  ・この年国債発行による好景気。自動車生産高世界3位になる。

  ・法務省が、日本の総人口が1億人を突破したと発表。

 「もはや戦後ではない」と、10年前の昭和31年に経済企画庁の「経済白書」が書き、流行語になりました。大東亜戦争で焦土となった国を連合国軍に占領され、敗戦の痛手を負いながら日本は蘇り、経済大国への道を進んでいました。自国を守る軍はGHQの作った「憲法」で持てなくされても、経済という武器で世界市場を席巻し日本の力を見せ始めていました。

 宮本氏の率いる共産党は、日本の国際的地位が大きくなるにつれ、ソ連も中国も無視できなくなったと、これが私の見方です。他国の指導者が驚く日本の復興は、「20世紀の奇跡」とも言われ、称賛と受け止めるお人好しもいますが、実際には日本への警戒心の現れだと考えます。完膚なきまでに打ちのめされ、焼け野原となった貧困状態から、10年足らずで復興したのですから他国は真似ができません。

 捕虜となりシベリアの炭鉱で働かされていた父が、復員してきた時のこと、ソ連国境近くのハイラルから、幼い私を背負って懸命に引き上げてきた母のことなど、私は忘れていません。両親だけでなく、着の身着のままで多くの日本人が、満州、朝鮮から引き揚げてきました。日本を復興させたのは、宮本氏の共産党でも、自民党の政府でもありません。

 名前も知られない多くの国民が、寝る間も惜しんで働いたから奇跡の復興ができました。侵略したアジアに何も返していないと、広島原爆忌の式典を妨害する反日過激派の愚か者が言っていましたが、日本はアジアの国々に対し経済復興の巨額援助をしています。今は敵対国となった中国は、おそらく最大の受益者のはずです。資金は全て国民が働いて納めた税金で、汗と涙の結晶のお金です。

 国力を回復した日本となっていたため、毛沢東への酷評もソ連の干渉の拒絶もできたのですが、こういう歴史的事実になりますと、宮本氏もやはり反日左翼共産党の委員長ですから、率直に語りません。今もそうですが、共産党の主張は「東京裁判史観」そのままの「日本国家悪人説」で、汗水垂らして苦労した国民を無視しています。 

 国を大切にしている国民を無視している党が、国民に支持されるはずがありません。共産党にとって氏は大きな指導者だったのかもしれませんが、国民にとっては無縁な人物です。息子たちにもその理由がわかったと思いますので、そろそろこのシリーズを終わりにしようかと考えます。

 宮本氏の跡を継いだ不破、村上、志位委員長までを概要だけでも説明したいと思っています。

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