三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

メディアと若者の視点差

2013年01月22日 07時14分57秒 | Weblog


「若い世代は、商品選びで失敗を怖れる傾向が高い」
というテレビニュースに接した。
わたしは言葉がすぐには出てこなかった。
ただし、内語では、
若い世代はずいぶんと革新性がないのだなという印象を持った。
ところが、高2の息子は即座に
「若い人はお金がないから、失敗できないんだよ、簡単じゃん」
っていう、すぱっとした一刀両断。
ところが、テレビのほうでは、若い世代の勇気の無さというか、
元気のなさというような方向にテーマが行って、
「若い世代は、もっと失敗を怖れずに行動すべきだ」というような論調に。
番組スポンサーである企業側からすれば、「もっと活発な消費を」というのが
基本的な要求だろうから、ある意味「自然」なのかも知れない。
しかし、そもそも息子のような視点を持っていれば、
事実の解明において「若い世代は、商品選びで失敗を怖れる傾向が高い」
というような結論づけ、方向付けがあるわけがない。
こうした方向付けでは、現実の問題のとらえ方がミスリードになっていく。
そのうえ、若い世代代表として、若い女子アナが
「わたしは、けっこう失敗経験豊富ですよ」
というような落ちに、突入していっていた。
わが家では、息子の意見に完全に了解したけれど、
マスメディア的には、こうした意見が反映されていないのだなと理解出来た。
息子の視点でもって、若い女子アナの意見を解釈すれば、
それは若者世代での勝ち組・負け組格差を表しているだけ、と言えるのだろう。
入社の難関を通り抜けた女子アナは、勝ち組筆頭なのだ。
世の中は、若者世代に対して「勝ち組」だけを構成員として考えている傾向がある。
それはそうだろう。
これまでの完全的な正社員雇用社会は、若年層においては
約半数以下でしか実現していないけれど、
それより上の年代ではほぼ完全に実現していた。
多数決を取れば、完全正社員雇用のほうが「常態的」であることは明瞭。
そこで、非正規雇用とその境遇の人々を社会的に無視しているのが現実なのだろう。
自分たち自身も「勝ち組」であるメディア企業人にとって、
それのほうが同意しやすい結論になるのだろう。
たぶん、番組制作の現場でも「正社員雇用」のひとたちだけで
「企画会議」が運営されているだろうことは、想像に難くない。
そこで導かれる方向性が、あるねじ曲げから自由だとは思われない。
今、高2の息子は、まだこうした社会に参加していない立場で
本能的にこういったことを知っているのだと思う。
わたしは、大人社会の価値観、運営原理を知っているので
そのように内語として把握した、ということなのだろうと思い至った。

若年層に対して「先進国社会」が強いてきた環境は、
このような社会構造の変化を生み出してきてしまっている。
こうしたいびつさは、どのようにして社会的に止揚されていくのか、
あるいは、こうしたことがもっと進んでいく社会になるのか。
現代は、難しい位置にあると思う。

コメント
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