堪能しました。
阪田知樹さんのリサイタル。
サントリーホールでのリサイタルは
今回初めてなのだそうです。
意外です。
デビュー10年目の
サントリーホール リサイタルデビュー!
プログラムは
ベートーヴェン:月光
シューマン:幻想曲
* * *
リスト:ソナタ
リスト:リゴレットパラフレーズ
ステージ後ろの席の一番前、
しかも3席だけ前に出ている所で聴きました。
鍵盤側だったので、
腕の使い方やペダル、全て見えました。
この席、なかなか良いです。
おこがましいですが、
ステージで弾くとこんな感じで聞こえているのかな
と、別の楽しみ方があるな、と。
阪田さんの音が、私には思いっきり好みなので、
全てに満足!
スケールの大きさ、深い音、重量感のある音。
限りなく美しい弱音。
音楽も、もちろん素晴らしい‼
歌心があって、果敢。
今回初めて、あら?実際に大きい人なのねと、
背が高いことが分かりました。
リストソナタは、川崎でも7月に聴きましたが、
その時よりさらに良かったです。
リゴレットパラフレーズは、生では初めて聴きました。
この曲の存在をよく分かっていらして、
洒落ていて、理屈抜きで楽しめ、
こんなにさりげなく、スマートに演奏されるとは
もう脱帽です。
私は、シューマンをとても楽しみにしていました。
この曲を作ったシューマンと阪田さんが
今、同じ位の年齢。
情熱と若さがほとばしっていました。
聴いていて、
この曲はスケールが大きい人じゃないと
弾けないんだな、と今頃思いました・・
何十年経っても、この曲の第2楽章の魅力が分からず
手に余っている身の私ですが、
阪田さんの演奏を聴いて、
初めて、「あれ?面白い・・」と思いました。
情熱が必要なのだな、と・・。
今頃・・
実は、ハプニングがありました。
リストのソナタを10分くらい弾いたところで
弦が切れる音が・・
ありゃ・・
少し弾いて、阪田さん演奏をやめました。
あと半分以上残っています。
結局、一旦袖に引っ込まれて
調律師さん登場。
昔、アシュケナージがラフマニノフ3番か
ブラームス1番コンチェルトの時に
やはり弦が切れたことがありました。
第1楽章の終わりで切れたので、
そのまま楽章の終わりまで演奏して
袖に全員引っ込みました。
調律師さんが登場し、
その時は弦を張り替えました。
今回は、切れた弦だけ取り除いたと思います。
どこから弾き直すのだろうと思っておりましたら、
やめた少し前から。
切れたところが目立たないように
付近の音と調整して演奏されていて、
いつもと違う状況で構成されたと思いますが、
音楽に全く遜色はなかったです。
大いに、この曲を満喫しました。
ツィメルマン以来の満足感でした!
これがあったので、
最後のリゴレットパラフレーズは
聴いたことのないものを弾き始められて、
「あら?曲、変えたの?」
と、思っておりましたら、そのままリゴレットパラフレーズへ。
「お~、ピアノの調子やお客様の空気とか、考えられたのかな?」
と、思いました。
ソナタを途中から演奏されても
会場の集中力は全く途切れておりませんでした。
川崎でも感じましたが、
阪田さんのお客様は皆さんお行儀が良いです。
彼の演奏が聴きたくて来場している人たちです。
そして、思いの外、年齢層が高い・・
アンコールは
献呈と阪田さん編曲のバッハ。
バッハは聞いたことがない曲で、
誰の曲だろう、バッハだとは思うけど・・
アルビノーニだったりして・・
ん~、でもバッハだな。オルガン曲っぽい・・
オルガン曲だな。つながりは何だ?おっ、ここはサントリーホールだ。
阪田さんの編曲かな?
と、魅力的な演奏と曲を聴きながら
「これ、弾きたい」とかも思いながら
何の曲かわからぬまま、帰途につきました。
阪田さんのfbに、早速アンコール曲が投稿されていました。
J.S.Bach Adagio BWV564
調べましたら、オルガン曲でした。
リストもバッハのオルガン曲をたくさん編曲しています。
阪田さんがリストに見えてきました・・
* * * * * *
いただいたチラシに、なんと
カントロフが!!!
来日しないと思っていました。
チケット、速攻で買いました!
* * * * * *
追記
後日、阪田さんのお話によると、
リゴレットの前の即興は、昔のコンサートではプレリュ―ディングという即興演奏で曲をつなぐ習慣があったと。
それをやってみたいと思っていたと。
モチーフは、リゴレットの「女心の歌」
(ところどころ、聞き覚えがあると思いながら、なんだ?気のせいか?と思っておりました)
アンコールのバッハは、
コロナ自粛中に演奏会が全てなくなり、今後どうなってしまうんだろうと思った。その時にバッハを聴いて、オルガン曲を編曲してみようと思った。コロナ禍で思ったことを共有できたらという想いだったと。
そして、原曲の調性のa-mollをcis-mollに変えて編曲している。プログラムの最初に弾いた月光がcis-mollなので、同じ調性で終わることで、円のようなプログラムにしたと。
(深い意図があったのですね。流石です。本当に聴き入ってしまう演奏で、祈りのように聞こえました)