アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

差別問題に、どっちもどっちはぁ…ないっ!

2017年01月15日 | Weblog
カミサンが、ベス(ジム仲間)に頼まれて、「ケーキ作りのにわか(俄)講習会」を開催しました。参加者は、講師を含めて2人だけでしたけどね。ベスは、知的障害者施設勤務。利用者さんの相談から給食から…なんでもしている。
 「大丈夫かぁ?」と、声をかけたくなるようなぁ…信じられないほど真面目すぎる人。66歳になっても、「ケーキ作りを習いたい」という向学心に燃えていることからも、尋常な人ではないことがうかがえる。人種ですか?エリザベスが本名で、通称ベス。名字は、四反田(したんだ:もちろん仮名です)。日本国籍でしょうから、日本人であることは分かる。だけど、「ベスさんは、人種的には、なに人ですか?」と聞けませんよ。人種差別的な質問と思われてしまいます。私たちが差別をしないことを知っているから、時々来てくれるわけで。

 さて、できあがったケーキの試食、私も御相伴にあずかった。コーヒーは、高島屋さん(新宿)のものを淹れました。旨いのかって?私には、味など分かりません。口に入るもの全てが、旨いし、美味しい!私の知覚、味覚はまだあるが、嗅覚は殆どない。これが、老化ってことか?

 試食中の話題は、当然ながらベスの勤務先である「知的障害者施設のこと」。ベスから出てきた言葉は、「私は、知的障害者は・・・」。これには、少々驚きました。
 今、障害者への差別や虐待が問題になっていますから、言葉には十分注意している様子ですが…きれい事を並べていられないということ…。気を許して本音を吐いた。日常的に、障害者と接している人の言葉…あらためて、「障害を持つ人と差別」について考えさせられました。

 もちろん、ベスは、バカを冠してもいい真面目な人で、障害者を「差別」するような人ではない。その点で、問題はないのですが、「障害者に対する本音」の部分に、世の中にある障害者に対する「差別」の根本的な問題を感じましたね。

 昨秋、ヘリパッドの大阪府警の警察官の、「どこつかんどるんじゃ、ぼけ、土人が」の問題。映像で見る限り、明らかに、「侮蔑の意味」で発したもの。ところが、大阪府知事の松井一郎さんは、「相手もむちゃくちゃ言っているんだから、どっちもどっち」と、警察官を擁護しています。これ、ダメですよ!
 このように、「土人」で、賛否が別れる。学者さんまで登場して、「土着の人」「土地の人」…短くして、「土人」、いいじゃないですか!と、なってしまう。ダメだってば!
 差別発言だったのに、どっちもどっち論で、曖昧模糊に。あれから半年も経たない今、世論も「土人」を問題にしなくなっている。しょうがないけどね。

 土人問題と同じ頃・・・「日本人の乗客の皆さまにおわびします。本日は多数の外人(外国人ではなく、外人とアナウンス)のお客さまにお乗りいただいており、大変ご迷惑をおかけしております」という、南海電鉄の車掌のアナウンスが話題になりました。
 「外国人が乗っていたから、日本人の乗客さんがたゴメンナサイ」ってことのように受け止められます。外国人が乗っちゃあ悪いのか?
 南海電鉄は、「差別の意図はない」と釈明していました。外国人客に「邪魔だ」と罵声を浴びせる乗客がいたため、トラブルを避けようとしたのだと。それなら、 「日本人の乗客の皆様、外国人に邪魔だと言わないでください」と、アナウンスすべきでしょうがぁ!ボケてる場合じゃないだろうって?そうなんですけどね…。
 確かに、かの国からの観光客は、「気になる言動」をとるかも知れません。そのため、「どっちもどっち論」となり、曖昧模糊となる。これが悪いってばっ!

 「どっちもどっち論」では、「いじめられる側にも責任がある」ってことになるわけです。いじめられる側には、なんの責任もない。このことが基礎基本になってさえおれば、「どっちもどっち」は出てこないはず。

 ベスは、「表面的にも内心も、障害者への差別はしない。差別はしないが、内心には忸怩たるものがある」と、いうことのよう。
 世の中にある唯一の自由は、「内心の自由」ですから、ベスには何の問題もない。
 障害者でも、外国人でも、高齢者でも…差別問題にかかわって重要なのことは、「どっちもどっち論」にしないということでしょう。
 かといって、「難しい問題」で、片付けてしまうと、また曖昧模糊。

 ベスは、試食の残り半分のチョコレートケーキと、カミサンが焼いておいたチーズケーキを大事そうに持って帰って行きました。一緒に暮らす老母に食べさせるのだと。