厩火事

1999年01月13日 | 演芸

 昨夜も風邪のため、早めに寝た。
 会社では気が張っているため、なんとかもっているが、さすがに家に帰って
くると体をたてにしているのが辛い。
 ポケットラジオのイヤフォンを耳に入れ、トイレに行ってから洗面台で歯を
磨いていると、玉置宏(字に自信がない)の声がした。「あ、落語だ」と思っ
た。何曜日か忘れたが、9時半からNHKで「なんとか名人会」とかなんとか
いう番組をやっていた。去年は木曜日だったような…。山梨でよく聞いていた。
 いそいそと蒲団に入った。いつもは寝る前に、腕立て伏せ、背筋、腹筋、そ
れぞれ50回づつして蒲団にもぐり込むのだが、日曜からしていない。そんな
元気はない。
 ラジオを枕元に、ノイズが最小限になる角度に置く。なぜか私の家はNHK
の電波の入りが悪い。
 昨日は、古今亭志ん生だった。
 毎回きっちりと話す桂文楽の18番、「厩火事」を、今日は志ん生でお楽し
み下さい。というようなことを玉置はいった。
 早く寝たおかげで、志ん生が聞けるとは、風邪もわるくないな、と思った。
 チャチャチャンチャン、チャチャトテシャン、
 チャチャチャンチャン、チャチャトテシャン、
 あの志ん生の出囃子が、始まった。
 私は、敷き蒲団の上にゆったり体をあずけ、目をつぶり待った。
 頭のてっぺんの、10センチぐらい上から聞こえてくるような志ん生の声が
イヤフォンから聞こえてきた。
 私は、極楽でした。「厩火事」は、夫婦生活をしている人にとっては、ため
になる噺ですね。いや、噺をそんなふうに聞くことはない。楽しんで聞けばい
いですね。でも、やっぱり…、ためになる噺です。夫婦とはかぎりません。人
間はああいうこころもちで暮らさなけりゃいけませんね。

コメント
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