母方の実家で、祖母は、前日挨拶した時は、ピンとこないようだったが、
翌日の朝、改めて挨拶するとしっかりわかってくれて、
あら、直樹かい。 と言って、びっくりし うれしそうに手を強く握ってくれた。
農家の嫁として大変だった事はその手を触ればよくわかる。
大きくて、ごつい手、 おばちゃんの手は男のようだろう。 そう言っていた。
その後、茶の間で朝食をとるのだが、中々手を付けないでいた。
どうしたのか聞くと、 うれしくて胸が一杯で食欲が出ないと言っていた。
幼少時は本当にお世話になった。 覚えていてくれてうれしい。
祖母も昔の話をして、やんちゃであばちゃんによく怒られてたのを覚えているかと聞いてきた。
孫、曾孫がたくさんいてにぎやかでうれしいよ。
ケアサービスを受けに行くとみんな、孫の事を悪く言うがおばちゃんにはわからないよ。 うちはみんな良い孫に育ってくれて本当に幸せだよ。
子供の時で、自分が忘れているような話もされた。
色々な事があったが、今は本当に一瞬のように感じるよ。
夢でも見ていたのかななどと思うようだよ。
しばらく昔話をした。
昨日の行動が思い出せなくて考えていたり、
今日はデイサービスが無いのに着替える準備をしたり、少しは衰えているが、おばちゃんは、そのまま。
明るい前向きな考え方で、 会話の後には必ず笑う。
仕方が無いんだよと、受け入れるおおらかさ。
こうしてお世話してもらってありがたい、 みんな幸せに育ってくれてありがたいという感謝気持ち。
激動の100年を生き抜いてきた円熟感は、さすがだった。
話が出来て本当によかった。 少しぼけているお陰で本音が出ている様で、 それが真っ直ぐで、こちらまで暖かい気持ちになる。
帰り際、別れる時は、コタツに入ってずっとこちらを見ていた。
ガラス戸を閉めるときは視線が切なかった。
「 おばあちゃん、本当に子供の頃からお世話になってどうもありがとう。
感謝してるよ。
また、会えるように、いつまでも元気でいて頂戴ね。」
帰りの車の中で、はっきりこう言って来ればよかったと感じたが、時遅し。
次回には、必ず。