”ご来光バスの中から”
8月2日。乗鞍観光センター前から
ご来光バスが出発したのは午前3時40分だった。
終点まで約50分。
真っ暗闇のヘアピン続きの道を上り、森林限界が近づいたころ
車窓から、既に夜明けのショーが始まっている空が見える。
このバスでは遅い、その一時間前には現場に居なくっちゃ。
そうなると上に宿泊するしかない。
私は7月の半ばころからずっと乗鞍畳平の天候をチェックしていた。
しかし山の天気が安定確実と思われた4日前頃電話すると
既に宿は予約いっぱい。
仕方なく前日はふもとに一泊、より天気の良いこの日にかけたのです。
バスには添乗員さんが乗っている。
「畳平からの情報によりますと、午前三時現在、
気温7度、無風、視界良好とのことでございます」。
「皆さん、今日はご来光が期待できそうですね。
こんな天気になったのは二週間ぶりですよ」。
そうさ、乗鞍岳の天気をずっとチェックして
来たんだから。腹の中で気合を入れた。
ご来光バスだけは、終点一つ前の岐阜と長野の県境のゲート前、
標高2700mの
臨時バス停に止まる。
下りた瞬間が一番良いんだ。
カメラを出す時間すらもどかしい。
とりあえず懐のタブレットでパチ ↓
昔は、このバス停で下りて、右手の大黒岳に登った。
頂上まで10分程だが、尾根に出るまで東側が見えないのです。
刻々と変わる景色に焦って上ると、
高山病よろしく心臓がバクバクになる。
カミさんはいまだにそのトラウマから抜けられない。
左手の富士見岳はずっと東側が見えているが、
頂上までは途中、足元の雲海が遠くなるのです。
じたばたしない。
バスを下りた場所が雲海が近くそれなりに良いのです。
↓(カミさん作マーク)
バスを降りてから日の出時刻まで20分弱。
この時間帯こそ長く味わいたい時間なのです。
↓
三脚立てて動かない私に対し、
カミさんは富士見岳を少し上った。
東側の雲海は遠くなるが、
大黒岳の西側越しに北アルプスが明けてくるのが見えます。
良い瞬間です。
お天気が良すぎて、揚って来る瞬間の太陽の
グラディエーションを味わう時間がありませんでした。
↓
午前5時頃、日の出撮影はひとまず終わった。
ふもとから通常ダイヤのバスの人たちが来るのは7時頃だ。
それまでは比較的静かです。
この二時間を大切に散策しよう。