発表会から2カ月が経ち、その時に弾いた曲を今も時々弾いているという生徒さんの演奏を録画してみました。
偉いものです。
弾いたらお終いではなく、忘れないように弾き続けてくれているとは。
こちらの生徒さんは、小学1年生になる頃に他の先生から引き継ぎました。
引き継いだ時には既に手がガチガチで、手を持って一緒に弾いても全く力が抜けませんでした。
「不思議な音の国 下巻」が終わっても変わらず、無理かもしれないと思うようになりました。
本人もできないので時々泣いていましたし、気の毒に思い私も力みのことはあまり言わなくなりました。指で押し付けて弾く音が気になって仕方ありませんでしたが・・
ただ、お母様が「この子はピアノに向いていないようだけど、好きなようなので続けさせる」と仰いました。
小学5年生になりました。
ここまで力みが取れるとは想像しておりませんでした。身体の余計な動きが気になる時はありますが、指も腕も固まっていた頃と比べたら別人です。
習う本人がピアノが弾けるようになりたいと思い、ご家族がそれを静かに応援する気持ちがあれば、困難に思えたことでも乗り越えていけると、こちらの生徒さんを見ていると思います。
2曲のダイジェストです。
こちらの生徒さんはご両親とも中国の方です。
つい昨日も、他の楽器店をやめて移られてきた新しい生徒さんのお母様が中国の方なのですが、辞めた理由をお話して下さいました。
弾き方に関して何も教えてくれない。本を使わずアニメの曲をコピーの楽譜で弾いているだけだ。綺麗な音でピアノが弾けるように本をちゃんと使ってほしい、と頼んだけれどそうしてくれなかった。趣味でも美しい音でピアノが弾けるようになってほしい。音楽のことも勉強させてほしい、と。
生徒さんの演奏を聴かせて頂きましたが、弾けないのでそうしているという演奏ではありませんでした。
アニメの曲は年に2曲くらいしか弾けないかもしれないけれど、それでも良いか本人に確かめましたら、それで良いということでした。
私は中国の親御さんの方が常識が通じると感じることがよくあります。
以前は、結構勝手に会則を無視される方が多かったのですが、現在はそのようなことは全くと言って良いほどありません。
そして、趣味の習い事でも学ぼうとされています。
お飾りでピアノを習ったことがあります、で終わらせるつもりで習っていらっしゃらないと感じます。残るものがほしいと。
それが本来の姿だろうと思います。
講師としては望むものには応えたいと思います。
中国の方とは逆パターンの場合は、どこまで合わせられるかですが、それは私が考えている最低ラインがあるので、そこを越えるものは受け入れられなくなります。
芸術は習った本人だけではなく、次の世代に必ず受け継がれます。
どんなに汚い音だろうが鳴らない音だろうが、両手で知っている曲が弾ければピアノが弾ける、ではないと思います。
間違った認識が常識になることを続けていてはいけないのです。
守るべきものは守る責任がある、と思います。