前回ご紹介した「明鏡止水」
武の五輪という回は、<重力を制する>という内容でした。
体のトレーニングと皆いうけれど、体をトレーニングした所であまり意味はない。こっち(頭)のイメージがどれだけ繊細になるか
と、日本武道の師匠が話されていました。
ふむふむ、これはわかる。
筋力を鍛えてもさほど意味はなく、体の使い方とこういう音にしよう、こう音を飛ばそうという意識はピアノでも同じ。
岡田准一さんが言っていた、「力が作用する、体が連動する」も。
うん、うん、わかる。作用が循環して行くとピアノはとても自然に弾けます。勝手に弾けるというか・・
中国武術の先生が脱力して相手を腕で打った時に、脱力すると重くて体の中にグゥ~とくる感じだと言ってブレーキンのかたが倒れそうになっていました。
ピアノもコントロールされた軽い音は羽のように軽く天上の音のようですが、重さをズシリと加えると重厚で深い音がします。
これを力だけでコントロールしようとすると、スカスカの音とガンガンうるさい音になります。
日本武術の先生が相手を倒す時に力ではなくR(アール)で使っていくと話されていましたが、これもよくわかる!と一人で頷きました。
丸く動かすと人間の体は動きやすく、効果が大きくなります。
ピアノでただ横に動かす生徒さんが多いのですが、それでは音が鳴りませんし、音も外しやすくなります。
番組では足から生まれる力を腕に伝え連動させていると。
おお、納得。ピアノもそうです。
椅子に座って弾いていますが、決して指だけでは弾いていません。体の中で鍵盤に伝えるものが働いています。
そして、このお話からスポーツクライミングのかたが、
「指だけでしているように見えるかもしれませんが、そうではなく足から受けた力を手の先に伝えて登っている」と。
「腕の力だけ使うと疲れるし、やられちゃう」
「初心者の方は腕だけで引き付ける。その段階で既に疲れてしまう。視野も狭くなる」
「下から上に繋げるために一旦体を下ろす」
クライミングのお話が一番ピンときました。
私が学生の頃から20年お世話になった先生がまさにこの連動がお上手で、私は真似しようにもできませんでした。
今は自分で弾いていてもそのコツがわかります。特に生徒に教えている時に、過去の自分を見ているようで、これじゃ永遠に出来ないとわかります。
ボールを投げる時に、出来るだけ近い方が相手に届くと言って腕を前に伸ばしたまま投げる人は誰もいません。一度後ろに腕を引いて、遠心力を使って投げるはずです。
ピアノは鍵盤上に重さを十分に載せられているとその準備が上手くできます。中途半端だと腕を放り投げられないので、外すし鳴らないし疲れるし、になります。
ピアノ演奏の必須の技術は鍵盤に腕の重さを載せられること、だと思います。
それが第一歩。
それがなければ始まらないです。
忍者さんが「腕の骨をまっすぐにして体重を載せる」
岡田さんが「支えの棒のようにして」と。
これも大いに納得。だからピアノでは指の関節がぐにゃぐにゃだと支えが効かず、音も鳴らず、汚い音になり、速いパッセージも転びます。
指を伸ばしてと言っているのではなく、3つの関節で支えてという意味です。支えができていると手首も使えます。
番組で忍者の師匠が仰っていた「イメージできないことは実際にできないと思うんです」
ですね。
私もずっと体の使い方のイメージができていなかったので、一か八かとか、あの時は運よく出来た、とか、そんなことになっていました。
今もまだ、十分ではなく足りていないのですが、どこまで習得できるか挑戦し続けます。
伊賀に修行に行った方が早かったりして・・