消しゴムのついた鉛筆。
イリーナ先生の教本を使っていらっしゃる先生は、この消しゴム部分をレッスンで使われていると思います。
ロシアンメソッドといわれているもので教えていらっしゃる先生は、おそらく一度は使ったことがあると思います。
なぜなら、このメソッドの生みの親ともいえるアルタバレフスカヤの作ったピアノ導入教本にその写真があるからです。
少し前に見直したピアセツキー先生のレッスンでは、この鉛筆を使う時に、生徒さんの指の下から軽くあてるだけにしていました。
そして、指の3つの骨が見えるようにして、とおっしゃっていました。
この鉛筆を使って指を強くするわけではありませんでした。
というより、そのような練習もできると思いますが、どのような指の状態でピアノを弾くかを生徒さんに知ってもらうことが先決です。
この消しゴムを力いっぱい押し付ける子どももいます。
その指でピアノは弾けない、というほど指が反り返った状態で押してしまいます。
それがあるので、実はこのアイテムは最初の数回しか、私は使っておりませんでした。
しかし、ピアセツキー先生のやり方を拝見し、早速生徒さんたちに「指には3つの骨がある。ピアノを弾く時はこの骨が見えるようにする」と1本1本の指に消しゴムをあててみました。
そうしてピアノを弾いてもらいましたら、驚いたことに全員、ピアノを弾く指で弾きました。(全員というのは、ピアノ歴3~4カ月の未就学児以外です)
関節は意識で保てるのかと、そうだったのかと、今頃知りました。
一人一人の生徒さんに消しゴムを軽く当ててみて分かったことがあります。
まず、全員3の指だけはピアノを弾く指になっていて、消しゴムを軽くあてただけで指が強くなっているのが分かりました。
他には、
2の指の第1関節が見えない生徒さんが割といる。
左手の第3関節が弱い生徒さんが多く、そこが保てないと他の関節もユルユルになりやすい。
第3関節の大事さは先生方はご存知だと思いますが、こうも指全体に影響するのかと思いました。
これでは自分の腕の重さに耐えることは出来ないので、生徒さんには、自分でもう片方の手で自分の腕を支えて練習してもらうことにしました。
支えた時の弾きやすさは全員実感できていました。
その感覚になるように支えなしでも弾けるようにします。1小節や2小節に区切って。
弾きやすくなると、音の粒もきれいに揃います。
ガタガタだったメロディーが美しくなります。
どうも私は大雑把なところがあって、その内できるだろう、と思ってしまいます。
その内はない、とこのメソッドに変えて痛感していたのに、喉元過ぎると・・です。
ピアノを弾く大元である指を作るところは、徹底してやらなければいけませんでした。
鉛筆消しゴムでレッスンをしながら、子どもは素直でいいもんだ、と思いました。
みんな、面倒くさがるかと思っていたのですが、弾きやすくなるし、音が変わることが本人たちも分かるので、嫌ではなかった様子です。
あと、不思議な音の国のチェックシートっぽいもの。
下巻も作りました。
下巻はほとんどの生徒さんが半分以上進んでいるので、作っても使わないかもと思いながら一応作ってみました。
そして、下巻を使っている生徒さんたちに渡してみましたら、案外復習に役立ちそうです。
本人たちもこれがよくわかっていなかった、というのが確認でき、私が言葉で質問するより紙に書かれたものの方が良さそうです。