アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

一貫5000円の寿司

2017年01月08日 | Weblog
 ニュースで何度も扱っていましたが、築地市場の初競りで、212キログラムの大間産クロマグロが、7420万円で競り落とされた。最高値かって?ニュースによると、記録のある1999年以降、2013年の1億5540万円に次いで2番目の高値なのだそう。だけどさあ、マグロ一匹が、1億5540万円は…。まあ、私がお金を出すわけじゃないから、好きにしたらいいけどね。今年のマグロは、1キログラム当たりにすると、35万円。2013年のは、70万円ですから、ちょうど2倍。勝手にしやがれ。

 これまでがマクラで、豊洲移転のことを書きたいんだろうって? まあ、そうなんですがね。田山花袋のエッセイに、「日本橋付近」というのがあります。東京日日新聞に、15回連載されたのですが、その第一話のまん中あたりに…

 それにしても魚河岸の移転がどんなにこのあたりを荒凉たるものにしてしまったろう。それは或はその荒凉という二字は、今でも賑かであるそのあたりを形容するのに余り相応しくないというのもあるかも知れないが、しかもそこにはもはやその昔の空気がうずを巻いていないことだけは確かであった。

 まだまだ惹きつけられる文章が続きますがね。田山花袋、凄いわ。真面目に読んだのは、お約束の、「蒲団」「田舎教師」ぐらいですがね。エッセイのほうがおもしろくて結構斜め読みしました。自然主義派として有名ですが、エッセイ(紀行文、随筆)にも心に響くモノがあります。
 「日本橋付近」の魚河岸は、江戸初期にできたもの。300年続き、大正12年の関東大震災で焼失した。それで、今の築地市場へ移転したわけ。ですから築地市場も、94年間続いた計算になります。

 田山花袋が生きていたら、「築地から豊洲へ」をどう書きますかねえ。
 「それにしても築地から豊洲への移転が、どんなに市場関係者の心を荒凉たるものにしてしまったろう。それは或はその荒凉という二字は(中略)豊洲にはもはや築地にあった空気がうずを巻いていないことだけは確かであった。」

 こう書かれないように、築地の心と空気をしっかりと豊洲へ移転してほしい。
 それにしても、築地市場の食堂で食べた穴子の天ぷら、旨かったなあ!あの食堂街も豊洲の場外市場へ移転するかなあ?

 で、今年の7420万円のまぐろ、誰が計算したか知らないけど、通常のにぎり寿司に換算すると「一貫5000円」なんだってぇ!・・・なんも言えねえ。