前回、不思議な音の国 上巻に1年以上かかると”音が汚くなる”と書きました。
基礎をしっかりと身に付けてほしいので長い時間がかかっても良いのでは?と思ってしまいますが、これまでの経験ではそう上手くはいかないことがわかりました。
なぜでしょう。
それは、レッスンでしたことを”おさらい”せずに放置したままレッスンに来るので、正しい奏法が身に付かないからです。
腕を使い重さをのせる方法が正しく記憶できず、「なんか、こんなこと言ってたな」という正しくない記憶でピアノを弾く習慣がついてしまうからです。
これは実は、家におもちゃのピアノしかない生徒さんも腕や手首が下がりすぎ、汚い音になる傾向があります。
実際に、最近上巻を終えた生徒さんがそうです。
以前にも、上巻の終わり2~3曲まで家に楽器がなかった生徒さんがいましたが同じでした。
こうなると電子ピアノでも構わないので、ピアノが弾けるようになりたいと思ってレッスンを始めたのなら、ピアノと同じサイズのものは絶対に必要と言えます。
このようなご家庭によく言われるのが、「キーボードでもいいですか?」
これでしたら楽器がない方がまだ良い、と私は言っています。
キーボードはバネを押すだけの楽器です。重さもタッチも何も身に付けられません。
さすがに、ぬかに釘、豆腐にかすがい状態のレッスンをする気力は私にはありません。
どんなに気力を振り絞ってレッスンを繰り返したところで、全く報われず同じことの繰り返しを根気強くし続けるのは、生徒さんも辛くなります。
いつも思うのは、ピアノは楽器を購入することを念頭に習い始めてほしいということ。
昔は、子供の頃に習いたかったけれど習わせてもらえなかった、という方が少なくありませんでした。
大人になり、経済力が付いたところで自分の力で楽器を習うという方がわりといらっしゃいました。
いつまで続くかわからないからと子供に習わせ始めるのでしたら、習う前に家族で音楽を聴きに行くとか、習う前にできることがあるはずです。本当に音楽が好きなようだと思ったら、全力で応援して頂きたいと思います。
楽器を用意する気がないのに子供にピアノを習わせると、お子さんが苦しむことを頭に入れておいて頂きたいです。厳しく聞こえるかもしれませんが・・